2014 SUPER FORMULA

無限MUGEN

TEAM MUGEN

Rd.1 SUZUKA

2014年4月16日

TEAM無限 ニューマシンで迎えた開幕戦で
2台共に完走!第2戦へ希望を見出す。

シリーズ名:2014全日本選手権スーパーフォーミュラ第1戦 鈴鹿サーキット
大会名:SUZUKA 2&4 RACE
距離:5.807km×43周(249.701km)
予選:4月12日(土)晴れ・観衆:23,000人(主催者発表)
決勝:4月13日(日)曇り・観衆:28,000人(主催者発表)

 日本のトップフォーミュラは、昨年シリーズを全日本選手権スーパーフォーミュラと改称したのに続き、今年は車両規則を全面的に見直してシャシー、エンジンともに新規開発されたものに改められ、そのシリーズ開幕戦が三重県鈴鹿サーキットで開催された。

 TEAM無限は、チームに加わって3シーズン目の昨年、シリーズチャンピオンとなった山本尚貴選手がチャンピオンナンバー#1、#2にはSUPER GT GT300クラスでMUGEN CR-Z GTを操る中山友貴選手という2カー体制でこのレースに臨んだ。TEAM無限にとっては5年目の国内トップフォーミュラシリーズ参戦である。

4月11日(金)

占有走行 
#1山本 18位 1分40秒700
#2中山 19位 1分41秒964

 新型車両導入に伴い、11日金曜日16時から1時間にわたり、特別に占有走行が行われた。新たにイタリアのダラーラ社が製作したTEAM無限のSF14に搭載されるエンジンは、Hondaが開発した直列4気筒2.0L直噴ターボエンジン、「HR-414E」である。これまでの開発テストではテスト用エンジンを用いており、本番レース用エンジンに積み替えての走行はこれが初めてのことなので、土曜からの正規スケジュールに向けて、基本的なシステムチェックを中心に周回を行った。

4月12日(土)

フリー走行
#1山本 15位 1分39秒105
#2中山 19位 1分40秒792

 12日土曜日9時から1時間にわたり、ドライ路面でフリー走行が行われた。前日の占有走行では基本的なチェックを主眼とした走行に徹したので、フリー走行では公式予選セッションに向けてエンジン制御マッピングをチューン、それに合わせてシャシーのセッティングの確認も行われた。しかしタイムは伸び悩み、昨年同じレースで旧型車を用いて記録したタイムに及ばずに終わった。

公式予選
#1山本(Q1:7位 1分38秒130 Q2:9位 1分38秒086 Q3:―)
#2中山(Q1:17位 1分39秒109 Q2:― Q3:―)

 公式予選は昨年同様、3回のセッションにわたるノックアウト方式で行われた。全車が出走するQ1は13時50分からドライコンディションで始まった。午前中のデータを基に、2台に予選用セッティングが施された。Q1は20分。前半はユーズドタイヤを用いてセッティングの確認とタイムアタックの練習が行われたが、#1山本選手は予選向けセッティングが功を奏したか、フリー走行よりもタイムを短縮、本番タイムアタックに望みを繋いだ。

 ニュータイヤを装着して後半、コースに飛び出した#1山本選手は2周をかけてタイヤをウォームアップするとタイムアタックにかかり、1分38秒130を記録。Honda勢トップとなる7位でQ1を突破、Q2へ進出した。一方、#2中山選手は思い通りのタイムアタックができず、1分39秒109と自己ベストを記録したものの17位に終わり、Q2進出はならずスターティンググリッドは17番手となった。

 Q2は14時20分から7分間で行われた。#1山本選手は2周をかけてタイヤをウォームアップ、タイムアタックに入ってQ1でのタイムをさらに短縮する1分38秒086を記録した。しかし惜しくもQ2では9位に終わり、Q3進出の8台に残ることはできず、スターティンググリッドは9番手と決まった。

4月13日(日)

