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2010.05.24

Formula NIPPON 第2戦 レースレポート
MOTUL TEAM無限、初めての雨のレースを9位完走

シリーズ名:全日本フォーミュラ・ニッポン第2戦
大会名:2010年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第2戦 ツインリンクもてぎ
距離:4.802379km×52周
予選:5月22日(土)晴れ ・観衆5,000人(主催者発表)
決勝:5月23日(日)曇りのち雨・観衆:10,000人(主催者発表)

5月22日(土)〜23日(日)、全日本選手権 フォーミュラ・ニッポン第2戦が、栃木県・ツインリンクもてぎで開催された。鈴鹿の開幕戦から約1ヶ月。新生チーム無限にとって関東圏においてお披露目のレースであった。
このツインリンクもてぎはホンダ陣営のホームコース。直線をRのきついコーナーで結ぶ独特のレイアウトを持つ。このためドライバーにはハードブレーキングが強いられる、タフなサーキット。その分、ブレーキバランスのセッティングが最重要課題となる。



■5月22日(土)公式練習走行
9:40〜10:40に行われた公式フリー走行。朝から気温がぐんぐん上がり気温26℃、路面温度は32℃まで上昇。初夏のような気候となった。
鈴鹿、富士ではJRP主催で合同テストが行われたものの井出選手にとって現在のフォーミュラ・ニッポンのマシンFN09では初の走行となる。昨年からエントリーしているライバルチームとの差を埋めるために、もてぎのスタンダードなセットからチーム無限のスタッフが短い時間を使ってセッティングを進化させる。

手塚監督の的確な指示により、マシンは進化を遂げていく。結局このセッションは20ラップをこなし、5回のピットインを行い、マシンを熟成させ、終了直前にベストタイム1'35.864を刻み9番手で終える。
井出選手にとっては、路面コンディションの悪さとマシンセッティングにやや課題も残った状況であったが、最終ラップに上位陣と同じ1分35秒台に入れたことで、予選での上位進出に期待が高まった。


5月22日 フリー走行(1回目)

P
No.
Driver
Team
Engine
Time
Delay
Gap
km/h
1
19
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
Mobil 1 TEAM IMPUL
TOYOTA RV8K
1'34.615
-
-
182.69
2
36
アンドレ・ロッテラー
PETRONAS TEAM TOM'S
TOYOTA RV8K
1'34.667
0.052
0.052
182.59
3
32
小暮 卓史
NAKAJIMA RACING
HONDA HR10E
1'34.775
0.16
0.108
182.38

13
16
井出有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
1'35.864
1.249
0.247
180.31

タイヤはブリヂストン(BS)ワンメイク



■5月22日(土)予選Q1セッション
14:25から開始された公式予選気温28.9度、路面温度47.9度という初夏を思わせる気候のもと、開幕戦と同様のノックアウト方式が採用された。
Q1で上位11台がQ2に進出することとなる。20分間で行われるQ1が開始と同時に井出選手がユーズドタイヤを履きコースイン。まずはマシンチェックを行う。午前とは路面の状況の変化を感じ取り4周を終えたところでピットイン。ニュータイヤを履きQ1突破を狙う。

残り、7分となったところで再びコースイン。丁寧にタイヤに熱を入れ、皮むきを終えたところアタックに入る。Q1の7周目にベストタイム1'36.207を刻み9番手に浮上するものの、終了間際にアタックを行っていなかったランキング上位陣が速いタイムを刻み13番手に後退。Q1突破はならず。決勝は13番手グリッドからのスタートが確定した。


5月22日 予選 Q1

P
No.
Driver
Team
Engine
Time
Delay
Gap
km/h
1
32
小暮 卓史
NAKAJIMA RACING
HONDA HR10E
1'34.307
-
-
183.28
2
19
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
Mobil 1 TEAM IMPUL
TOYOTA RV8K
1'34.476
0.169
0.169
182.96
3
20
平手 晃平
Mobil 1 TEAM IMPUL
TOYOTA RV8K
1'34.618
0.311
0.142
182.68

