無限MUGEN

CR-Z HYBRID

SUPER GT 2014 TEAM MUGEN

Rd.1 OKAYAMA

2014年4月8日

「MUGEN CR-Z GT」
中山選手と野尻選手の新コンビ、
ポイントを獲得してシーズン開幕!

シリーズ名:2014 AUTOBACS SUPER GT SERIES ROUND 1
大会名:OKAYAMA GT 300KM RACE
距離:3.703km×82周(303.646km)
予選:4月5日(土) 曇り・観衆:9,000人(主催者発表)
決勝:4月6日(日) 曇り/晴れ/雨・観衆:18,000人(主催者発表)

 #0 MUGEN CR-Z GT(中山友貴/野尻智紀組)は、4月5日〜6日に岡山国際サーキット(岡山県)で開催されたSUPER GTシリーズ第1戦に参戦した。昨シーズン、GT300クラスシリーズチャンピオンに輝いたMUGEN CR-Z GTは、今年はカラーリングを変え、チャンピオンナンバー#0をつけてシリーズを戦う。

 2012年シリーズ後半に行われたテスト参戦を経て、昨年の本格参戦でシリーズチャンピオンに輝くという成果をあげたチームにとって、新しい2014年シリーズのテーマは、レーシングハイブリッドカーであるCR-Z GTを通して新しい才能を育てる点に置かれた。そのため、ドライバーには、昨年から引き続き中山選手を起用する一方、パートナーには、GT500へ移った武藤選手に替わり全日本F3選手権で経験を積んできた新鋭、野尻選手を迎えた。

 使用する車体は昨年使用したZF-2ベースの車体そのもので、すでに完成の域に達したとして、パワーステアリングの容量を増すなどごく一部に改良を加えたのみである。ただし2014 年 SUPER GT クラスll(GT300)の参加条件が一部変更となり、#0 MUGEN CR-Z GTに対しては、最低重量/吸気リストリクターの関係が、昨年最終戦の1、100kg/28.5、1、150kg/29.1、1,200kg/29.6から、1,100kg/28.09、1、150kg/28.66、1,200kg/29.24へと絞り込まれたので、エンジンの最大パワー低下を強いられることになった。また、ハイブリッドシステムの重量は58kgから60.1kgへと増加、最低地上高は性能調整で途中課せられた増加分が3mm減ったものの、本来の45mmよりは5mm多い50mm、給油速度規制の為、給油ホースには27.5mmのオリフィスが装備されたまま開幕を迎えた。

4月5日(土)

公式練習:9位(ベストタイム:1分28秒290)

 土曜日の公式練習はドライコンディションで行われた。まず中山選手がステアリングを握って走り出し、新しい条件で走る車体と、今回初めて使用するタイヤの状況を確かめながら周回を重ねた。セッション開始後1時間経った段階で他車のアクシデントでセッションが一旦中断されたため中山選手はピットへ戻り、セッション再開後にタイムアタックのシミュレーションを行って1分28秒290を記録、8番手につけて31周を走ってピットへ帰還、野尻選手に交代した。

 野尻選手は、#0 MUGEN CR-Z GTのドライビングに慣れ、限界を探ることをテーマに中山選手の2秒遅れ程度のペースで走行、39周を走行した。ニュータイヤを装着してタイムアタックのシミュレーションも行ったが、コース状況のタイミングが合わず、ウォームアップの過程を経験するに留まり、タイムアタックそのものはできないまま走行を終え、ベストタイムは1分30秒297に終わった。

公式予選:5位(Q1:7位 1分27秒563 / Q2:5位 1分27秒367)

 今年も公式予選は全マシンが参加するQ1と、Q1の上位13台のみが出走できるQ2でスターティンググリッドを決定する2段階制ノックアウト方式で行われる。決勝のスターティンググリッドは、Q2に進出した上位13台についてはQ2のタイム順、それ以降はQ1のタイム順で決まる。Q1とQ2は別のドライバーが走行しなければならず、タイヤはQ1で1セット、Q2でさらに1セットが使用できる。