フリー走行 2回目
#1山本 16位 1分41秒624
#2中山 19位 1分43秒001

 9時5分から35分間、決勝レースへ向けたフリー走行2回目が行われた。チームは、決勝レースでの戦い方を考慮したセッティングを2台に施し、状況を確かめた。

決勝
#1山本 11位(43周 1時間16分56秒301 ベストラップ1分42秒004)
#2中山 12位(43周 1時間16分56秒999 ベストラップ1分42秒574)

 鈴鹿サーキットは薄曇りとなり、前日よりも若干気温と路面温度が下がった。チームでは、エンジンの開発状況に合わせて、ダウンフォースを減らしコーナリングでは厳しいが直線スピードを稼ぐ作戦で決勝レースに臨んだ。

 スタート合図とともに、#1山本選手はうまく加速し前車をかわして8番手へ順位を上げる一方、#2中山選手はスタート加速に失敗し18番手でレースを始めた。#1山本選手はHonda勢の先頭に立って、前方集団に引き離されることなく前車を追いかける展開となった。しかし周回を重ねると後方から追い上げられ、それを押さえ込んで自分の順位を守ることに気を配らなければならなくなった。

 12周を終えて動きが出た。#1山本選手を追いかけていた#7がピットイン、タイヤ交換と給油を行った。#1山本選手はこれを見て、タイミングを合わせ当初の予定よりも早めの13周でピットインを行うことに決め、ピットに向かった。#1山本選手は#7の前でコースに復帰、ポジションを守った。

 15周目、コース上に車両が停止したためセーフティーカーがコースイン、隊列を整えての走行となった。#1山本選手はこれで前車との間隔を詰めた。また、上位を走る他車の多くもセーフティーカーランの間にピットストップを行ったため、18周目にレースが再開されたとき、#1山本の見かけ上の順位は6番手へと上がっていた。

 セーフティーカーラン中にピット作業を行わなかった上位車両が再スタート後、レース中盤でピットインしたため、#1山本選手の順位は31周目には5番手へ上がった。その後#1山本選手は後方からの追い上げを受けながらうまく押さえ込んで自分のポジションを守る展開となった。レース後半は、コーナーでは攻め寄られながら立ち上がりから直線のスピードでまた間隔を開くという攻防が続いた。ここではダウンフォースを減らす作戦が活きる形となった。

 だがその後次第にリヤタイヤタイヤの消耗が進んでブレーキング時の安定性が悪化していき、後方車両を押さえ込む走りが難しくなっていった。#1山本選手のラップタイムは上位車よりも3秒近く落ち、後方からの攻撃は激しくなってきたが、巧妙なライン取りと、オーバーテイクシステムの使用で#1山本選手は自分のポジションを守って走り続けた。

 しかしさすがにマシンの状態には勝てず、#1山本選手は徐々に順位を落とし始め、レース終盤の38周目にはスプーンコーナー入り口でオーバーラン、順位を大きく下げ、結局優勝車から1分6秒499遅れの11位でレースをフィニッシュした。一方、#2中山選手もレース終盤、ブレーキング時の安定性に苦しみながらもコンスタントにラップを重ね、#1山本選手の直後、12位でレースを終えた。

山本尚貴選手コメント

ウインターテストの間から、Honda勢はエンジン、シャシーともに開発が遅れているということは正直感じていました。相手も闘っているわけですから、それをいきなりガラリと逆転することは難しいし、開幕戦は我慢を強いられるだろうなとはあらかじめ思っていました。でも口うるさいくらいにリクエストを出してワガママを聞いてもらってエンジンやクルマの開発を引っぱるのがぼくの仕事だと割り切っていました。それもあってか金曜の走り始めからどんどんクルマの状況は良くなっていって、予選ではQ1、Q2と自分の今までのタイムを大きく上回って走れたので、Q3には行けませんでしたが、今後へ希望が持てました。

