Rd.2 FUJI

2013年5月1日

「MUGEN CR-Z GT」
ゴール直前のトラブルで優勝を逃すものの、
2位表彰台を獲得!

シリーズ名:2013 AUTOBACS SUPER GT SERIES ROUND 2
大会名:FUJI GT 500km RACE
距離:4.563km×110周(501.93km)
予選:4月28日(日)晴れ ・観衆: 31,600人(主催者発表)
決勝:4月29日(祝・月)晴れ・観衆:48,50人(主催者発表)

 #16MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴組)は、4月28日〜29日に富士スピードウェイ(静岡県)で開催されたSUPER GTシリーズ第2戦に参戦した。

 今回のレースは走行距離500km、周回数110周で行われる。通常300kmで開催されるシリーズ戦の中では鈴鹿1000kmに次ぐ長丁場である。ストレートの長い高速サーキットである富士スピードウェイに向け、フロントフェンダー上縁のアタッチメントほかリヤタイヤ後のボディ外板など、ダウンフォースを維持しながら空気抵抗を減らすための空力パーツを新たに用意した。

 また、前回のレースではタイヤがコンディションとマッチしなかったので、それを踏まえて富士スピードウェイのコンディションを熟慮し、持ち込みタイヤを選択した。

4月28日(日)

公式練習 2位(ベストタイム:1分38秒999)

 ゴールデンウィークの富士スピードウェイは好天に恵まれた。日曜日午前の公式練習セッションでは、#16MUGEN CR-Z GT のコックピットにまず武藤選手が乗り込み、順調にタイムを短縮、マシンの状態を確認しながら19周を走行、2番手に相当する1分39秒079を記録して帰還した。

 セッション後半は中山選手がステアリングを握り、長距離にわたる決勝レースを想定したロングランを行い、連続走行におけるマシンのバランスを確認した。中山選手は26周を走行し、セッション終了間際に1分38秒999を記録した。このタイムは公式練習2時間を通し2番手に相当する。

公式予選 2位(Q1:12位、Q2:2位)

 スターティンググリッドは、全マシンが参加するQ1と、Q1の上位13台のみが出走できるQ2の、2段階制ノックアウト方式で決まる。

 チームはQ1に中山選手、Q2に武藤選手という組み合わせで公式予選に臨んだ。セッションはそれぞれ15分/12分間だが、タイヤの摩耗とハイブリッドシステムの運用を考慮すると事実上タイムアタックは1周のみしか許されない。

 中山選手がタイヤを暖めタイムアタックに入ったところ、ストレートエンドでピットアウトしてきた他車と第1コーナー進入のタイミングが重なってしまい、レコードラインを外れることになった。ハイブリッドシステムは、予選タイムアタックでは、あらかじめ充電した電気を1周で使い切るという運用をするため、中山選手はそのままアタックを継続、1分39秒644を記録した。

 不本意なタイムアタックながら結局このタイムはQ1の12番手となり、#16MUGEN CR-Z GTは上位13台に食い込み、Q2進出を果たした。Q2のタイムアタックは武藤選手が担当した。武藤選手は最初のタイムアタックでコースをはみ出したものの1分38秒114を記録してトップに立った。武藤選手はコースのはみ出しを違反と判定されてタイム抹消となる可能性も考慮し、敢えて次の周もタイムアタックを続けた。その結果、前周のタイムを更新する1分37秒899を記録した。その後、1台のマシンがこのタイムを上回ったが、#16MUGEN CR-Z GTは予選2番手、フロントローを獲得した。

4月29日(祝・月)

フリー走行 3位

 決勝レースの行われた月曜日も富士スピードウェイは好天。午前8時30分からフリー走行が行われた。#16MUGEN CR-Z GTは、武藤選手が7周、中山選手が7周を走行して最終的なレースセッティングを確認した。ここで武藤選手が記録した1分39秒361は3番手にあたる。

決勝 2位(103周 2時間57分44秒613 ベストタイム:1分39秒473)

 午後2時の決勝スタートを前に、気温は摂氏20度、路面温度は摂氏30度に達した。富士スピードウェイの路面はドライ。スタートは武藤選手が務めた。

 スタート合図とともにフロントローから加速した武藤選手は、ポールポジションのマシンにアウト側から並びかかり、第1コーナー進入で前へ出た。首位に立った武藤選手は1周目に1秒247、2周目に1秒758と2番手のマシンとの間隔を広げ、3周目にはそれまで2番手のマシンがトラブルで脱落したため、後続車との間隔を一気に4秒として早々に独走状態へ入った。

 その後も武藤選手はひとり1分40秒台のタイムを連発し、11周目には後続車との間隔を10秒へと広げた。武藤選手は安定したペースで独走を続け、33周目には後続車を23秒以上も突き放して34周を走りきり、ピットインしてタイヤを前後とも交換、給油を行ってステアリングを中山選手に引き継いだ。

