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2012.11.07

全日本フォーミュラ・ニッポン第7戦
TEAM無限 思いもよらないトラブルが発生!本来の実力を見せぬままレースを終える。

シリーズ名:2012年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第7戦
大会名:2012年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第7戦 鈴鹿サーキット
レース1 距離:5.807km×20周(116.14km)
レース2 距離:5.807km×28周(162.60km)
予選:11月3日(土)曇り  ・観衆:12,000人(主催者発表)
決勝:11月4日(日)うす曇り・観衆:14,000人(主催者発表)

 2012年フォーミュラ・ニッポンの最終戦が、Honda陣営のホームコース、三重県鈴鹿サーキットで行われた。4月にここ鈴鹿サーキットで開幕した2012年度フォーミュラ・ニッポンも早くも最終戦。また、来シーズンから「スーパーフォーミュラ」となる為、1996年から続いてきた「フォーミュラ・ニッポン」の最終戦ともなる。前戦の菅生大会より元F1ドライバーであり、インディドライバーの#15佐藤琢磨選手がスポット参戦。レギュラードライバーの#16山本尚貴選手と合わせて2カー体制でこの鈴鹿戦に臨む。

 ここは両ドライバーを輩出したSRS-F(鈴鹿サーキットレーシングスクールオブフォーミュラ)がある、いわば2人のホームコース。佐藤選手は過去F1日本グランプリで2度の入賞を獲得。山本選手はTEAM無限移籍初レースでポールポジションを獲得するなど、2人とも輝かしい実績を持っている。2カー体制になったことでマシンのデータを共有できるメリットも生まれ、ファンの応援に応えるべく、上位獲得に向け万全の体制で乗り込んだ。

● 11月3日(土)
■フリー走行 1回目
#16山本 5位 / #15佐藤 11位
 2007年F1日本グランプリ以来の鈴鹿サーキット実戦となる#15佐藤琢磨選手。新たなセッティングデータを基にセットアップを進める。一方、#16山本尚貴選手は豊富な経験を元にセッティングを進める。序盤#15佐藤選手は1分40秒689を刻み、トップタイムをキープしてラップモニターの一番上に躍り出る。精力的に周回を重ねるものの、開始15分を過ぎ、ライバル勢がタイムアップを果たし徐々にポジションを落としていく。

 #16山本選手も、序盤は#15佐藤選手と競い合いトップタイムをぬりかえるものの、ライバル勢の上位進出により14位までポジションを落とす。フリー走行残り5分を切ったところで両者ピットイン。ニュータイヤを履き再アタック。#15佐藤選手はフロントウイングの再アジャストも行う。

 #16山本選手は渾身のアタックを決め、チェッカー直前に1分39秒652をたたきだし、5番手に浮上。#15佐藤選手はアタックラップでトラフィックに引っかかり1分40秒419をたたきだすものの11番手に沈む。しかし着実にタイムを縮めていることから、予選に向けての活躍を予感させた。

■公式予選
#16山本 Q1:7位、Q2:5位、Q3:4位
#15佐藤 Q1:9位、Q2:11位、Q3:−

 13:30より、公式予選が、恒例となったノックアウト方式で行われた。最終戦は2レース制で決勝が争われる為、変則的なルールが採用される。Q1のトップがレース1のポール、及びグリッドの決定。Q3のトップ8がレース2のポールから8位及びQ2の9位〜13位がそのままレース2のグリッドとなる特別ルール。#15佐藤選手、#16山本選手も、今期はポールを獲得していないため、どちらかのレースでポールポジションを獲得したいところ。

 20分間で争われるQ1は上位13台が次のQ2に進出する。開始から全マシンがコースイン。各陣営、特別な動きはなく、これまでと同様に、まずセットアップを確認するためにユーズドタイヤで走行を行う。#16山本選手は2LAP目に1分40秒259を刻み、暫定トップに躍り出る。3LAP終了後にピットイン。残り7分となったところで#16山本選手はニュータイヤを履き、コースイン。#15佐藤選手も残り5分となったところで、ニュータイヤを履き、コースイン。

 両者とも丁寧にタイヤに熱を入れ3LAP目にアタックに入る。#16山本選手は1分39秒574を記録し7番手、#15佐藤選手は1分39秒784を記録し9番手につける。見事両者ともQ1を突破した。これによりレース1のスターティンググリッドは山本選手7番手、佐藤選手9番手からのスタートが決定した。

