無限MUGEN

神電(SHINDEN)參

SHINDEN PROJECT

2014.06.05

TT Zero Challenge 決勝

6月4日(水)

TTマウンテンコース(60.7km×1周)
天候:曇り
気温:16.5度
走行開始時刻:10時45分

天候が心配された水曜日、朝から青空が広がり絶好のコンディションのもとTT Zero Challenge決勝が行われた。

昨日火曜日は本来レースの日程がないため、ライダーたちは休息することができるが、月曜日に行われる予定だったスーパーストックTTレース決勝が火曜日に順延されたため、休むことなく水曜日を迎えた。

TT Zero決勝は滞りなく予定が進み、神電參に乗るジョン・マクギネス選手とブルース・アンスティ選手は決勝直前までラジオやテレビのインタビューに応えていた。

TT Zero決勝に出走したのは、
#1 John McGuinness Shinden san/Team Mugen(日本)
#3 Russ Mountford ARC-EV3/ARC EV Engineering(イギリス)
# 4 George Spence ION Horse/Kingston University/Ecotricity(イギリス)
#5 Bruce Anstey Shinden san/Team Mugen(日本)
#6 Mark Miller R6e/Vercar Moto(イタリア)
#7 Robert Wilson Sarolea/Team Sarolea Racing(ベルギー)
#8 Robert Barber Buckeye Current RW-2.x The Ohio State University(アメリカ)
# 9 Paul Owen Brunel BX/Brunel University(イギリス)
#14 Timothee Monot TT02/MANTTX Racing(マン島)
以上9台。

他のカテゴリーは予選順に出走するが、TT Zeroはゼッケン順でのスタートになる。TTレース決勝は1台ごと、10秒のインターバルでスタートする。マクギネス選手とアンスティ選手とのインターバルは30秒である。

TTレースはテレビの生中継はないため、レース中の状況はラジオの実況中継とセクターごとのラップタイミングでチェックするしかない。チームのメンバーはラジオやインターネットなどで状況を確認しながら、20分後のフィニッシュを固唾を飲みながら待ちわびた。

途中、コース前半ではアンスティ選手がマクギネス選手に約5秒のビハインドまで近づいたが、マウンテンのほぼ頂上「バンガロー」では18秒差まで離れ、マクギネス選手に大幅なアドバンテージがもたらされた。

クレッグニバー、ガバナーズブリッジ通過のアナウンスを確認し、録画中継用のヘリコプターが飛んで来るのを待った。

ヘリコプターがグランドスタンド上空でホバリングし始めると、ついに#1 マクギネス選手が姿を現わしチェッカーフラッグを受けた。

しかし、TT はタイムトライアルのレースゆえ、全員がゴールしてみないことには順位が確定しない。

2番目にチェッカーフラッグを受けたのは#5 ブルース選手。マクギネス選手との差は53秒325で、インターバルの30秒を引くとその差は23秒325となった。

その後全車がチェッカーを受け、#1 マクギネス選手が優勝、#5 ブルース選手が準優勝のTEAM無限ワンツーフィニッシュが確定した。

なお、#1 マクギネス選手のラップタイム 19分17秒300(平均時速117.366マイル、188.882km)は、6月2日(月)に同選手が記録したラップレコードを更新した。また、この記録は1999年のライトウェイトTT(GP250マシン)の記録に匹敵するものである。

TT Zeroは2009年から始まったエミッション・フリーの動力によるモーターサイクルのーカテゴリーで、実際には電動バイクのみがエントリーしている。TEAM無限は2012年から参戦をはじめ初年度、昨年度ともに準優勝し、今回の優勝は日本のコンストラクターとして初めての快挙である。

