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2011.5.17

全日本フォーミュラ・ニッポン第1戦
速さをアピールした開幕戦!

シリーズ名:2011年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第1戦
大会名:SUZUKA 2&4 RACE
距離:5.807km×38周(220.666km)
予選:5月14日(土)曇り・観衆14,000人(主催者発表)
決勝:5月15日(日)薄曇り・観衆:20,500人(主催者発表)

TEAM無限は昨年度ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した山本尚貴をドライバーに迎え入れた。予選では参戦2年目でキャリア初ポール・ポジションを獲得。しかし最前列から迎えた決勝ではスタートをミス。続く2コーナーで他車と接触して最後尾まで順位を落とす。その後は、ファステストラップの獲得を含む好タイムを連発するが規定周回数にわずか1周およばずレースを終えた。


●5月14日(土)
■フリー走行 1回目 2位
水曜日と木曜日の雨天で走行したデータの良い部分をもとに、雨の上がった金曜日に追加されたテストの結果も踏まえて、予選に向けて更にサスペンション、空力バランス等の調整を進めた。

■公式予選 1位(Q1:1位 Q2:2位 Q3:1位)
Q1(計測時間20分間)の最初のアタックでトップタイムをマークした山本は、2回目も自身のタイムを塗り替えてこのセッションをトップで通過した。 Q2(計測時間7分間)の開始前にデグナーや130Rといった西コースエリアで降雨の情報が入ったため、チームは路面があまり濡れないうちにタイムを計測しようと、タイミングを早めてコースインさせた。コース西側のダンプ状態(路面がほんの少しぬれている状態)のセクションではNo.32小暮選手に分があり、トップ通過は譲ったが2位でQ3へと進んだ。

Q3(計測時間7分間)へのインターバルでは雨があがり気温が上昇し、路面にはタイヤのラバーが付着してきたことを確認してセッティングを若干変更する。これが功を奏し、山本は最後まで他を寄せ付けない1分40秒470を記録。2位の小暮選手に0.357秒差をつけてポール・ポジションとポイント1点を獲得した。


●5月15日(日)
■フリー走行 2回目 5位 今回は38周の決勝レース中に4輪同時の最低1回のタイヤ交換が義務付けられている。このためタイヤ交換を含めたピットストップ練習、給油練習など決勝に向けた準備を行った。さらに、決勝時のスタートと同量の燃料を積み込んで連続周回を行ない、走行に伴い燃料が減って車重が軽くなっていく中でのラップタイムの変化も確認した。

■決勝 33周(規定周回数不足) ファステストラップ獲得 1'45.182 (23周目)
決勝前の8分間の試走時間で、山本はピットレーンエンドでスタート練習を試みる。しかし、シフターレバーに誤って触れたため、1速ギアのつもりが2速ギアにいれてしまい、エンジンをストールさせてしまう。エンジンを再始動させて、その後はスターティンググリッドには問題なくつけたが、心の中には小さな動揺が生まれてしまった。

この動揺が待望の最前列からのスタートを失敗させてしまう。出遅れた山本は、先行したNo.32 小暮選手とNo.36 ロッテラー選手に続いて1コーナーを通過、その後の2コーナーでNo.41塚越選手、No.1オリベイラ選手のクルマに接触してしまう。山本のステアリングは右90度に切り込んだ方向に偏ってしまい、通常の操作位置ではまっすぐ走らない状況へと陥る。それでもなんとかピットへと戻り修復作業を終えると、順位回復を目指して走行を続ける。

23周目にはこのレースでのファステストラップも記録するなどラップタイムは上位陣と同等以上の走りを見せたが、復帰に要した時間が響き規定周回数に1周足りず完走とはならなかった。余計にも接触がなければと悔やまれた。



■山本尚貴コメント
 昨年、予選後に小暮さんがいつも嬉しそうにポール・ポジション記者会見からジャーナリストやカメラマンに囲まれているのを羨ましく思っていました。今回の初ポール・ポジションは、その小暮さんに勝って得たもの。余計にも喜びがひとしおでした。
 良い流れでずっときていたのに、決勝前にエンジンをストールさせたミスだけで、自分の中でなにかが変わってしまったと思います。気持ちの安定さを失ってしまい、結果としてスタートを失敗したと思います。クルマには絶対の自信があったので勝てると思っていました。決勝中にファステストラップを記録できたのは、僕が壊してしまったクルマを修復してくれたチームの方に何か応えなければという気持ちからです。
 今日の経験で多くを学びました。最後に戻ってきたとき、スタッフ全員がサインガードから手を振ってくれました。次こそはチームに応えるべく絶対に勝ちたいと思います。

■手塚監督コメント
 山本選手には初ポール・ポジションをチームにもたらしてくれて「ありがとう」という気持ちです。2010年から別カテゴリー(SUPER GT)では一緒にレースをしてきています。その中で彼はスタートでミスしたとしても冷静にその後の判断とリカバリーができることを知っていました。でもフォーミュラ・ニッポンの初ポール・ポジションは彼から冷静さを奪ってしまったのかもしれません。このスタートミスを除けば、我々のクルマには競争力があり充分に勝てるポテンシャルがあり、ドライバーも速さがあることがわかりました。近いうちに我々はきっと勝てることを確信しています。

■勝間田エントラント代表コメント
 2011年3月11日の震災後、TEAM無限の初レースがフォーミュラ・ニッポンとなりました。震災当日、まさにここ鈴鹿にいましたし、我々はいつも地震と津波の被害にあわれた方達のことを想っています。土曜日朝のミーティングではこれを踏まえてスタッフ全員に「安全を第一に!」とだけ伝えました。
 山本選手はポール・ポジションを獲得したことには是非、自信を持って欲しいと思います。それだけに決勝は残念でした。あのスタートがすべてだったと思います。ただ決勝中のラップタイムはとても良いものでした。彼にはまだ若いところがあって勝てなかったのだと思います。決勝のリザルトはチームにとって満足できるものではありませんが、この経験は今後の彼の成長に資するものだと思っています。

以上