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2010.08.09

全日本フォーミュラ・ニッポン第4戦
“MOTUL TEAM無限、9位完走でレースを終える”

シリーズ名:全日本フォーミュラ・ニッポン第4戦
大会名:2010年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第4戦 ツインリンクもてぎ
距離:4.802379km×52周
予選:8月7日(土)(晴れ ・観8,000人)(主催者発表)
決勝:8月8日(日)(晴れ・観衆:16,000人)(主催者発表)

夏、真盛りの8月7〜8日、栃木県にあるツインリンクもてぎにおいて、全日本フォーミュラ・ニッポン第4戦が開催された。
シリーズも、いよいよ折り返しとなるこのレース。シリーズのここまでの流れだが、新規参戦チームの為、データ不足が顕著に現れ、セッティングデータをレースで見つけるという、我慢のレースが続き、ドライバーの井出選手は、依然ノーポイント。しかし前戦富士では予選Q3まで進出するなどマシンのポテンシャルはかなり上がっており、上昇気運で行われる第4戦だけに、是が非でも入賞を目指したいところ。今年2回目のもてぎ大会ということもあり、事前データも揃っており、チームは万全の体制でサーキットに乗り込んだ。


■8月7日(土)フリー走行1回目(9:45〜10:45)
9:45から60分間で行われた公式フリー走行。若干雲が多めであるが、朝から気温が30℃を超え、今年の酷暑を象徴するような気候となった。セッション開始から5分後にコースイン。前回の同サーキットで得たスタンダードなセットから走り始める。開始早々の4ラップ目に1’37.521を記録し、ラップモニターの2番目に#16が表示される。その後、ピットイン。

この段階でコースインしたマシンは7台のみ。開始10分頃からほとんどのマシンがコースイン。上空の雲が切れ、強い日差しがコースを照りつけ出す。ランキング上位陣がタイムを刻み始め、開始25分過ぎには12番手までポジションを下げていた。井出選手はアンダーステアの傾向にあったマシンを果敢に操るが、厳しい気候のためか、タイムアップ出来ずにピットインを繰り返す。チーム無限のスタッフが短い時間を使って更にセッティングを進化させる。

井出選手のマシンフィーリングとデータを基に手塚監督の的確な指示により、マシンは進化を遂げていく。終了13分前に他車のコースアウトにより、一時赤旗中断の後、残った時間で渾身のアタックをする井出選手。最終の19周目にベストラップを1’36.482までタイムを縮め、10位まで順位を上げる。気温の高さ、高い路面温度によるコンディションの悪さの為か、アンダーステア傾向のマシンに苦しめられた井出選手であった。しかしベスト10圏内に入れたことで、予選での上位進出に期待が高まった。


8月7日 フリー走行(1回目)

P
No.
Driver
Team
Engine
Time
Delay
Gap
km/h
1
32
小暮 卓史
NAKAJIMA RACING
HONDA HR10E
1'35.557
-
-
180.89
2
31
山本 尚貴
NAKAJIMA RACING
HONDA HR10E
1'35.587
0.03
0.03
180.83
3
19
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
Mobil 1 TEAM IMPUL
TOYOTA RV8K
1'35.636
0.079
0.049
180.74

12
16
井出有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
1'36.482
0.925
0.091
179.15

タイヤはブリヂストン(BS)ワンメイク


■8月7日(土)公式予選(Q1 14:10〜14:30 / Q2 14:40〜14:50 / Q3 15:00〜15:10)
午前同様、天気は快晴。気温も更に上がり、予選時間前の14:00にはすでに温度計の数値は気温34.2℃。路面温度は51℃まで上昇していた。予想はしていたが、この記録的猛暑がドライバーやマシンにどのような影響を与えるかは、どのチームにとっても未知の領域であった。

●公式予選Q1 (14:10〜14:30)
14:25から開始された公式予選、フォーミュラ・ニッポン恒例のノックダウン予選方式で順位が競われる。この大会から参加台数が1台増え、15台での争いとなった為、Q2進出マシンの台数が変更となり、Q1における成績で、上位12台がQ2に進出することとなる。

20分間で行われるQ1の開始と同時に、井出選手がユーズドタイヤを履きコースイン。まずはマシンと路面のチェックを行う。路面温度の高さから、午前とは異なる路面の状況を感じ取りピットイン。アンダーステアが若干出る報告を受けた手塚監督は、車高の再アジャストの指示を出す。ニュータイヤを履きQ1突破を狙う。

ライバル達のほぼ全車が残り6分となったところで再びコースイン。井出選手もこの隊列に続く。フロントタイヤに丁寧に熱を入れ、皮むきを終えたところでアタックに入る。順位が目まぐるしく変わる中、井出選手らしいアグレッシブなドライビングにより、最終8周目にベストタイム1’37.105を刻み12番手に浮上。この結果公式予選Q1突破に成功した。


