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2012.09.26

全日本フォーミュラ・ニッポン第6戦
待望の2台体制!降雨に好機を阻まれるも最終戦・鈴鹿に向け期待が高まる!

シリーズ名:2012年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第6戦 スポーツランドSUGO
大会名:2012年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第6戦 スポーツランドSUGO
距離:3.704km×68周(251.872km)
予選:9月22日(土)晴れ・観衆:6,600人(主催者発表)
決勝:9月23日(日)雨 ・観衆:8,400人(主催者発表)

 ホワイト・レッド・ゴールド、伝統の無限コーポレートカラーに彩られたFN09が初めてピットに2台並んだ。インディカーの日程をこなした佐藤琢磨選手が加わり、山本尚貴選手とともに第6戦はチーム初の2台体制となった。震災で被害を受けた東北地方にエールを送る活動を続けている佐藤琢磨選手にとっても、これまでの1台体制でできることの限界を感じ始めていた山本尚貴選手とチームにとっても、ぜひとも結果を残したい一戦となった。

 予選では、経験とデータの蓄積を擁する他チームにすぐさま追いつけるわけではなく、良いグリッド位置の確保には至らなかった。また、決勝では不運な降雨に見舞われ二人ともにポイント獲得の機会を逸したが、2台ともに完走を果たしデータを確保し最終戦へと期待をつなげた。最終戦はドライバー二人の母校であるSRS(鈴鹿サーキットレーシングスクール)のある鈴鹿サーキット。TEAM無限サポーター、山本尚貴選手ファン、佐藤琢磨選手ファンに成績で応えるべく、チームとドライバーのボルテージは高まっている。

● 9月21日(金)
■フリー走行 1回目
#15佐藤 4位 / #16山本 11位

●9月22日(土)
■フリー走行 2回目
#16山本 7位 / #15佐藤 14位
 佐藤琢磨選手はシーズン前イベントで鈴鹿サーキットを走行したときのデータをベースにセットアップを進めた。フォーミュラ・ワンやインディカーという世界選手権での経験豊富な佐藤琢磨選手も、実はスポーツランドSUGOを走るのはこれが初めて。しかし、山本尚貴選手とデータ共有を図り、金曜日のフリー走行1回目からコンディションを読みながら着実にラップタイムを短縮してみせた。

■公式予選
#16山本 9位(Q1:13位、Q2:9位、Q3:−)
#15佐藤 14位(Q1:14位、Q2:−、Q3:−)
 2台そろってのQ1突破はかなわなかったが、二人の決勝でのパフォーマンスに期待を感じさせる予選となった。ラップタイムであと0.02秒と肉薄しながら佐藤琢磨選手はQ2進出を逃した。2台体制のメリットをもとにセッティングした山本尚貴選手は、僅差でQ3進出を逃し予選9位となったが、ここ数戦にないクルマの仕上がりの手応えを感じており、決勝での巻き返しを感じさせた。

●9月23日(日)
■フリー走行 3回目
#15佐藤 16位 / #16山本 17位
 午後の決勝も降雨が続くことが予想されたため、ウェット・コンディションでのクルマの挙動を改善するべくさらなるセットアップの改善に務めるとともに、決勝に向けて2台ともに入念にピット作業の練習を行った。

■決勝
#15佐藤 9位(68周 1時間43分18秒105 ベストラップ1分23秒009)
#16山本 14位(66周 1時間43分22秒314 ベストラップ1分24秒158)
 佐藤琢磨選手は下位グリッド位置からのスタートにもかかわらず、ベテランらしい走りで安定したラップタイムを刻み順位を上げ続けた。途中のピット作業では、チームとの連携でタイミングよく作業をおこないコース復帰後にはひとつ順位を上げるなど、ピットの機を読む世界選手権での経験を披露した。レース終盤にはポイント圏内の順位を走行していたが、前方で接触した2台の車両の1台がスピン。濡れた路面を佐藤琢磨選手のレーシングライン上にまで滑ってきてしまう。危機回避のためやむなく瞬時にグラベルエリアを走行して車両ダメージを防いだが、代償として順位を下げフォーミュラ・ニッポン初ポイントの機会を逸することとなってしまった。