 チームはQ1に中山選手、Q2に野尻選手という組み合わせで公式予選に臨み、まずQ1で着実にポジションを確保する作戦を採った。コースコンディションは、気温が低いもののドライ。中山選手は周回を重ねてタイヤを十分に温めると、8周走行した最終ラップにタイムアタックをかけ1分27秒563を記録して7番手に食い込み作戦通りQ2進出を決めた。

 Q2を担当した野尻選手は、じっくりとタイヤのウォームアップを行い、5周目にアタックに入ると1分27秒台に入れ、1周クールダウンとバッテリーへの回生を行うと、さらに7周目に2回目のタイムアタックを行い、タイムを27秒367へ縮めて#0 MUGEN CR-Z GTを予選5番手へつけた。

4月6日(日)

フリー走行:22位(ベストタイム:1分44秒821)

 日曜日の朝は小雨が降った影響で路面は濡れており、WET宣言が出される中、フリー走行セッションが行われた。各種レインタイヤを装着して中山選手がステアリングを握り7周を走行した。9時20分、雨が小降りになったところで野尻選手に交代し、野尻選手はマシンに馴れることをテーマに8周を周回した。

決勝:9位(75周 1時間57分59秒259 ベストタイム:1分30秒307)

 フリー走行終了後、サポートイベント中には激しくみぞれが降り始めるなど、天候は激しく変転したが、SUPER GT決勝レースのスタートは晴天、ドライコンディションで迎えることになった。スタートドライバーは中山選手が務めた。

 ローリングスタートはGT500クラスのカーボンブレーキウォームアップを考慮し、ウォームラップ1周に加えて、フォーメーションラップ1周を行う。ただし、フォーメーションラップ中に隊列を整えることができなかったため、フォーメーションラップをさらに1周多く走ってからスタートとなった。グリッド5番手にいた中山選手はポジションを守って1コーナーを通過したが、続く2コーナーで前を行くマシンを抜こうとラインをアウト側に取ったところ進路をふさがれて加速が遅れ、その間に後続車に先行されて逆に順位を7番手へ落としてしまった。

 中山選手のペースは前のマシンより速いが、コーナーで近づいても加速からストレートで引き離されるという展開に陥ってしまい、上位陣からの差はどんどん開いてしまった。15周を過ぎて天候が急変、雨が降り始めてコースが一部濡れたが、中山選手はドライタイヤのまま走行を続行、周囲よりもむしろ速いペースで走るものの追い抜きには至らないまま天候が回復、再びコースは乾いてしまった。

 前を行くマシンが脱落したこともあり中山選手は実質6番手で39周を走り終えピットイン、給油、4輪ともニュータイヤに交換して野尻選手に交代した。チームは作戦としては後輪のみ2輪を交換してピットストップタイムを短縮する作戦も選択肢として考えていたが、走行中の中山選手と無線を通して相談のうえ、後輪のみを新品にしてバランスを崩すよりも4輪とも新品にした方が馴れない野尻選手のためには良い結果につながるだろうと4本交換作戦を決めた。

 コースに復帰した野尻選手は、当初良いペースで走り始めたが、GT500にコースを譲るなどしてラインを外した際に、タイヤがコース上に溜まったタイヤカスを拾いグリップが低下する現象に苦しみ、ペースが落ちて後続車に追い抜きを許してしまった。結局、野尻選手はトップから2周遅れの9位でフィニッシュした。

 この結果、TEAM無限は、チームポイント2点(9位)、走行ラップポイント1点(2周遅れ完走)の合計3点のチームランキングポイント、中山/野尻組は2点(9位)のドライバーランキングポイントを獲得して新しいシーズンがスタートした。