 Q2は14:00から始まった。ポールポジションを狙うQ3に進出するには8位までに入らなくてはならない。ここで、#16山本選手は1分39秒209を刻み、5番手でQ3進出を決める。一方、#15佐藤選手は1分39秒533に留まり11番手、Q2ノックアウトでこのセッションを終えた。

 Q3、ここでは明日のレース2のポールポジション及び上位グリッドが決まる大事なセッション。#16山本選手がポールポジションを狙って、セッション残り5分を切ったところでコースイン。3LAP目に1分38秒904という自己ベストタイムを刻み4位に入る。ここでチェッカー。明日のレース2の決勝グリッドは#16山本選手が4番手、#15佐藤選手は11番手からのスタートとなった。

●11月4日(日)
■レース1決勝
#16山本 15位(20周 35分14秒753 ベストラップ1分44秒107)
#15佐藤 17位(20周 35分20秒276 ベストラップ1分43秒789)

 昨日の天気とはうって変わり、うっすら雲があるものの快晴。絶好のレース日和となった。チームは昨日から大きなセットアップの変更は行わずに、レース1に備える。通常の日曜日であれば、9:00からフリー走行が行われるところだが、そのフリーセッション設定が無く、午前中からレース1決勝となる。レース1は20周で行われ、タイヤ交換、給油義務がない、ピットインのない超スプリントレース。気温17℃、路面温度23℃とまずまずの気温の中、9:35から8分間のウォームアップ走行で最終マシンチェックを終えると、一度ピットにマシンを戻し、9:48ダミーグリッドにマシンを送り出す。
 ここからスタート進行が始まる。是が非でも優勝したい両ドライバー。緊迫した空気がチーム内に張り詰める。国家斉唱、大会宣言が行われ、フォーメーションラップが始まる。なんとここで#15佐藤選手のマシンはエンジンストール。これで11番手スタートの座は無くなり、最後尾18番手からのスタートとなる。
 シグナルブラックオフとともにスタート。スタートを#16山本選手はポジションキープで、予選順位どおり7位で進入。#15佐藤選手は、なんとスタートでもエンジンストール。大きく出遅れてしまう。序盤#16山本選手は前を走る#32小暮選手と僅差でバトルする展開。#15佐藤選手は、無事エンジンを始動させ、トップと変わらない1分43秒台で少しでも順位を上げようと猛追を図る。
 一方、#16山本選手は、5LAP目にベスト1分44秒107 を刻むものの、これ以降タイムを上げられぬままポジションキープの展開。大きく出遅れた#15佐藤選手だったが、9LAP目シケインで#18を鮮やかにパス。観客を沸かせる。
 その後、膠着状態が続く。ファイナルラップを迎えた1コーナー、#16山本選手が駆動系トラブルによりスローダウン。速度が回復するかと思われたが、デグナーカーブ付近では完璧に失速。しかし#16山本選手は懸命にゴールラインにマシンを運び15位完走。#15佐藤選手も17位で完走。結果は残念であるものの、両ドライバー、貴重なデータを確保し完走でレース1を終えた。


■レース2決勝
#15佐藤 10位(28周 49分42秒759 ベストラップ1分43秒992)
#16山本 規定周回数不足(4周 7分22秒409 ベストラップ1分45秒113)
  

 レース2は28周で競われる。レース1とはルールが異なり、タイヤ交換の義務があるため、ピットインの必要がある。また給油も出来るため、チームは幅広いレース戦略が立てられる。13:45から8分間のウォームアップ走行が開始され、鈴鹿の晴天下にフォーミュラサウンドが響きわたる。#15佐藤選手は順調にチェックを行うものの、決勝レース1で駆動系にトラブルを出した#16山本選手のマシンは非常に深刻な状態。ピットで懸命な修復作業を行っている。
 13:53、チェック走行がフィニッシュすると、13:58、各車グリッドに向けコースイン。この時点でもまだ#16山本選手のマシンはピット内での作業が続いていた。14:03のピット出口閉鎖に間に合わなければ、最後尾スタートまたはピットスタートとなってしまう。しかし#16山本選手のマシンはピット出口閉鎖3分前にコースイン。マシンを4番グリッドにつける。しかしマシンは全て修復しておらず、グリッド上での時間を有効に使い、最後のマシン修復を行う。グリッド上でマシンの作業を行えるのは14:25まで。クルーの懸命の作業により14:20までに全ての作業を完了する。