8月7日 予選Q1

P
No.
Driver
Team
Engine
Time
Delay
Gap
km/h
1
31
山本 尚貴
NAKAJIMA RACING
HONDA HR10E
1'35.650
-
-
180.71
2
18
平中 克幸
KCMG
TOYOTA RV8K
1'35.742
0.092
0.092
180.54
3
19
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
Mobil 1 TEAM IMPUL
TOYOTA RV8K
1'35.832
0.182
0.09
180.37

12
16
井出有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
1'36.582
0.932
0.095
178.97

タイヤはブリヂストン(BS)ワンメイク


●公式予選Q2 (14:40〜14:50)
10分間のインターバルを経て、14:40〜14:50に行われた予選Q2。僅か10分で8番手以内のタイムを出さなくてはならず、4台がドロップアウトとなる。セッション前、誤った場内アナウンスで#16井出選手のQ1ドロップという放送がなされ、一時、情報が錯綜するが、予定どおりQ2進出となる。

井出選手が12番手からどこまで順位を上げられるかに、注目が集まる。セッション残り7分となったところでコースイン。アンダーステアの傾向が消せぬまま挑んだQ2セッション。マシンを左右に振り、入念にフロントタイヤに熱を入れる。

路面の状況を感じ取り2周目からアタックを開始。3周目に今日の最速タイム1’36.451を記録するものの11位でセッションを終える。この結果Q3進出はならず、決勝11番手からのスタートが確定した。



8月7日 予選Q2

P
No.
Driver
Team
Engine
Time
Delay
Gap
km/h
1
32
小暮 卓史
NAKAJIMA RACING
HONDA HR10E
1'35.428
-
-
181.13
2
36
アンドレ・ロッテラー
PETRONAS TEAM TOM'S
TOYOTA RV8K
1'35.519
0.091
0.091
180.96
3
19
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
Mobil 1 TEAM IMPUL
TOYOTA RV8K
1'35.572
0.144
0.053
180.86

11
16
井出有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
1'36.451
1.023
0.13
179.21

タイヤはブリヂストン(BS)ワンメイク


8月7 日 予選総合結果

P
No.
Driver
Team
Engine
Q1
Q2
Q3
1
32
小暮 卓史
NAKAJIMA RACING
HONDA HR10E
1'36.051
1'35.428
1'35.347
2
1
ロイック・デュバル
DoCoMo TEAM DANDELION RACING
HONDA HR10E
1'35.852
1'35.608
1'35.385
3
19
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
Mobil 1 TEAM IMPUL
TOYOTA RV8K
1'35.832
1'35.572
1'35.455

11
16
井出有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
1'36.582
1'36.451
-

タイヤはブリヂストン(BS)ワンメイク


■8月8日(日)フリー走行(9:35〜10:05)
フリー走行は9:35より、30分間で行われた。強い日差しがサーキットを照りつけ、セッション開始時の気温は早くも32℃まで上昇。路面温度も50℃まで達した。風も無く、路面からの照り返しも暑さに拍車をかける。

井出選手はコースオープンと同時にコースイン。このセッションで決勝セットチェックとピットインシュミレーションを行う。8周目に1’38.598の自己ベストタイムを刻むが、暑い路面温度の影響が響きオーバーステアに苦しむ。タイヤには予想を超えた過酷な状況のようだ。結局、15周を走行し13位でこのセッションを終えた。


8月8日 フリー走行2回目

P
No.
Driver
Team
Engine
Time
Delay
Gap
km/h
1
2
伊沢 拓也
DoCoMo TEAM DANDELION RACING
HONDA HR10E
1'37.063
-
-
178.08
2
32
小暮 卓史
NAKAJIMA RACING
HONDA HR10E
1'37.149
0.086
0.086
177.92
3
8
石浦 宏明
Team LeMans
TOYOTA RV8K
1'37.156
0.093
0.007
177.91

13
16
井出有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
1'38.598
1.535
0.085
175.31

タイヤはブリヂストン(BS)ワンメイク



■決勝(14:45〜 52周)
今回のレース距離は第2戦と同じ250qに設定されているが、ピットインの義務が加わった。その為、チームはスタート時のガソリン搭載量や、細かいタイヤ管理を行わなくてはならない。気温35.5℃、路面温度は58℃まで達し、ドライバーだけでなく、エンジンやタイヤにとっても、さらに過酷状況になった。