 山本尚貴選手はポイント獲得が十分に狙える位置からのセーフティカー先導中、強まった雨と走行しているマシンが後方につくるウォータースクリーンとで一時的に視界がまったく確保できない状況になってしまう。その結果、双方が安全規定を順守した速度で走行していたにも関わらず前方車両と接触してしまう。レースが本格的にスタートする前に勝負権を失うこととなった山本尚貴選手ではあったが、緊急のピット作業でタイヤを交換したあとは、足回りにダメージを抱えた手負いの車両でチェッカーまで走りきり貴重なデータを確保した。


■山本尚貴選手コメント
 佐藤琢磨選手が加わり2台体制になったことで、クルマを仕上げる作業の効率が格段に向上しました。予選はあと僅かのところでQ3を逃しました。でもクルマの仕上がりは、ここ数戦にはないほど良いもので決勝に向けては手応えを感じていました。決勝ではセーフティカーラン中、一瞬、前方の視界が十分に確保できない状況に陥り、その結果、追突してしまいました。視界が悪いのは自分だけではない中で、唯一僕だけがミスを犯してしまい大変反省しています。小暮選手には大変申し訳なく思っています。
 また一生懸命マシンを仕上げてくれたチームにも申し訳なく思っています。結果としてレースの勝負権を失うことになってしまいました。足回りのダメージはそれほど大きくなかったですが、レースペースがあげられない辛いレースとなりました。最終戦鈴鹿は自分にとってもチームにとっても得意とするサーキットです。気持ちよくシーズンを終えられるように全力で戦いたいと思います。

■佐藤琢磨選手コメント
 最後のリスタートでは、前を走るライバルをオーバーテイクできると思っていましたが、最終コーナーでは黄色の信号がまだ点滅となっていたので、少しマージンを保って走っていたところ再スタートとなり、1つポジションを落とす結果となりました。さらに、その直後には上位陣でアクシデントがあり、コース上でスピンしたマシンが僕のほうに向かって動いていたため、コースの外に出てこれを避けることになりました。
 結果的には悔しいレースとなりましたが、予選を含め、本当に小さなところで思うような成績を残せなかったように思います。ただし、今回のレースで貴重なデータも収集できたので、次の鈴鹿大会では思いっきりレースを戦うつもりです。

■手塚監督コメント
 佐藤選手は、初めて走るスポーツランドSUGO、雨のレースという条件にもかかわらずベテランらしい走りをみせてくれました。現在のフォーミュラ・ニッポンはタイヤの使い方が特徴的で予選上位につけるのはなかなか難しい状況です。セミウェットのフリー走行、ドライの予選、ウェットの決勝と路面状況と天候が変わったなか、決勝はラップタイムを常に高いレベルで揃えて着実に順位を上げて追い上げてくれました。前方のクルマと自分のペースを判断して、ピット作業の前後で順位を上げてそのクルマの前に出るなど、さすが世界選手権での経験が豊富だなと感じました。
 山本選手はスタート後に不運な衝突があり緊急ピットインを強いられました。傷めたタイヤは交換できたのですが、足回りのダメージは完全修復には至らないままでした。それでも最後まで走りぬいたことで今後に向けてのデータも収集できました。佐藤選手がチームに加わり、小さなお子様から幅広い層の方にさらにチームへの注目が集まりました。鈴鹿では是非、良い結果を残したいです。

■勝間田エントラント代表コメント
 チーム創設以来、初の公式戦2カー体制となりました。佐藤選手が加わった効果はとても大きいものです。山本選手とお互いにフィードバックとデータを共有しながら走行することで、以前よりも効果的にセットアップが進められるようになりました。佐藤選手は初めてのフォーミュラ・ニッポンで曜日ごとに天候が変わるなか、さすがベテランという走りを披露してくれました。
 チームは、スタート直後の山本選手の緊急ピットインも、状況を判断しながらの佐藤選手のピット作業もどちらもうまくこなせました。佐藤選手はピット作戦でピット作業の前後で前のクルマを抜くなど経験豊富なところをみせてくれました。
 山本選手もよもやのアクシデントで開始早々タイヤ交換を強いられましたが最後までレース距離を走りぬきました。佐藤選手の加入でチームには以前にも増してサポーターやファンからの注目が集まりました。みなさまに結果で応えられるべく最終戦鈴鹿に臨みます。