 中山選手は見かけ上の順位10番手でコースに復帰したが、武藤選手同様1分40秒台で周回を続けた。上位マシンが予定のピットインを始めたため中山選手の順位は上昇し、41周目には本来の首位に戻った。この時点で2番手のマシンとの間隔を38秒まで広げ、首位の座は安泰に見えた。#16MUGEN CR-Z GTは、周回毎に独走状態を固め、中山選手は74周目に後続車との間隔を46秒に広げ、75周を走りきってピットイン、ステアリングを武藤選手に引き継いだ。武藤選手は前後のタイヤ交換と給油を終えると、コースに復帰。今回は見かけ上の首位を譲ることなくレースを続行、チェッカー目指した。

 武藤選手は再三にわたってレース中のファステストラップをダメ押しのように更新した。87周目にはこのレースのファステストラップとなる1分39秒473を記録、後続との間隔は40秒前後で安定して、もはやフィニッシュを待つだけだった。ところが94周目、武藤選手は100Rを走行中突然フロントタイヤに異常なバイブレーションを感じ取った。これまで経験のない激しいバイブレーションはマシンの姿勢を崩すほどだった。武藤選手は走行を続行しながら無線でピットと連絡を取り、最悪の事態を事前に避けるため緊急ピットインを決めた。

 チームはピットで念のためフロントタイヤ2本を交換して武藤選手をコースへ送り返した。しかし、この作業の間に後続車がストレートで先行、#16MUGEN CR-Z GTの順位は2番手へと後退してしまった。武藤選手は全力で追い上げを行ったが、残り周回数はわずかで届かず、結局2位でチェッカーを受けることとなった。

 この結果、TEAM無限は、チームポイント15点(2位)、走行ラップポイント3点(首位と同一周回)の合計18点のチームランキングポイントを加算、シリーズランキング2番手につけた。武藤/中山組は15点(2位)のドライバーランキングポイントを獲得し、ポイント総計を19点とし、シリーズランキング3番手となった。

武藤英紀選手コメント

予選では中山選手がクルマの調子は良いと引き継いでくれたので自信を持ってQ2に臨みました。クルマは去年のデータをベースに開発を加えたのですが、コンディションにぴったりハマって、タイヤも気温・路温にちょうどマッチしたので、前戦の岡山のように苦しむことなくCR-Zのポテンシャルをフルに発揮できた結果、良い走りができたんだと思います。

最初のアタックのときAコーナーの立ち上がりではみ出してしまいました。タイヤのコンディションを考えれば、もっと良いタイムが出るはずでした。もしペナルティを受けたらまずいと思って次の周もアタックを続けました。

2回目のアタックでは、もう十分電気は残っていなかったので、ターボ車のエンジン特性を考え、気持早くアクセルを開けるというような走りを心がけながら、アシストもうまく使うことができました。これは去年の経験が活きたんだと思います。結局、これがベストタイムになりました。でも最初のミスがなければポールポジションがとれたんじゃないかなと、申し訳ない気持ちです。

決勝では100Rでこれまでに感じたことのない振動を感じて、スピンしかかったりしました。何が起きたかわからず、その状況を伝えたらピットインしろとの指示がありました。ぼくとしては、ピットインしてもトップで戻れるのかな、くらいの気持でいたんです。読みが甘かったですね。300kmのレースならば完勝で終わっていたところだったんだけど、残念です。

中山友貴選手コメント

チームがこのレースに向けて去年のデータを基に、さらにストレートスピードを上げたうえで、コーナーも活かせるようにクルマを作ってくれました。走らせてみたところ、良い手応えがあって、微調整する程度で状況がさらに良くなってタイムも上がっていきました。

Q1では、アタックの周にピットアウトするクルマと重なってしまったんです。その時点で1回アタックをやめればやり直しができたと思うんですが、予選アタックは、タイヤの最大グリップ時と電気の充電状態とのベスト・コンビは1周しかチャンスがないと聞いていたので、やり直しませんでした。もう少し無線を使ってチームとやりとりすればやり直しができたんでしょう。ここはぼくが柔軟に対応することができず、タイムをロスしてでもとにかくタイムを記録しておこうと思ってそのままアタックを続けることになりました。結果的にかなり心配をかけてしまいました。

決勝ではセカンドスティントを担当したんですが、武藤さんがシミュレーション通りのペースで走ってトップで帰ってきてくれました。その間、安心して見ていられましたが、ぼくが乗って遅かったらどうしようと思っていました。ぼくが乗り込む時点で2番手との間隔が大きく開いていました。でも事前のミーティングで監督が、今回は勝ちにこだわって行こう、と言っていたので、これまでぼくは力みすぎてミスしたこともあり、タイヤをいたわってハイブリッドの様子を見ながらコントロールしながらですが、出来る限りプッシュして走りました。

その結果安定して走れてトップのままバトンをつなