Rd.6 FUJI

2013年9月10日

「MUGEN CR-Z GT」
厳しい条件の中でポイント獲得し、
ランキングトップを守る!

シリーズ名:2013 AUTOBACS SUPER GT SERIES ROUND 6
大会名:FUJI GT 300km RACE
距離:4.563km×66周(301.158km)
予選:9月7日(土) 曇り・観衆:19,500人(主催者発表)
決勝:9月8日(日) 雨のち曇り・観衆:32,800人(主催者発表)

 #16 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴組)は、9月7日〜8日に富士スピードウェイ(静岡県)で開催されたSUPER GTシリーズ第6戦に出場した。

 前戦、真夏の1000kmから一転、今回のレース距離は通常の300km。長いストレートのある富士スピードウェイでの高速レースになる。

 シリーズランキングトップの#16 MUGEN CR-Z GTのウェイトハンディは累積計算上114kgに及ぶ(規則上、積載ウェイトハンディの上限である100kg)。性能調整と合わせ厳しい条件となるので、チームはストレートスピードを稼ぐため、思い切ったレスダウンフォース仕様でマシンを仕上げた。

 前戦に引き続き、搭載バッテリーで駆動するエアコンシステムを搭載するが、ドライバー冷却をハイブリッドシステムの冷却に切り替え走行性能向上を図る仕組みとした。

9月7日(土)

公式練習:15位(ベストタイム:1分41秒228)

 秋雨前線の影響で、富士スピードウェイの上空は曇天だがコースはドライコンディションで午前9時から1時間40分間の合同公式練習セッションが始まった。まず中山選手がコースイン、後半を武藤選手が担当した。

 10時40分から10分間のGT300クラスの占有走行を含め、#16 MUGEN CR-Z GTは武藤選手が14周、中山選手が21周を走行した。チームは、前戦、鈴鹿1000kmレースで終盤順位を落とした点を分析、講じた対策と作戦を確認するとともに、決勝レースを想定したセッティングの確認を行った。ベストタイムは武藤選手が記録した1分41秒228で、15位であった。

公式予選:3位(Q1:2位・Q2:3位)

  スターティンググリッドは、全マシンが参加するQ1と、Q1の上位13台のみが出走できるQ2の、2段階制ノックアウト方式で決まる。

 チームはいつものようにQ1に中山選手、Q2に武藤選手という組み合わせで公式予選に臨んだ。セッションは、Q1が15分間、Q2が12分間。予選の戦い方については前回の富士スピードウェイで行われた合同テストで確認済みだった。

 Q1に出走した中山選手は、最初のアタックで1分40秒027を記録、2回目のアタックでさらにタイムを1分39秒713へ縮めてトップに立った。その後、他車がこのタイムを更新し、中山選手は2番手でQ2進出を決めた。

 同じ富士スピードウェイで開催されたシリーズ第2戦の段階では、システム上、充放電の限界があり、基本的にタイムアタックは1セッション1回が限度であった。しかしその後、同一セッションで走行したまま間隔を置き再度タイムアタックがかけられるよう、ハイブリッドシステムの改良が進んでいた。

 Q2のタイムアタックは武藤選手が担当した。武藤選手は最初のタイムアタックで1分39秒892を記録、チェッカーフラッグが振られる寸前に再度タイムアタックをかけてタイムを1分39秒237へ短縮した。この結果、#16 MUGEN CR-Z GTは予選3番手でQ2を終えることになった。

9月8日(日)

フリー走行:7位(ベストタイム:1分51秒506)

 決勝レースの行われる日曜日、富士スピードウェイは朝から雨模様となった。午前9時からのフリー走行が始まる前には雨が強まり、コースはフルウェット状態になってライトオン指示が出された。

 #16 MUGEN CR-Z GTは、ウェットタイヤを装着して武藤選手が7周、中山選手が4周を走行して最終的なレースセッティングを確認した。ここで武藤選手が記録した1分51秒506は、7番手にあたる。

決勝:8位(61周 1時間53分36秒851 ベストタイム:1分41秒831)

 午後2時の決勝スタートを前に雨は上がり、太陽が姿を現した。路面は完全ドライ。スタートは武藤選手が務めた。

 武藤選手は3番手を守ってレースを始めると、後方車両を巧妙に押さえ込みながら前方をうかがい、10周目の1コーナーで2番手へ順位を上げた。その後、前の車両とは約1秒、後の車両とは約2.5秒の間隔を保って周回を重ねていった。

 ところが18周を消化した段階でコース上にアクシデントが発生、セーフティーカーが導入された。競技規則により20周を終えたホームストレート上に一旦整列、セーフティーカー先導で再スタートのためのローリングが始まった。この時点でピットロード入り口はオープンとなり、レースはまだ1/3を過ぎたところだったがドライバー交代義務消化と給油のためピットインする車両が相次いだ。しかし#16 MUGEN CR-Z GTはコース上にとどまる作戦を選択、22周目の段階で見かけ上のトップに立った。

 30周を前に天候が悪化、雨が降り始めて路面が濡れ始めた。レスダウンフォースのセッティングを施した#16 MUGEN CR-Z GTのグリップダウンは著しく、29周目のストレートで後続車の先行を許し2番手へ後退したが、33周目に入るストレートでは再び抜き返して先頭の座を奪還した。そして武藤選手は33周を走り終えるとピットへ帰還した。

 ピットでは中山選手への交代、給油、リヤタイヤ2本の交換作業が行われた。前戦からの性能調整により給油時間にもハンディを負ったため、フロントタイヤ交換時間を節約して対抗する作戦である。だが、セーフティーカーによるローリング中にピットインしたライバル車はこの間に先行し、作戦は裏目に出て結果的に#16 MUGEN CR-Z GTは大きく順位を落としてコースに復帰することになった。

 17番手でレースを再開した中山選手は、武藤選手から引き継いだフロントタイヤをいたわりながらの走行に徹した。この頃には#16 MUGEN CR-Z GT同様、ピット作業を早めなかった車両がピット作業を行ったため中山選手の順位は徐々に上がり、44周目には8番手となった。

 再び小雨が降り出して路面が濡れ、中山選手はグリップダウンを感じながらもペースを守り走行を重ねた。53周目の最終コーナーで後方から追い上げてきた車両に先行を許したものの、順位を落としてきた先行車に最終周で追いつき、追い抜いて8番手でフィニッシュした。

 この結果、TEAM無限は、チームポイント6点(8位に対する3点+1周遅れ完走に対する3点)のチームランキングポイントを加算、総計を78点としてランキング2番手のチームとの得点差を2点拡げて17点差とし、シリーズランキングトップを守った。ドライバーランキングポイントにおいても、武藤/中山組は3点(8位)を獲得し、ポイント総計を60点としてランキング2番手との得点差を1点拡げて、やはりシリーズランキングトップを守った。#16 MUGEN CR-Z GTのウェイトハンディは次戦、60kgへと軽減される。

武藤英紀選手コメント

最大100kgのウェイトを積んでいるのですが、チームがうまいセッティングを見つけてくれて、予選では予想以上のタイムが出ました。ウェイトは明らかな重荷になっていますが、とても乗りやすい車に仕上がりました。むしろウェイトを下ろしたとき、このバランスを保てるのかどうか逆に心配になるほどです。

決勝では、セーフティーカーが入るまでは、うまく後を押さえていたし、前にも離されずにいられたので、これなら表彰台圏内は堅いなと冷静に思っていました。再スタートのタイミングでピットに入りたいと言ったんだけど、ステイアウトと指示されました。結果的に作戦が裏目になってしまったようなので残念です。

でも、ドライバーポイントランキングでは2番手との差を1ポイントながら開くことができましたし、戦った意味はあったなと思っています。自分としては、厳しい条件の中1ポイントでも取れればいいなと思っていたレースですが、予選結果も良くて決勝ペースも悪くなかったから、もっとポイント差がつけられたかもと考えると欲が出て悔しいです。

中山友貴選手コメント

僕も交代の準備をした状態でエンジニア、監督とどうするかと話をして出した結論ですが、作戦が裏目に出てしまったようです。自分が走り出した時点では、そのことは全く意識していませんでした。自分のスティントについては、安定して走れたと思います。

武藤さんのインフォメーションを基に、タイヤはリヤ2本のみ交換と決めました。そのせいで、フロントは走り出しから暖まっていて走りやすかったんですけれど、いたわる走りを心がけたものの、だんだん消耗が進んでアンダーステアが強くなっていって、中盤ペースを上げきれなかったのが反省点です。

ただ、最後の最後に61号車を抜いてドライバーランキングポイントを1ポイント拡げることもできました。今回はすっきりしない結末になってしまいましたが、残り2レースあるので、腐らずに次回も思い切った走りをします。ただ、正直なところ、上が見えていたので悔しいです。

熊倉淳一監督コメント

車両のパフォーマンスやドライバーの頑張りを結果に結びつけられなくて悔しい気持ちで一杯です。ウェイトハンディや性能調整で厳しい状況でしたが、鈴鹿大会の結果から、レース時の戦い方を変えた車両セットアップに替えて臨みました。予想以上に効果があり、予選結果に繋げられ、レースでも十分戦える車両に仕上がっていたので期待してしまいましたがピットインのタイミングで順位を落とすことになってしまいました。

他車と同様のタイミングでピットインさせて、ウェイトハンディ100kgを積んでいる状態で残り40周走って見たら、また違う結果になっていたかもしれません。上手くいきませんでした。ただ、シリーズポイントは持って帰れましたし、ランキングで争っている相手よりも前でフィニッシュできポイント差も拡げられたので、最低限の戦果は得られたと思っています。シリーズランキングトップを守って迎える次のレースではウェイトハンディが軽減されるので、引き続き頑張ります。

ファンの皆様、不安定な天候の中ご声援ありがとうございました。