まず、吸入効率を向上させるために、インテークエアボックスの容量拡大と充填効率向上のためにダクト位置にこだわった。すでに量産でも同様のアプローチとして採用されたフェンダー内吸入に対し、さらにアドバンテージを得るにはラジエターを通過した放熱エアの影響を受けない吸入口のレイアウト、つまりバンパー内に吸入レイアウトを配置している。さらに素材を厳選して、エアフィルターエレメントの圧力損失を低減。いずれもかつてMUGEN HONDA F1エンジンやSUPER GT NSXエンジンにも取り入れられていた技術である。
結果、エアフィルターとしての基本性能もダストキャッチ99%(30μ以上のダスト)という実力を備えながら、VTECが作動する領域でも吸気の抵抗となるポンピングロスをミニマムに抑えることを実現している。
吸気系の性能追求は、エアフィルターを内包するインテークエアボックス本体にも及ぶ。FRP素材のボックス内部を内側にリブを持たない構造とすることで吸気抵抗を徹底的に排除。さらに抵抗となるレゾネーターを必要としない構造を採用したことで、軽量化にも寄与している。
排気効率を稼ぐためのエキゾーストチューニングでは、排気管の径、長さ、材質、レイアウト、内部構造、製造手法にいたるまで、それぞれの分野の検討とテストを繰り返し行った。現在も更なるパワーアップの可能性を感じるエキゾーストマニホールドの開発を継続している。最終的なスペックを決定するために、レーシングエンジンの開発時と同様のエンジンダイナモテストを実施して、詳細なパワーカーブを計測。そのうえで実走テストによる排気騒音チェックやシャシーダイナモ上でのエミッションモードテストを繰り返した。
さらにK20Aエンジンと無限テクノロジーによって発揮するポテンシャルを100%引き出すために、推奨したいのが『ハイパフォーマンスエンジンオイル REV-R』の使用。無限が、VTECエンジン専用にテストベンチを駆使して開発したSAE5W-40の100%化学合成オイルである。
近接排気音量と計測方法について
◆ 近接排気音量とは (※)
近接排気音量とはマフラー音量の目安となる"近接排気騒音"とは、車両が停止した状態で音量を計測する方法です。 この他に“加速走行騒音”、“定常走行騒音”がありますが、車検の際には近接排気騒音が計測されます。 計測方法が厳密に定められると共に、車両の年式などによって規定音量が細かく設定されています。
◆ 計測方法について
車両・測定マフラーとも十分に暖気した後、停車状態で、ニュートラルギア位置にて最高出力回転数の75%の回転数までエンジンを回した状態を一定時間(一般的に5秒以上)保持し、急激にアクセルを離したときの最大音量値を測定します。マイクロフォンは右図のように、マフラー端から45度後方の同じ高さで距離0.5mに設置します。試験場所は、屋外の出来るだけ周囲からの反射音の影響を受けない平坦舗装路とし、天候は路面が乾燥している状態をたもてる、風速5メーター以下の条件で行います。規制値は最近の乗用車(平成10年規制車)では96デシベル以下(後部エンジン車は100デシベル以下)になるよう規制されています。(騒音計の設定は周波数補正がA特性、動特性をFASTとして測定します。)