ー 上位11台までQ2進出 ー

13
16
井出有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
1'36.207
1.900
0.046
179.66

タイヤはブリヂストン(BS)ワンメイク



5月22日 予選総合結果

P
No.
Driver
Team
Engine
Q1
Q2
Q3
1
19
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
Mobil 1 TEAM IMPUL
TOYOTA RV8K
1'34.476
1'34.251
1'33.967
2
36
アンドレ・ロッテラー
PETRONAS TEAM TOM'S
TOYOTA RV8K
1'34.658
1'34.235
1'33.986
3
32
小暮卓史
NAKAJIMA RACING
HONDA HR10E
1'34.307
1'34.265
1'33.986

13
16
井出 有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
1'36.207
-
-

タイヤはブリヂストン(BS)ワンメイク



■5月23日(日)フリー走行〜決勝
決勝日、午前中の天気は雲が厚く垂れ込み、予選日とはうって変わって気温19℃まで下がり、季節が逆戻りしたような肌寒い気候となった。

8:45から30分間フリー走行が行われ、我がMOTUL TEAM無限の井出選手はコースオープンと同時にコースインしていった。このセッションは、ピットインシュミレーション、マシンチェックを行う。井出選手は予選後、修正を行ったマシンの挙動を一つ一つ確認し走行。序盤からトップタイムに迫る快走をみせ、5周目に昨日出したタイムを上回る1'35.355をたたき出し2番手につける。

その後ピットインしてフロントダンパーの調整を行うと1分35〜36秒台の安定したタイムで周回を重ねる。その後ポジションを落とすものの15周を走りきり3番手でこのセッションを終了。決勝にチーム、ドライバーともに手ごたえを感じた。しかし午後の天気予報は雨。データをもとに綿密な作戦をたてた。


5月23日 フリー走行(2回目)

P
No.
Driver
Team
Engine
Time
Delay
Gap
km/h
1
2
伊沢 拓也
DoCoMo TEAM
DANDELION RACING
HONDA HR10E
1'34.851
-
-
182.23
2
8
石浦 宏明
Team LeMans
TOYOTA RV8K
1'35.100
0.249
0.249
181.76
3
16
井出有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
1'35.355
0.504
0.255
181.27

タイヤはブリヂストン(BS)ワンメイク



今回のレースは距離が250kmに設定され、開幕戦の220kmよりは長くなるものの、ピットインやタイヤ交換の義務は無い。雨天の路面コンディションから、チームは本来のルーティンのピット作業と同様の4輪タイヤの交換と給油を行う作戦を立てた。

ライバルチームがどのような作戦を取るのか。チーム無限と同様の作戦を取るのか、あるいは、給油のみという作戦を取るのか。その両方が現れるのではないかと予想された。そのあたりが今回のレース結果を左右するのは確実であった。雨天となると、トルクフルで中間加速に優れていると言われているホンダエンジンを使用する我がチームは、強力なアドバンテージを持っていた。

予想どおり正午頃から雨が落ち始める。スタート前、14:00の気温は朝からさらに下がり17.4℃、そして雨は更に本格的に降る状況で完全ウェット状態となった。ピット内で装着されたのは深溝のレインタイヤ。決勝前のチェック走行でもタイヤの内圧の綿密なチェックを行う。
国家斉唱等のセレモニーが終わると14:30にフォーメーションラップがスタート。水しぶきが高く舞い上がるほど路面はフルウエット状態。井出選手はマシンを左右に振り、アクセルワークでホイールを空転させ、丁寧にタイヤに熱を入れる。

14:04、シグナルのブラックアウトとともにスタートが切られた。13番手からスタートの井出選手は前戦の鈴鹿開幕戦と同様にロケットスタートを決め、オープニングラップでは早くも2台を抜き、また他車のアクシデントにより9番手でコントロールラインを通過。井出選手は序盤、前を行くペースの上がらないマシン集団に追いついてしまい、抜けない状況が続く。

