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2010.09.27

全日本フォーミュラ・ニッポン第5戦
“MOTUL TEAM無限、初秋のSUGOラウンドを9位完走でレース終える”

シリーズ名:全日本フォーミュラ・ニッポン第5戦
大会名:2010年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第5戦 スポーツランドSUGO
距離:3.704.256m×62周
予選:9月25日(土)曇り時々雨 ・観衆5,500人(主催者発表)
決勝:9月26日(日)晴れ時々曇り・観衆:12,700人(主催者発表)

 記録的な猛暑に襲われた夏もようやく終わり、晩い秋の到来とともに9月25〜26日仙台近郊にあるスポーツランドSUGO(宮城県)にて、全日本フォーミュラ・ニッポン第5戦が開催された。東北地区の代表的なサーキットであるこのコースは今まで数多くの国際レースを開催してきた実績があり、きついアップダウンを有するサーキットとしても有名。右に大きく曲がる最終コーナーからホームストレート中央付近までの急勾配を全開で一気に駆け上るため、ドライバーにとっては強烈な横Gとの戦いが強いられる。

グランドスタンド中央付近まで登りきると、今度は短く緩やかな下りが始まり30Rのキツイ1コーナーまでのブレーキ競争が勝負の行方を左右する難コース。

第4戦のもてぎ戦から約1ヶ月半のブランクと先々週のSUPER GT第7戦富士が記録的な豪雨による天災により中止になった為、スタッフの間では久々のレース開催という感じでレースウイークを迎えた。

また、我がMOTUL TEAM無限のドライバー井出有治選手は8月末に行われたSUPER GT第5戦鈴鹿において優勝を飾っており、いい流れの中でレースを迎えることもあり、周囲の期待も集まった。シリーズもこのレースを併せて3戦を残すのみ。このレースで是が非でも結果を出すことが最大の課題となっていた。

今回のSUGO戦から全車にパワーステアリングが装着され、これがドライバーにとって吉と出るか凶と出るかも見所。年一度のSUGOでのレース開催であるため、事前データが不足していることもいなめない事実であるが、チームは可能な限りの体制でサーキットに乗り込んだ。


■9月25日(土)
●フリー走行1回目(9:40〜10:40)
スポーツランドSUGOは北上してきている台風の影響か、厚い雲に覆われた。気温もかなり低く、15℃前後という肌寒い中で9時40分、フリー走行1回目が開始された。

我がMOTUL TEAM無限は、今回から新たに導入されたパワーステアリングのシステムチェックとSUGOにあわせたスタンダードのマシンセットの確認から走行を開始する。開始20分過ぎに#31山本選手が1コーナーでコースアウト。マシン回収のため赤旗中断された。パワーステアリングのシステムに戸惑うチームが多く、コースアウトやスピンが続出。赤旗が解け、走行再開後はタイムの更新合戦が始まる。

井出選手は急激な気候の変化で路面温度が低い為か、アンダーステアのマシン特性に苦しむ。最終的には18周をこなし、終盤の17周目に自己ベスト1'07.781を刻み13番手でこのセッションを終えた。
(ベストラップ 17LAP 1'07.781 13位)

9月25日 フリー走行(1回目)

P
No.
Driver
Team
Engine
Time
Delay
Gap
km/h
1
1
ロイック・デュバル
DoCoMo TEAM DANDELION RACING
HONDA HR10E
R1'05.925
-
-
202.28
2
8
石浦 宏明
Team LeMans
TOYOTA RV8K
R1'06.317
0.392
0.392
201.08
3
32
小暮 卓史
NAKAJIMA RACING
HONDA HR10E
1'06.378
0.453
0.061
200.9

13
16
井出 有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
1'07.781
1.856
0.024
196.74

タイヤはブリヂストン(BS) シャシはスイフトFN09 ワンメイク


●公式予選Q1 (14:30〜14:50)
午前同様、空には雨雲が広がる。先日までの30℃を越える猛暑が続いた日々とは一転、異常気象を思わせるような寒さ。気温は16℃、路面温度は18℃しかなく、少なからず、マシンに影響を及ぼしていた。今回もフォーミュラ・ニッポン恒例のノックダウン予選方式でスターティンググリッド順位が競われる。

まず、Q1突破には12番手以内に順位を入れなくてはならない。井出選手のリクエストに応えるべくマシンを仕上げる為に、チームは懸命の作業を続けるもののセット出しに悩まされていた。走り出しは強いアンダーステアに苦しめられる。7周目にピットインし、フロント足回り部分のセット変更を行い、ニュータイヤを装着しQ1突破を目指す。コースイン。マシンを左右に振り、タイヤに丁寧に熱を入れる。

