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2010.10.18

全日本フォーミュラ・ニッポン第6戦
MOTUL TEAM無限、随所で快走をみせるものの多重クラッシュに巻き込まれリタイヤに終わる

シリーズ名:全日本フォーミュラ・ニッポン第6戦
大会名:2010年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第6戦 オートポリス
距離:4.674km×50周
予選:10月16日(土)晴れ・観衆: 6,366人(主催者発表)
決勝:10月17日(日)晴れ・観衆:13,804人(主催者発表)

 F1日本グランプリが行われるなど、モータースポーツが1年のうちで最も盛んに行われる10月。フォーミュラ・ニッポンにおいて、唯一の九州ラウンド、「2010年 全日本フォーミュラ・ニッポン 第6戦オートポリス」が10月16〜17日、大分県日田市、熊本県との県境近くに位置するオートポリスにて開催された。

ここオートポリスは全長4,674mを有する国際公認コース。コーナー数は18、ホームストレートは902m、高低差は52メートル、最大上り勾配7,2%、下り勾配10%とコーナーの多さとアップダウンが激しいテクニカルコース。そのためマシンやドライバーには過酷なサーキット。シリーズ中盤からパワーステアリングシステムがマシンに装着されたことで、更なるマシンのスピードアップが予想され、レコードタイムの更新と更なる体力面の過酷さが増すことも予想されていた。

また日本では珍しく、ピットロードがコースの外側にあるのも特徴で、給油、タイヤ交換作業が他のサーキットと異なってくるため、チーム戦略も独特のものがあるといえよう。今回のレースは230km、50周にわたり競われる。タイヤ交換は義務付けられている為、どのチームも1回のピットインを行う。距離が短いため、燃料給油に関しては義務付けが無いが、タイヤ交換のタイミングでゴールまでの最低限の給油を行う事となる。

今期はピット作戦により勝敗を分けるレースが続いている為、チームは手塚監督が導き出したセットアップと新たな空力部品や改良したダンパーを持ち込み、万全の体制でサーキットに乗り込んだ 。


■10月16日(土)
●フリー走行1回目(9:45〜10:45)
9:45から60分間のタイムスケジュールで開始された第1回目の公式フリー走行。オートポリス特有の朝霧も無く澄み切った青空のもと行われた。気温は放射冷却の影響で肌寒く14℃、路面温度は21℃。更に風が吹き、寒さに追い討ちをかける。早速、MOTUL TEAM無限 井出有治選手がコースイン。 

まずユーズドタイヤを使用して2周走行しマシンチェックを行う。このコースでは井出選手にとっては現在のフォーミュラ・ニッポンのマシンFN09では初の走行となるが、マシンの調子良さを感じ取る。

今回、手塚監督はアンダーステア傾向を対策するべく新たに持ち込んだ前後の空力部品と更に改良したダンパーを装着。その効果によりピットアウト2LAP後には早くも1分32秒台に入れ、開始10分後には2番手まで順位を上げる。その後も安定して1分32秒台を連発。トップ5を常にキープする快走を見せる。

手塚監督の的確な指示のもと、マシンは更に進化を遂げていく。他チームは予想以上のバンピーな路面に苦しめられているようだ。18LAPをこなしたところでピットイン。ピットイン後ニュータイヤを装着し、丁寧にタイヤに熱を入れタイムアタックに入っていく。

そして、セッション終了間近の21LAP目、1'31,409 を叩きだし、ラップボードのトップに躍り出る。その後、すぐにタイムを塗り替えられるものの6番手でこのセッションを終えた。好タイムを記録し、予選の上位進出に周囲の期待が高まった。
(ベストラップ 21LAP 1'31.409 6位)

10月16 日(土)フリー走行(1回目)

P
No.
Driver
Team
Engine
Time
Delay
Gap
km/h
1
8
石浦 宏明
Team LeMans
TOYOTA RV8K
R1'30.876
-
-
185.16
2
1
ロイック・デュバル
DoCoMo TEAM DANDELION RACING
HONDA HR10E
R1'30.895
0.019
0.019
185.12
3
36
アンドレ・ロッテラー
PETRONAS TEAM TOM'S
TOYOTA RV8K
R1'31.048
0.172
0.153
184.81