順位 ゼッケン ライダー マシン チーム ラップタイム 平均時速(mph) 賞典
1 1 John McGuinness Shinden San Team Mugen 19:17.300 117.366 Silver
2 5 Bruce Anstey Shinden San Team Mugen 19:40.625 115.048 Silver
3 8 Robert Barber Buckeye Current RW-2.x The Ohio State University 24:12.230 93.531
4 7 Robert Wilson Sarolea Sarolea Racing 24:12.600 93.507
5 4 Mark Miller Vercar Moto Vercar Moto 26:22.562 85.828
6 14 Timothee Monot TT02 MANTTX Racing 29:02.378 77.965

■ジョン・マクギネス選手コメント
125、250、2ストローク、4ストローク、V4などさまざまなマシンに乗ってきましたが、117マイルという記録を電動バイクで達成できたというのは本当に素晴らしいですね。この3年間、TEAM無限とともに平均時速102マイル、109マイルと記録を伸ばしてきましたが、今年の日本のテストでもチームは信じられないほどのハードワークをしてくれて、ブルースとともに本当に楽しんでこのプロジェクトに関わることができました。絶対に勝つぞと思ってやってきて、本当に勝つことができてうれしいです。

■ブルース・アンスティ選手コメント
今回初めてTT Zeroに出場したわけですが、去年のラップレコード109マイルを出したマシンにテストで乗りましたが、神電參になっていろいろと進化しているのがわかりました。今年のマシンは感動的に速く走ることができ、115マイルを達成することができました。ジョンとともに表彰台に上がれてうれしく思います。バッテリーがさらに進化すればガソリンエンジンのマシンに匹敵する速さを引き出せるのではないでしょうか。

■宮田監督コメント
ほっとしました。優勝、準優勝が決まった瞬間は、これまで3年のいろんな思いが巡って……。準備も含めてこの4年間、辛かったこともあったし、悔しいこともあったし、正直厳しいこともいっぱいありました。でも本当にチームのメンバーがしんどい思いをしてきたのが報われたと思います。

こちらに来てトラブルが出たときも当然厳しかったですが、やっぱり一番きつかったのは開発していく過程ですよね。決して潤沢なリソースがあったわけではないので、1年という開発期間の中でいかに自分たちの目標に近づけるか。多少無理してでも頑張らなきゃいけない部分があったんですよね。その中で、チームメンバーの一人一人が気持ちとかモチベーションとか目標をもって必死になって取り組んできました。

マシンをただ運んできてちょっと修理して勝ったというわけではありません。去年の神電貳がなんで負けたかを考え、悔しい思いをしてきてイチから見直して頑張った結果、ライダーも満足できて、しかも自分たちの一番理想とする結果につながったということが何ものにも代えがたいものになりました。彼らがベストパフォーマンスを出せたからこそ、この結果につながったと思います。

1回目の走行でアンスティ選手にトラブルが発生したときは、国内のテストから想定していたタイムを出してきたことを考えると、マシンの性能を出し切って限界を超えているのかなと心配し、正直、あのときは一番ピンチだと思いました。ですがスタッフの実力は高いと思っているので、絶対に直せると信じていました。

とはいえ、遠征中のマン島なので、道具がない状況の中でこの島の皆さんの理解と協力、そしてスタッフの「なんとかして100パーセントのコンディションで走らせたい」とする気持ちがなければこの結果を残すことはできなかったと思います。

われわれにとって平均時速115マイル達成が目標でしたし、それを超えたというのはすごいことだと思いますが、やはり20回優勝してきたマクギネス選手、表彰台常連のアンスティ選手が実力を十二分に発揮して、我々が想像するよりも素晴らしいライディングをしてくれた結果がこのリザルトに繋がっていると思うので、本当にすごいライダー、尊敬できるライダーたちだと思います。

来年がどういう体制になるかまだ決まっていませんので、今はまだ何も言えないのですが、117マイルという数字が限界だとは思っていませんし、他のメーカーやコンペティターもここを目指してくると思いますので、目指される立場として、今はただレースが終わったというだけでなく、我々ももっと上を目指していきたい、突き詰めていければなと思っています。

ようやくみなさんの応援にお応えすることができましたが、もし次があるならば、また全力でいこうと思っています。これからも応援をよろしくお願いします。

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