クリアラップが取れた9周目に井出選手の渾身のアタックにより、自己ベスト1'07.643を記録し11番手に浮上する。このまま、Q1突破と思われた終了間近、2台のマシンがタイムアップを果たし、13番手に落ちてしまう。

Q2 進出には12番手のポジションが必要であり、井出選手は更にニュータイヤを投入し、最終ラップに猛アタックを行うものの12番手のマシンにはコンマ8秒及ばず、ここで予選敗退。明日のレースは13番手からのスタートが確定した。
(ベストラップ 9 LAP 1'07.643 13位)

9月25日 予選Q1

P
No.
Driver
Team
Engine
Time
Delay
Gap
km/h
1
1
ロイック・デュバル
DoCoMo TEAM DANDELION RACING
HONDA HR10E
R1'06.143
-
-
201.61
2
32
小暮 卓史
NAKAJIMA RACING
HONDA HR10E
R1'06.221
0.078
0.078
201.38
3
8
石浦 宏明
Team LeMans
TOYOTA RV8K
R1'06.291
0.148
0.07
201.16

13
16
井出 有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
1'07.643
1.5
0.613
197.14

タイヤはブリヂストン(BS) シャシはスイフトFN09 ワンメイク


9月25日 予選総合結果

P
No.
Driver
Team
Engine
Q1
Q2
Q3
1
1
ロイック・デュバル
DoCoMo TEAM DANDELION RACING
HONDA HR10E
1'06.143
1'05.949
1'05.843
2
32
小暮 卓史
NAKAJIMA RACING
HONDA HR10E
1'06.221
1'06.564
1'05.892
3
19
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
Mobil 1 TEAM IMPUL
TOYOTA RV8K
1'06.435
1'06.153
1'06.061

13
16
井出 有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
1'07.643
-
-

タイヤはブリヂストン(BS) シャシはスイフトFN09 ワンメイク


■9月26日(日)
●フリー走行2回目 (9:00〜9:30 )
フリー走行2回目は決勝日の9:00より、30分間で行われた。昨日の曇天とはうって変わり、秋らしい日差しがサーキットに降り注ぐ。セッション開始時の気温は16℃。路面温度21℃。肌寒さは引き続き残っていた。

井出選手はコースオープンと同時にコースイン。このセッションでは、昨日、顕著に出ていたアンダーステア特性を修正すると同時に決勝セットのチェックとピットインシュミレーションを行う。8周目にピットイン。フロントキャンバー角のセットの見直しを行った結果、9周目に1'09.027の自己ベストタイムを刻み6番手に浮上。

その後も1分9秒台の安定したタイムを刻む。最終的には8番手でこのセッションを終えるものの決勝に向けてのセット出しが出来た事を確信した。
(ベストラップ 9LAP 1'09.027 8位)

9月26日 フリー走行2回目

P
No.
Driver
Team
Engine
Time
Delay
Gap
km/h
1
1
ロイック・デュバル
DoCoMo TEAM DANDELION RACING
HONDA HR10E
1'08.043
-
-
195.98
2
2
伊沢 拓也
DoCoMo TEAM DANDELION RACING
HONDA HR10E
1'08.074
0.031
0.031
195.89
3
36
アンドレ・ロッテラー
PETRONAS TEAM TOM'S
TOYOTA RV8K
1'08.331
0.288
0.257
195.16

8
16
井出 有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
1'09.027
0.984
0.262
193.19

タイヤはブリヂストン(BS) シャシはスイフトFN09 ワンメイク



■決勝(14:30〜 62周)
レース進行が始まる13:45、上空には秋らしい澄み切った青空が広がり、絶好のレース日和となる。(気温20℃ 湿度51%)決勝の距離は、例年より短い距離で62周、230kmに設定され、また、ピットインや給油の義務が無い為、燃費によってはノーピット作戦も可能。MOTUL TEAM無限はギャンブル的な作戦は取らずに、レース中盤に給油とタイヤ交換を行う。

13:45から8分間のウォームアップ走行が行われる。決勝用のニュータイヤを履きコースイン。手塚監督が最後のマシンバランス調整を行い、フロントタイヤのグリップ不足を改善した。更にアンチロールバーと空力バランスを調整して最後のセットを確認する。ここで井出選手は決勝レースへの手応えをつかむ。

