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2010.04.19

開幕戦鈴鹿レースレポート
MOTUL TEAM無限、全日本選手権復帰レースを9位完走で終える。

シリーズ名:全日本フォーミュラ・ニッポン開幕戦
大会名:SUZUKA 2&4 RACE
距離:5.807km×37周
予選:4月17日(土)晴れ 観衆21,000人(主催者発表)
決勝:4月18日(日)晴れ 観衆30,500人(主催者発表)

4月17〜18日、2010年フォーミュラ・ニッポンが三重県鈴鹿サーキットで開幕となった。2007年の、JLMC(ジャパン ル・マン チャレンジ)参戦を最後に全日本選手権から参戦を行っていなかった株式会社M-TECの自社チーム「TEAM 無限」は活躍の場所をフォーミュラ・ニッポンに移し、3年ぶりに復帰を果たす。ドライバーには元F1ドライバーでもあり、SUPER-GTでも活躍している井出有治選手を抜擢。

公式予選日を迎えた17日(土)。鈴鹿サーキットは快晴。絶好のレース日和となった。2日間の開催のため、午前中は公式練習が行われた。チーム無限のガレージシャッターを開けるのと同時に周囲の目はその中に納まっていた16号車へ注目が集まる。そこには、往年のマシン同様の無限カラーに施されたマシン が納まっていた。更に、練習走行を前にピットに姿を現した井出選手のレーシングスーツにも無限カラーが施されており、無限復活宣言を周囲にアピールした。



■17日公式練習走行
午前中の練習走行は、タイムを追わずマシンのセッティングに専念。周数走りピットインすることを繰り返し午後の公式予選に備えた。

■予選Q1セッション
予選Q1セッションは午後1時30分開始。20分間の走行で上位11人が次のQ2に進出する。
井出選手は開始早々タイヤに熱を入れるため、一度コースインするものの、すぐにピットイン。そして開始8分を過ぎたところで再びコースイン。
コース上には井出選手しか走行していない状況。残り10分を切ったところで、自己ベストタイム1’41.144を出し#16がモニター上位に表示される。
再度ピットインをし、最後のアタックに備える。残り5分を切ったところで全車がコースイン。ライバル達が最後のアタックに入る。
井出選手も再度アタックを行うものの8ラップ目に1’41.184を出したところでチェッカー。
4ラップ目に記録した自己ベストは更新できなかったものの、11位でこのセッションを終え、予選Q2にコマを進めた。


P
No.
Driver
Team
Engine
Time
Delay
Gap
km/h
1
36
アンドレ・ロッテラー
PETRONAS TEAM TOM'S
TOYOTA RV8K
R1"39.073
-
-
211.01
2
10
塚越広大
HFDP RACING
HONDA HR10E
1"39.458
0.385
0.385
210.19
3
8
石浦宏明
Team LeMans
TOYOTA RV8K
1"39.462
0.389
0.004
210.18

ー 上位8台 Q3進出 ー

11
16
井出有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
1"40.746
1.673
0.747
207.5


■予選Q2セッション
続いて行われたQ2セッションは、10分間の走行。ここでは上位8人が次のQ3へ進むことになる。
#8がタイヤに熱を入れるために、セッション開始早々にコースインするもののすぐにピットイン。全てのマシンがピット内に留まりライバル達の動向を窺う。
残り6分をきったところで全車一斉にコースイン。井出選手は3周目に自己ベスト1’40.746を出すものの、ライバル達のタイムを上回ることが出来ずに11位に沈み、このセッションで敗退。11位のポジションが確定する。
しかし予選終了後の再車検で#8の装着していたスキッドプレートに規定違反が見つかり、失格の裁定が下る。この為、順位が繰り上がり10番グリッドからのスタートが確定した。


P
No.
Driver
Team
Engine
Time
Delay
Gap
km/h
1
36
アンドレ・ロッテラー
PETRONAS TEAM TOM'S
TOYOTA RV8K
R1"39.301
-
-
210.52
2
8
石浦宏明
Team LeMans
TOYOTA RV8K
1"39.658
0.357
0.357
209.77
3
32
小暮卓史
NAKAJIMA RACING
HONDA HR10E
1"39.713
0.412
0.055
209.65

11
16
井出 有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
1"41.144
1.843
0.294
206.69

予選最終結果

P
No.
Driver
Team
Engine
Q1
Q2
Q3
1
32
小暮卓史
NAKAJIMA RACING
HONDA HR10E
1"39.713
1"39.563
1"39.917
2
8
石浦宏明
Team LeMans
TOYOTA RV8K
1"39.834
1"39.796
1"39.520
3
32
小暮卓史
NAKAJIMA RACING
HONDA HR10E
1"39.301
1"39.073
1"39.603

11
16
井出 有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
1"41.144
1"40.746
-

■18日(日)フリー走行〜決勝
18日、天候も春らしい快晴のもと決勝日を迎え、気温も20℃近くまで上がり、絶好の観戦日和となった。 8:45から30分間フリー走行が行われ、我がMOTULTEAM無限の井出選手も各車と同時にコースインしていった。