 気温17℃、路面温度20℃と午前中より若干気温が下がる中、14:30、フォーメーションラップが開始される。各車マシンを左右に振り、バーンアウトを繰り返し、タイヤを暖める。14:33、全車整列。シグナルブラックアウトと共に戦いの火蓋が切られた。#15佐藤選手、#16山本選手ともに無事スタートを切り、ライバルを追いかける。#16山本選手はスタートダッシュに失敗、1コーナーで後続に先行を許し5番手に落ちる。
 そして3LAP目に#16山本選手に再び悲劇が襲う。なんとまたしても駆動系トラブルが発生。リタイアとなる。一方、#15佐藤選手は安定したペースを維持し、9LAP目に4番手に浮上し、10LAP目にピットイン。ピットクルーは規定のタイヤ交換を8.3秒で終え、コースに送り出し、10番手でコースに戻る。そして12LAP目には自己ファステストラップ1分43秒992をたたき出しライバルを追う。しかし抜くには至らず28周にわたるレースは10番手でフィニッシュとなった。


■山本尚貴選手コメント
 マシンの駆動系トラブルで残念ながら2レースとも落としてしまいました。レース1はチェッカーを受けられたのですが、レース2はリタイアでポジションを失ってしまいました。非常に残念な週末でした。マシンのダメージはかなり深刻で、レース1が終わってからレース2開始ぎりぎりまでかかって直してくれた、メカニックさん達に非常に感謝しております。本当に、マシントラブルで残念な結果でした。また、1年間応援してくれた皆様には、結果が全く残せなくて申し訳ございません。このような結果や悔しさをバネに来年は頑張りたいと思います。

■佐藤琢磨選手コメント
 レース1はスタートでエンジンをストールさせてしまいました。土曜日のフリー走行では1時間のフリーセッションで数周の走行に留まっていたので、レース1は僕にとってドライでの初めてのフルスティントでした。タイヤがどう変わるか、それによってマシンバランスがどう変わるか、僕らが課題とするものが何か、というものがクリアになったのは本当に良かった。
 その対策をレース2で出来たので、スタートからレースを楽しむことが出来ました。全体的なペースの底上げが出来ればよかったのですが、レース中のペースを安定させることが出来て、終盤にかけて追い上げられたのは良かった。いままでやって来ていなかったセットアップをチームと一緒にやってきて、2戦を終えて良い方向性が見えてきたので、次はこれを更に一歩前進させたい。チームが持っているデータと、ここ2戦でやった新しい試みをスピードに繋げられたら良いと思います。
 鈴鹿には本当に沢山のファンが来てくれたし、チームも凄く良いサポートをしてくれたので、楽しくレースが出来ました。次は更に上を目指したいです。

■手塚監督コメント
 2レースあったので、どちらかで優勝またはポイントを取りたかった。レース1で駆動系トラブルが出た山本選手のマシンをチーム一丸となって修復して、レース2は4番手スタートということもあり期待していたのですが、レース1で出たトラブルが再発し、リタイアに終わってしまいました。トラブルの原因は会社に帰ってから調べますが、しっかりバラして原因を究明いたします。
 そして最後のJAF戦は頑張ります。今回、得意な鈴鹿でのレースでしたので意気込みは特別なものでした。しかし残念な結果で非常に辛い気持ちです。真摯に受け止めて次のレースにつなげたいと思います。応援していただいた方に申し訳ない気持ちで一杯です。引き続き応援宜しくお願いします。

■勝間田エントラント代表コメント
 予選を含めて煮詰められない部分がありました。#16山本選手の車は予選でセットが見つかり、良い方向でマシンをセットアップできました。レースは非常に残念な結果でした。まさか普段壊れないようなところが壊れ、レース1終了後、ぎりぎり間に合わせて修復したのですが、またトラブルが出て非常に残念です。今日でシリーズ戦も終了となりましたが、フラストレーションがたまるレースが多かったのは事実です。
 やはり予選を含めて安定して上位にいないと良い結果が残せないと思います。#15佐藤選手が菅生から我々のチームに参加してくれて、2台体制となり、マシンのデータが飛躍的に効率よく多く取れるようになったことは非常に良かった。JAF戦は期待してください。良いところをお見せしたいと思います。応援宜しくお願い申し上げます。