14:00。クルーはピットからダミーグリッドへマシンを送り出す。マシンがダミーグリッドに着くと、冷却ファンやドライアイスを使いマシンのクーリング作業に入る。国家斉唱、フォーメーションラップを終えると、ブルーシグナルと同時に14:30に決勝レースがスタート。62周の戦いの火蓋が切られた。

ホールショットを奪ったのは2番手スタートの#32小暮選手。#16 MOTUL TEAM無限、井出選手は得意のスタートダッシュを決め、3台をかわし10位で1コーナーに進入。中盤グループとともに2コーナーに進入。しかし3位からスタートした#19オリベイラ選手が2コーナー立ち上がりでスピン。これをきっかけに多重クラッシュが起きる。井出選手は#18平中選手に接触。フロントノーズにダメージを負ってしまうが、幸いにもセーフティーカーが導入され、すぐにピットイン。フロントノーズ交換のみでレースに復帰することが出来た。

セーフティーカーランは4周にわたって続き、井出選手は隊列の最後尾13位につける。5周目からレースが再開。1分11秒台の安定したタイムでライバルを追う。13周目には他車のトラブルにより12位に浮上。9番手争いの後方まで迫る。前を走るのは#29井口選手。オーバーテイクシステムを使い、追い抜きを試みるもコース幅が狭く、直線が短いこのサーキットで抜くのは難しく、井出選手がピットインするまで、この勝負に決着がつかなかった。

29周目にピットイン。最低限のガスチャージとタイヤ交換を行い、僅か16秒でピット作業を追え、マシンをコースに送り出す。これが功を奏し、#37の井口選手のピット作業中にオーバーテイクし、11位へポジションを上げる。更に終盤、マシンが軽くなってくると同時にペースアップ。33周目には自己ベスト1'09.986を刻み、その後も1分10秒台で周回を重ねる。

気になる燃費であるが、井出選手からのフューエルカウンターの情報を基に、手塚監督の的確な指示でミクスチャーを調整。ペースを落とすことなくトップのペースと変わらないタイムで周回を重ねる。更に前のライバルをオーバーテイクしたいところではあったが、10位のまま最終ラップへ。

前を走る#3松田選手との差は4秒。もはやここまでかと思っていた矢先、なんとトップを走っていた#19オリベイラ選手がガス欠により、コース途中でマシンを止めてしまう。これにより9位浮上に成功。62周を走りきり、惜しくも入賞目前の9位完走でレースを終えた。優勝はなんとノーピット作戦を敢行した#37大嶋選手が初優勝を飾った。

フォーミュラ・ニッポン第6戦の舞台は、フォーミュラ・ニッポン九州地区唯一の開催となる、大分県にあるオートポリスにて10月17日決勝で行われます。皆様の応援宜しくお願いします。


9月26日 決勝

P
No.
Driver
Team
Engine
Lap
Time / Behind
1
37
大嶋 和也
PETRONAS TEAM TOM'S
TOYOTA RV8K
62
1:17'52.542
2
1
ロイック・デュバル
DoCoMo TEAM DANDELION RACING
HONDA HR10E
62
3.347
3
36
アンドレ・ロッテラー
PETRONAS TEAM TOM'S
TOYOTA RV8K
62
3.538

9
16
井出 有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
62
59.188

タイヤはブリヂストン(BS) シャシはスイフトFN09 ワンメイク



■井出有治選手コメント
今回も走り出し、予選が厳しい状況でした。しかし、決勝までに手塚監督とともにタイヤの内圧で良いマシンバランスを出したおかげで、コンスタントに早いタイムを刻むことが出来ました。オープニングラップの接触については前で起こったアクシデントの状況がまったく見えなかった。ダメージが最小限でコースに復帰できたのは幸いでした。結果はまた9位でしたが、次戦は単に入賞ではなく表彰台を狙います。引き続き応援宜しくお願いします。


■勝間田エントラント代表コメント
やはり予選で上位に行かなくては、決勝に於いては勝負にならない。上位につけていれば中盤グループで頻繁におこるアクシデントは回避できる。結果的には初めのピットインが余計であつた。しかし決勝でのラップタイムは非常に良く、うまくいけば入賞も見えていたので残念であるが、次のレースでは良いレースを見せてくれると思う。


■手塚監督コメント
走り始めからマシンのバランスが決めきれずにセッティングに追われたレースでした。結果的に2セット目にエアでマシンバランスをとったものがうまくはまり、決勝レースの快走に生かすことが出来た。接触に巻き込まれて、今回も入賞できませんでしたが、次戦のオートポリスは自分なりに秘策があり、自信を持って臨めます。うまく井出選手に反映させて上位入賞を狙っていきます。期待してください。引き続き応援宜しくお願いします。