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2012.08.07

全日本フォーミュラ・ニッポン第5戦
発想の逆転!不運を逆手にとって次戦以降への萌芽をつくる!

シリーズ名:2012年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第5戦 ツインリンクもてぎ
大会名:MOTEGI 2&4 RACE 開業15周年記念大会
距離:4.801km×52周(249.652km)
予選:8月4日(土)晴れ・観衆:10,000人(主催者発表)
決勝:8月5日(日)晴れ・観衆:16,000人(主催者発表)

 何をやっても上手くいかない。チームもドライバーも共に苦しい状況が第5戦も引き続いた。悪い事には、今まで生じた事の無いマシン・トラブルにより、決勝スタート直後には可能性のあったポイント獲得もかなわない状況となってしまう。誰もが諦めざるをえない状況のなか、TEAM無限も山本選手も共に思考を前向きに保ち、発想の逆転を試みる。決勝のレース中ではあったが、ピットイン・ピットアウトを繰り返し今後に向けたセッティングの調整と確認を行なった。1台体制でデータ不足が否めない状況のなか、使える時間をなりふり構わず使ってのトライだった。

 結果、レースウィークを通じて苦しんでいた部分に光明が見え、決勝中のファステスト・ラップで上位陣に伍する速さを取り戻せる方向性を確認できた。次戦のスポーツランドSUGOからはF1世界選手権の経験もあり、インディカー・シリーズに参戦中の佐藤琢磨選手もチームに加わる。TEAM無限は2台体制を契機にもう一度巻き返しをはかり、シリーズの残り後半戦に臨む

●8月4日(土)
■フリー走行 1回目 12位
 クルマのセッティングを変更しても結果をまとめきれないという現象は、まだ解決には至らなかった。言うまでも無くツインリンクもてぎは山本選手にとってはホームコースであり、走り慣れた場所でもある。調子の良かった頃はユーズドのタイヤで感触を掴みとるのも、予選にそなえた新品タイヤでのタイムアタックでも上位のラップタイムを記録していた。しかし、今回も流れが良くなく、復調とは言えない順位での走りだしとなった。

■公式予選 13位(Q1:10位、Q2:13位、Q3:―)
 前戦から連続してQ3進出を逃し、Q1でも思うようなところまでタイムは届かなかった。シーズン序盤にみせた予選の最初から最後までフロントロウを争う勢いが取り戻せないまま、Q2でのタイムアップはかなわなかった。さらにはQ1で出していた順位よりもQ2での順位のほうが低い結果となってしまう。第3戦以降、想定できるいろいろな改善策を盛り込んできただけに残念な結果に終わった。1台体制でのデータ不足による苦しさが浮き彫りとなる結果となった。

●8月5日(日)
■フリー走行 2回目 14位
 決勝を想定した燃料を搭載しての走行とピット作業の練習を行ない、強い日差しのなか、ミスのない作業を決勝で行なうための準備をした。

■決勝 規定周回数不足(34周 1時間24分15秒177 ベストタイム:1分38秒298)
 グリッド位置からスタートでポジションをあげポイント獲得を目指したが、これがかなわないと悟ったとき、TEAM無限と山本選手は発想を逆転させた。先頭集団がチェッカーを受けるまでの残り60分間で、シリーズ最後まで戦うためのデータ収集に徹した。他チームの車両が続々と周回数を重ねていくなか、山本選手はもくもくと設定したメニューをこなし続けた。順位とは関係ない周回であるにもかかわらず、スタンドやコースサイドに陣取ったTEAM無限サポーターと山本尚貴応援団から、すべての周回で16号車に力強いエールが送り続けられた。

 その結果、ある条件では課題だった速さを見つけることができ、レース中のファステスト・ラップに0.05秒まで迫るベストラップを山本選手は記録できた。ところが、さらに貪欲にメニューをこなそうと周回を重ねたところで、またしてもスタート直後に起きたトラブルと同様の車両トラブルが発生した。この為、チームは大事をとってチェッカーを受けずに車両をピットガレージ内に戻して第5戦を終了することとなった。

■山本尚貴コメント
 地元のレースでしたがダメでした。フリー走行1回目では上手くいけるかなと感じたときもあったのですが、その後は変更が裏目に出てしまい流れを作れませんでした。それでも決勝はスタートでポジションを上げてなんとかポイント獲得を!と思ったのですが、車両トラブルで離脱となりました。ただその後の走行で次につながる方向性が見えてきたのは収穫です。
 次のスポーツランドSUGOは、いままでとはまた特性や性格の異なるサーキットです。しかし、チームは佐藤琢磨選手も加わり2台体制となります。これまで1台体制の制約から、複数ある試したい事のなかから決断した数個のメニューしか時間内に試せませんでした。佐藤琢磨選手のフィードバックから学ぶことに加えて、2台体制を活かしてTEAM無限として上位の結果を目指します。

■手塚監督コメント
 非常につらく苦しいレースでした。何をやってもセッティングをまとめきれませんでした。決勝スタート後、クルマにトラブルが生じてしまい連続して周回することが危険になりました。このためポイント獲得をあきらめて山本選手をピットへと呼び戻しました。トラブルが生じた箇所は、いままでのチームで蓄積した経験からより安全なものへと交換していただけに、これが裏目にでてしまったことは、ドライバーに申し訳ないと思います。次戦からはチームに佐藤琢磨選手も加わります。これを契機にもう一度リセットをして、1からクルマを見直して残りのシーズンで結果を出せるようにします。決して諦めません。

■勝間田エントラント代表コメント
 長年にわたってレースを続けていればチーム全体が何をやっても決まらないということが時にはあるものです。ここ数戦はクルマ自体のベースとなるセッティングが上手くいかずに、重要な要素のひとつである『曲がる』という部分で苦戦しているのだと思います。さらにいままで起きたことのないトラブルが決勝のスタート直後、さらには修復してコースへ戻ったあと、と合計2回も発生してしまったことは深く反省しなければなりません。1台体制のデータ不足が目立ち始めたときに、次の第6戦からは佐藤琢磨選手が加わっての2台体制となります。我々は決して諦めずに最後までレースを続けます。