6
16
井出 有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
R1'31.409
0.533
0.174
184.08

タイヤはブリヂストン(BS) シャシはSwift FN09 ワンメイク


●公式予選Q1(13:45〜14:05)
13:45から開始された公式予選、フォーミュラ・ニッポン恒例のノックダウン予選方式で順位が競われる。まずQ1、20分間での戦いで上位12台がQ2に進出することとなる。

Q1開始と同時にMOTUL TEAM無限 井出有治選手はユーズドタイヤでチェック走行を行いピットイン。早い段階でニュータイヤを履き再びコースイン。

気温19℃、路面温度は33℃まで上昇し、なおかつセッション直前まで行われていたサポートレース、GT3アジアで使用された、異なるメーカーのタイヤラバーで午前とはコース状況が変化。ダスティな路面状況でマシンがイメージしていたようには動かず、井出選手が午前中にたたき出した1分31秒台にタイムを入れることが出来ない。

5LAPを消化したところでピットイン。井出選手のフィーリングを基に再アジャストを行い、残り6分弱となったところで再びコースイン。

渾身のアタックを行い8LAP目にファステスト、1'32.482を刻むもののQ1突破ライン12位と6/100秒差で僅かに届かず13位で終える。この結果、明日の決勝は13番手グリッドからのスタートが決定となった。
(ベストラップ 8LAP 1'32.482 13位)

10月16日(土)予選Q1

P
No.
Driver
Team
Engine
Time
Delay
Gap
km/h
1
19
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
Mobil 1 TEAM IMPUL
TOYOTA RV8K
R1'31.053
-
-
184.8
2
1
ロイック・デュバル
DoCoMo TEAM DANDELION RACING
HONDA HR10E
R1'31.058
0.005
0.005
184.79
3
36
アンドレ・ロッテラー
PETRONAS TEAM TOM'S
TOYOTA RV8K
R1'31.182
0.129
0.124
184.54

13
16
井出 有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
R1'32.482
1.429
0.053
181.94

タイヤはブリヂストン(BS) シャシはSwift FN09 ワンメイク


10月16日(土)予選総合結果

P
No.
Driver
Team
Engine
Q1
Q2
Q3
1
37
大嶋 和也
PETRONAS TEAM TOM'S
TOYOTA RV8K
1'31.733
1'31.248
1'31.973
2
20
平手 晃平
Mobil 1 TEAM IMPUL
TOYOTA RV8K
1'31.492
1'31.115
1'35.235
3
8
石浦 宏明
Team LeMans
TOYOTA RV8K
1'31.235
1'31.153
1'40.871

13
16
井出 有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
1'32.482
-
-

タイヤはブリヂストン(BS) シャシはSwift FN09 ワンメイク


■10月17日(日)
●フリー走行2回目(9:05〜9:35 )
フリー走行は9:05より、30分間で行われた。朝から快晴で秋らしいやわらかい日差しがサーキットを照りつける。山間部の為、少々肌寒いものの、昨日より気温が上昇。絶好のレース日和となった。

井出選手はコースオープンと同時に、コースイン。このセッションで決勝セットチェックとピットインシュミレーションを行う。予選時のアンダーステアの原因を探る為、走行データーを元に解析を行う。フロントのジオメトリーを中心に車体セット変更をした決勝セットの確認。この時間もフロント・スタビ等を、セット変更を繰り返し、1分34秒台をコンスタントに叩き出す。

8LAP走行した後、赤旗が出た為、ピットイン。ここでドライバー・コメントを基に、10分弱の時間で再度若干のセット変更作業を行う。再びコースインすると同時に快走を見せ、セッション終了間際に昨年までのコースレコードを上回る1'33.452をたたき出し5番手に躍り出る。まさに決勝セッティングが決まった瞬間でもあった。
(ベストラップ 15LAP 1'33.452 5位)