この為、トップグループと大きく差をつけられてしまう。チームは井出選手とフューエルカウンターをチェックし合い、ピットインのタイミングを計る。手塚監督が出した答えは、早めにピットインを行い、終盤に追い上げる作戦であった。チームの采配が見所となった。

井出選手は16周目にピットイン。タイヤ交換、給油を行い24秒の作業タイムでコースに送り出し、11番手でコースに戻ることとなった。そしてタイヤ内圧が安定してきた26周目からラップタイムを1分50秒台に安定させ、前を走る#31を追う。

レースが中盤戦に入る30〜32周目くらいから、各チーム、ルーティンのピットインが始まる。今回はピットインが義務付けられていないが全てのチームが普段と変わらないルーティンのピット作業を行う(#31のみタイヤ無交換)。

終盤になるにつれ井出選手のラップは安定。全車ピットインを終えたところで9番手を走行していた。セクター1〜2で速いラップを刻む井出選手。終盤45周目にはラップタイムを1分49秒台に入れ、49周目には自己ベストとなる1'49.386を刻んで猛プッシュをかける。

そして16:09、ファイナルラップに入る。ピットクルーはこのまま、何とか走り切ってもらいたい強い願いでモニターを見つめる。結局順位変化は無く、トップから1周遅れで51周を無事走りきり入賞目前の9位でチェッカーを受けた。

フォーミュラ・ニッポン第3戦の舞台は、トヨタ陣営のホームコース、富士スピードウェイ。7月18日決勝で行われます。皆様の応援宜しくお願いします。


5月23日 決勝結果

P
No.
Driver
Team
Engine
Lap
Time / Behind
1
19
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
Mobil 1 TEAM IMPUL
TOYOTA RV8K
52
1:35'31.81
2
10
塚越 広大
HFDP RACING
HONDA HR10E
52
40.587
3
36
アンドレ・ロッテラー
PETRONAS TEAM TOM'S
HONDA HR10E
52
43.730

9
16
井出 有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
51
1Lap

タイヤはブリヂストン(BS)ワンメイク



■井出有治選手コメント
今回、チームがとても良い状態で持ち込んでくれたので予選Q3進出を狙える状態でした。自分なりに更に上位グリッドを目指して色々トライをしたことが裏目に出て下位に沈んでしまいました。しかし次に繋がる失敗なので、自分なりには納得しています。しかし決勝後半はトップグループと変わらないラップタイムを刻めたので、最初のうちに順位を上げていれば、上位でのフィニッシュは確実でした。次の富士は3月のテストではクルマも仕上っていなくてデータもまだまだ不足していますが、チーム全体が良い方向に向かっているので良い結果が残せると思います。


■勝間田エントラント代表コメント
データの無い中での9位入賞は上出来である。レインでの走行データと、タイヤの使い方のデータが収集できたのが大きな収穫であった。戦いとしては、まずは予選で上位に行かなくては、勝負にならない。あと一発の速さがもう少し発揮できればもっと上位での戦いに参加できると思う。そのためにはドライバーも頑張ってもらいたいし、チームもそれに応えるべく努力をしていかなくてはならないと思う。チーム一丸となって進化しているので、今後の戦いに期待していただきたいと思う。


■手塚監督コメント
データのほとんど無い手探り状況の中で、数々のデータが取れたことは、大変有意義なレースでありました。しかし、もっとマシンの情報を収集しマシンを煮詰め競争力を上げなくてはならなりません。決勝の戦い方については、鈴鹿に続き、ロケットスタートを決め2台抜いて戻ってきたので、上位入賞も見えていました。序盤、前のライバルマシンがつかえていたので、予定より早くピットインをさせ、後半にかける展開としました。タイヤのチョイスがうまくいき、燃料が軽くなった終盤はとても良いライムを刻んでライバルを追い詰めることが出来ました。入賞までもう一歩のところでのフィニッシュで残念なところもありますがチームは良い流れになっていますので今後のレースに期待してください。