マシンがダミーグリッドに着くと、スタッフ全員で冷却ファンやドライアイスを使いマシンのクーリング作業に入る。国家斉唱、フォーメーションラップを終えるとブルーシグナルと同時に14:15に決勝レースがスタート。52周の熱い戦いが始まった。ホールショットを奪ったのは#1デュバル選手。#16井出選手もスタートダッシュを決め、中盤グループとともに1コーナーに進入。2コーナーに入る際、#3松田選手のマシンに井出選手のマシンの右前方が接触。#3はコースアウト。井出選手は幸いにも、コースにとどまり8番手まで順位を上げる。

チームはマシンにダメージを負っていることを懸念し、緊急ピットインに備え、フロントノーズ、タイヤを用意。2週目に#18平中選手に先行を許すものの、幸いにも走行に支障が無く、その後は1分40秒〜41秒で安定したラップタイムを刻む。5周目#36ロッテラー選手がストップ。自動的に8位に上がる。後方からは、もてぎを得意とする同じホンダエンジンを積む#10塚越選手が迫る。緊迫したバトルが勃発する。

チーム無線をとおし手塚監督が井出選手を心配し言葉をかける。「水飲めよ!」と言葉をかけと井出選手からは「飲んでる!」と言う返答。チーム内ではこのやり取りを聞き幾分和やかな雰囲気になる。

しかし16周目の3コーナーで#10塚越選手にかわされてしまう。9位にポジションダウンしたところで、手塚監督は早めのピットインを決める。スタッフに搭載燃料の指示と、勝負の行方を左右するタイヤには細かいエア圧の調整を指示する。19周目ルーティンのピットイン。タイヤ4本とガスチャージを行い、18.5秒でコースに送り出す。12位でコースに復帰した井出選手は、エア圧の調整が功を奏し、毎週ほぼ同タイムの安定したタイムで走行。中盤27周目頃から、多くのチームがルーティンのピットインに入る。

井出選手は順位を徐々に戻すと共に、30周目には自己ベスト1’.40.238を記録し入賞圏内の8位を走行する。しかし35周目に#8石浦選手にかわされ9位にドロップ。後方の10位のマシンとは大きなマージンを築いている。なんとしてでもこのレース、1つ順位を上げ入賞したいところ。猛追を開始するが、#8石浦選手のペースは予想以上に速く、逆に大きな差をつけられてしまう。残り10周となった42周目、燃料のミクスチャーのマップ変更の指示を出し、完走を狙う。

井出選手もチームの期待に応え、1分41秒台の安定したペースで走行。後方からライバルが追い上げてくるものの、井出選手はトップから1周遅れで51周を走りきり、入賞目前の9位でゴールとなった。

フォーミュラ・ニッポン第5戦の舞台は、フォーミュラ・ニッポン東北地区唯一の開催となる、杜の都仙台、スポーツランド菅生にて9月26日決勝で行われます。 皆様の応援宜しくお願いします。



8月8日 決勝

P
No.
Driver
Team
Engine
Lap
Time / Behind
1
1
ロイック・デュバル
DoCoMo TEAM DANDELION RACING
HONDA HR10E
52
1:27'17.626
2
32
小暮 卓史
NAKAJIMA RACING
HONDA HR10E
52
1.033
3
20
平手 晃平
Mobil 1 TEAM IMPUL
TOYOTA RV8K
52
8.478

9
16
井出 有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
51
1Lap

タイヤはブリヂストン(BS)ワンメイク


■井出有治選手コメント
走り出し、予選が厳しい状況でした。決勝も結局ポイントもとれなかったので残念な結果です。チームが頑張ってマシンを用意してくれたので、それに答えるために決勝は安定したタイムで走りきることを心がけ、完走することが出来ました。今後のレースに向けて手塚監督と一緒にマシンを煮詰めて、更に上位を狙います。次戦はチーム、スポンサー、ファンの方々に満足していただけるレースを行いたい次第です。引き続き応援宜しくお願いします。


■勝間田エントラント代表コメント
ドライバーはこの過酷な暑さの中で、また、チームも暑さ対策を万全に施し、チーム一丸となって完走させたのは評価できる。しかし予選で上位に行かなくては、決勝に於いては勝負にならない。流れは良くなっているので、そろそろ結果を出したいところです。後半戦は更にドライバーに頑張ってもらいたい。


■手塚監督コメント
前戦、富士の流れで、行けると思ったのですが、思いのほかコースの違いからクルマを決めきれなかった。レースは淡々と走れると思ったのですが、入賞まであとワンポジションというところでまたしても終わってしまった。予想以上の暑さでしたが、マシン的には問題も無く走りきることが出来ました。しかしタイヤプレッシャーの問題から、早い時期にグリップダウンが起きたことなど、セットの粗だしを更に出来たことは新たな収穫であつた。次はパワーステアリングも付きますので期待してください。