10月17日(日)フリー走行2回目

P
No.
Driver
Team
Engine
Time
Delay
Gap
km/h
1
36
アンドレ・ロッテラー
PETRONAS TEAM TOM'S
TOYOTA RV8K
1'31.327
-
-
184.24
2
8
石浦 宏明
Team LeMans
TOYOTA RV8K
1'32.359
1.032
1.032
182.18
3
19
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
Mobil 1 TEAM IMPUL
TOYOTA RV8K
1'32.848
1.521
0.489
181.23

5
16
井出 有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
1'33.452
2.125
0.074
180.05

タイヤはブリヂストン(BS) シャシはSwift FN09 ワンメイク

■決勝(14:30〜 50周)
今回のレース距離は、前戦SUGOと同じ230kmに設定されているが、今回はタイヤ交換義務が加わった。このコースは高速複合コーナーからヘアピンに入るコーナーや長いスタンド前のストレートから急減速しなくてはならない1コーナー等、タイヤを壊してしまう状況が多々あり、タイヤマネジメントも重要。気温21℃、路面温度38℃まで上昇した為、なおさらタイヤには厳しい状況となった。

スタート前に行われる8分間のチェックラン走行時に、さらに変更したマシンセッティングの最終確認を行い、1'35,948/ポジション9位 と決勝セットの確かな手ごたえを感じてダミー・グリッドに着く。

14:30、1周のフォーメーションラップがスタート。各車整列完了すると、14:33、決勝スタートの火蓋が切られた。井出選手は得意のスタートダッシュを決める。しかしフロントロウの#37大嶋選手と#20平手選手の2台がスタートで失速。この隙に先頭に立とうとした#6石浦選手と#1ディユバル選手が接触。

この反動で#37大嶋選手がコースストレート上、ピットロードエンド付近でハーフスピン。この状況に巻き込まれるかたちで、#16MOTUL TEAM 無限の井出選手は突然前に現れた#2伊沢選手に乗り上げウォールにヒット。マシンは走行不能となる。

クラッシュの引金を引いた#1デュバル選手も右コースサイドに飛ばされ4台が絡む大クラッシュとなった。

これにより我が#16 MOTUL TEAM 無限の井出選手はここでレースを終える事となった。井出選手は大クラッシュにも関わらずに軽傷で済んだのが幸いであった。

次戦はフォーミュラ・ニッポン最終戦。Hondaのホームサーキット、鈴鹿サーキットにおいて11月7日決勝で行われます。皆様の応援宜しくお願いします。


10月17日(日) 決勝

P
No.
Driver
Team
Engine
Lap
Behind
1
36
アンドレ・ロッテラー
PETRONAS TEAM TOM'S
TOYOTA RV8K
50
-
2
19
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
Mobil 1 TEAM IMPUL
TOYOTA RV8K
50
1.498
3
8
石浦 宏明
Team LeMans
TOYOTA RV8K
50
14.296

-
16
井出 有治
MOTUL TEAM 無限
HONDA HR10E
0
50Laps

タイヤはブリヂストン(BS) シャシはSwift FN09 ワンメイク



■井出有治選手コメント
マシンセットがいつも以上に決まり、万全の体制で決勝グリッドにつくことができました。スタートも上手く言ったしレースをして結果を残したかった。クッシュした時には、4速200kmまで到達していたのでどうすることもできなかった。最終戦は、得意の鈴鹿なので優勝目指して頑張ります。


■勝間田エントラント代表コメント
大きなクラッシュに巻き込まれてしまったが、ドライバーが無事でなによりでした。車両も思いのほか軽症なのにも救われました。調子が上向きだっただけに残念ですが良い流れが掴めた感触はありますので、最終戦は良い結果を残し来年度に繋げたいと思います。


■手塚監督コメント
予選は原因不明の失速となるが、レース・セットアップは決まり、後方から追い上げる作戦も立てていたのに実行ができずに、大変残念です。この悔しさを2レースで行われる最終戦にぶつけ、連勝できるように頑張ります。