決勝では、前のクルマについて行くためにダウンフォースを減らすセッティングに振ったので同じペースでついていけたんですが、朝のフリー走行の段階で、リヤタイヤは大事に使わなければならないなとは思っていました。でも、前半、#7を押さえ込むためには早めのピットストップをする必要があって、チームと相談の上決断しました。そのせいで後半は、何かが壊れたんじゃないかと思うくらいブレーキング時のスタビリティが悪化してペースが落ちてしまいました。今までの自分だったらもっと早く後続車に抜かれていたと思うけど、落ち着いてあそこまで頑張れたのは、チャンピオンを獲って自分に自信ができていたからだと思います。

ただ、去年のチャンピオンとして恥ずかしいレースはできないし、できる限りのことをして後を押さえ込んで闘っていたんですが、結局あれが限界でした。とはいえ、今回250kmのロングランを初めて行ってエンジンの信頼性も確認できたし、レースではどういうセッティングにするべきなのかも見えてきたので、次のレースではもっと良いポジションでレースができるようになるだろうと期待が持てました。

中山友貴選手コメント

前回のテストでは少しトラブルがあったので、金曜日の夕方の占有走行で事実上のシェイクダウンをして、システムチェックなど様々な確認を行い、土曜日のために準備ができました。でもいざ土曜日走り出して見ると他の問題が発生して思うように予選に向けたシミュレーションができず、チームはクルマとして結構なレベルまで仕上げてくれたんですが、フリープラクティスから予選に向けて走るリズムを作って行くということができず、予選では思い通りのタイムが出せませんでした。これは自分の責任です。

決勝では、ちょっと特殊なクラッチのつなぎ方をしてみたんです。練習ではうまくいったんですけど、決勝ではうまくいかず加速が出来なくて順位を下げてしまいました。これは次回の課題ですね。序盤のペースは決して悪くはなかったんですけど、テストで十分にロングランテストができなかったことが、レース結果に響いてしまったのかな。中盤以降、2スティント目の後半、急激にペースが落ちてしまいました。特にブレーキング時のスタビリティが悪くなったんです。

でもその中でライン取りやアクセルワークなどいろいろトライしてみて、非常に多くのことを学び取れました。SF14という車両とタイヤのマッチング、レースディスタンスでの変化しろなども把握できたので、次戦に向けては非常に大きなステップを踏んだとは思っています。しっかりエンジニア、チームとミーティングを重ねて、良かった点、改善すべき点を切り分けて分析していけば、チャンピオンチームらしいポジションでレースができるようになると思っています。

手塚長孝監督コメント

レース中、タイヤのコンディションが良いときは速かったですね。でも2セット目のタイヤの途中から、何か問題が起きて、後のグリップが急になくなったと言ってきてペースが急に落ちてしまいました。あそこまでペースが落ちながらしばらく後を押さえ込んだのは、山本選手の頑張りですね。あれはよく頑張ったと思います。中山選手はスタートで失敗したようですが、落ち着いて走りながら習得する物があったようです。次戦はもう少し予選で上位に行ってほしいですね。

第1戦鈴鹿では、全体的にライバルには遅れを取っている事は承知の上で戦いました。そんな状況でもポジティブに考えれば、何が負けているかも分かるし、いろいろな意味で各担当者も学ぶ物が多かった週末だったと思います。この週末だけでも、セッション毎にエンジンもクルマも少しずつ良くなりましたしね。事実上、初のロングランテスト(レース)も無事に終わった事でホッとしています。またエンジンの特性に合わせたセッティングの方向性も勉強できたと思います。結果はもちろん今回の順位は我々に取って、まったく満足できるものではありません。多くの改良の余地があると思うし、その中で何か見つけた物があると思うので、順位は順位として受け止めて、次のレースではいろいろ改良して違う展開にしなければと思っています。

スタッフの皆は夜遅くまで根気よく仕事をして車を仕上げてくれたし、大きなトラブルが無く何やら私は安堵しているのが不思議です。次戦から駄目だったところを見極めて立てなおし、速く強いチームに整えるように努力していきます。

応援してくださったファンの方々や協力してくださった皆様に、恩返しが出来るよう次戦も頑張ります。

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