中山友貴選手コメント

土曜日は走り始めると、フロントのグリップ感が足りないような感じだったのでセッティングを改善して予選を迎えました。Q1の予選ではフリー走行よりは改善できていたけどまだ少し直せるかな、というところがあったので、Q2に向けてリヤもフロントも少し変えていきました。野尻選手がフリー走行セッションでニュータイヤのアタックを練習できなかったので、その分を含めて気負わずに行ってこいと送り出したんですが、Q2ではクルマも良くなったこともあってか、いいタイムを出してくれたので開幕戦にしては最低限をクリアしたかなと思います。

自分としては、今年は責任が増えたけど、その分やりがいがあって、良い緊張の中でシーズンを迎えたと思います。クルマは基本変わっていませんが、パワステのシステムが少し改良され去年よりもステアリングのフィーリングが良くなっています。夏場のレースではすごく楽になるんじゃないかなと思います。周囲のライバルとの力関係も確かめられたのでシリーズをどう戦っていくかをこれから考えます。

次の富士のレースに向けて、去年の年末あたりから、課題を改善する道が少し見えてきているので巻き返しができるだろうと思います。去年、良かったときのクルマの状態を知っているのは自分なので、それをチームにきちんとフィードバックして走り出しからいい状態で進めていけるように頑張りたいです。

野尻智紀選手コメント

予選までは、クルマの限界がどの辺にあるのかがわからなくて、ちょっと厳しいかなあという感じでしたけど、予選に向けてお昼のインターバルに中山さんのロガー見て、これくらいは行けるんだなとイメージを作りました。また、Q2でコースインしたら(同じCR-Z GTに乗る)高木真一さんがいたので、それと同じペースで走れば、ウォームアップもうまくいくんだろうなと、良い目安にさせていただいたのも助かりました。その結果予選ではクルマの限界近くでプッシュができたと思います。1周タイヤをクールダウンして、回生もしてもう一度アタックしたら、さらに限界近くまで行けたと感じました。ようやく攻めて走れるようになったという感じですね。後はロングランが僕のテーマです。

決勝では、クルマがピットに戻ってきたときから結構緊張してしまって、自分で『大丈夫かなあ』と心配だったんですが、走り始めたらペースはそんなに悪くなかったですね。ただ、GT500が来たりするようになってからは(コースのライン外に溜まっている)タイヤカスを拾ってしまい、ペースを落とさざるをえなくなってしまいました。タイヤが消耗し、ガソリンが減ってと、状況が変化していく中で自分がどう対処すべきなのかが課題です。今まで乗っていたフォーミュラでは経験できない世界がGTにはありますね。

次は富士。先日もテストではロングランも経験させてもらったし、ニュータイヤも履かせてもらって良いテストができているので、今回抱えた課題をこれからチームともよく話し合って富士でも活かせるようにすればもっと結果が出せると思います。

熊倉淳一監督コメント

今年は、昨年以上に吸気リストリクターを絞られたので、ストレートでは非常に厳しい状況になってしまっています。一方、車高は本来の設計よりも高いままなのでトータルのダウンフォースが不足して空力的にも十分な性能が出ていません。そういう状態でフリー走行からクルマとタイヤの合わせ込みを行わなければなりませんでした。

Newタイヤで、野尻選手がどこまでタイムが出せるか確認できなかったので、無難に中山選手でQ1を走って13位以内を確実なものとするという作戦で予選に臨みました。でも、中山選手のデータを学習した野尻選手が非常に良い走りをして、彼の力で5番手というポジションを得られました。彼にとっては、初めてのQFアタックですから予想以上の結果に、非常に満足しています。

決勝の野尻選手は、タイヤカスのピックアップやGT500車両の処理の仕方などの問題で苦しんでいた事と思います。しかし、このレースを完走した事によって多くの事を学んだ事と思います。レースを熟すことによって一つずつステップアップしていけば、最終戦までには立派なGTドライバーになっていると思います。今年のテーマは新人育成を主にしているので、初戦の目的は達成できたと考えています。道上アドバイザーや中山選手の指導の下、野尻選手の今後の成長が大変楽しみです。

© M-TEC Co.,Ltd. All Rights Reserved.