このセッションではチームはタイムを追わずに、ピットインシュミレーション、マシンチェックに専念。井出選手は昨日の予選で出た気になる挙動を一つ一つ潰し、走行を終了。井出選手の発案とチームのデータを元に決勝レースの組み立てを行った。

決勝は13:45より37周で戦われる。スタート前のセレモニーがコース上で行われると13:41マーシャルカーを先導にグリッドを離れる。井出選手は入念にタイヤに熱を入れスタートに備える。一周のローリングラップを終え、全車グリッドに着くといよいよスタートとなる。

13:45レッドシグナルが消えると同時に、37周にわたる決戦の火蓋が切られた。井出選手は絶妙なスタートダッシュを決め、1コーナーまでに3台を抜き7位に進出。なお、前を走る昨年のチャンピオンドライバー、ロイック・デュバル選手をプッシュするなど、ベテランらしい巧みな走りを観衆に披露。

井出選手の元気な走りと、復活を遂げたTEAM 無限の熱い走りに場内が沸く。3周目のシケインで#31山本選手と軽い接触があったものの、11周目まで7位のポジションをキープする。しかし12周目の1コーナーでバトルを繰り返していた#20の平手選手にパスされポジションを落としたところでピットイン。このレースでは一度の給油が義務付けられていることもあり、チームのピット作業も成績に大きく響くところ。給油と同時にタイヤ交換。

ここで周りが驚く作戦に出る。このコースは右タイヤを酷使するコース。左タイヤは最後まで持つとデータを取っていた為、少しでも作業時間の短縮を狙い、給油と右タイヤの交換のみでピット作業を終え、コースに送りだした。ギャンブルとも思えるこの作戦であるが、マシンのペースは安定。オーバーテイクボタンをうまく使い、レース折り返しの17周目には自己ベストタイムとなる1’45.312を記録する。全車がピットインを終えた、27周目の時点で8位を走行。

28周目にドッグファイトを展開していた#10塚越選手に抜かれ、ポジションダウンしてしまうとその後は後塵を大きく突き放し9位単独走行となる。そのまま安定したペースで走りきり、9位完走でチェッカーを受けた。惜しくも入賞できなかったが、チーム初レースの結果としては、次戦からの課題も得ることが出来るなど収穫の多いレースとなった。

フォーミュラ・ニッポン第2戦の舞台は、東のホンダのホームコース、ツインリンクもてぎ。5月23日決勝で行われます。皆様の応援宜しくお願いします。


決勝結果

P
No.
Driver
Team
Engine
Lap
Time / Behind
1
32
小暮卓史
NAKAJIMA RACING
HONDA HR10E
37
1:05'05.402
2
8
J.P・デ・オリベイラ
Mobil1 TEAM IMPUL
TOYOTA RV8K
37
1.242
3
32
アンドレ・ロッテラー
PETRONAS TEAM TOM'S
TOYOTA RV8K
37
3.142

9
16
井出 有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
37
1'07.540


■井出有治選手コメント
昨年のスーパーGTにおいて一緒に戦ってきたスタッフのメンテナンスや実績もあるチームなので、安心してレースに臨むことが出来ました。今年初めのテストの時から考えると凄く状態も良くなっています。これからもデータを取って、少しずつでも上位に食い込めるマシンにしていきます。数々のバトルもありましたが、自分が追い越すバトルではなく、後ろから来るライバル達とのバトルでしたので、もっと攻めて、上位を走れるレースを皆様にお見せしたかったです。レース時の作戦として、コース状態とタイヤの磨耗状態等を考えると、右側のタイヤ交換で十分戦えると判断しました。結果的には問題なくライバル達と十分戦える状態でした。第2戦もてぎもまた、ホンダのホームコースですので頑張ります。今後の応援宜しくお願い申し上げます。


■勝間田エントラント代表コメント
レース内容、結果は別として、フォーミュラ・ニッポン参戦、初戦にしては、トラブル無く走りきれたことと、チーム一丸となり、頑張ってくれたことで数々の成果を得ることが出来た。今日のレースで、次戦からの課題もはっきりしたので、これを克服して上位進出していきたい。次レースはホンダのホームコース、ツインリンクもてぎということもあり、皆様のご期待に沿える結果を残して行きたい所存です。


■手塚監督コメント
井出選手に関しては、無事ぶつからずに戻ってきてくれてよかった。フォーミュラ・ニッポン初戦にしては良かった。マシンがアンダーステア傾向でドライバーにとっては苦労した面もあったが、何よりも完走した結果が得られたことが大きい。ルーティンのピットインで、井出選手が以前、フォーミュラ・ニッポンにてローラに乗っていた頃の経験からの発案で右タイヤのみの交換でピット作業時間も短縮することが出来たので、状況次第では上位進出も出来たと思う。またスタッフは毎日、夜遅くまでが頑張ってくれたことに感謝したい。次戦は期待に応えられる成績を残したい次第です。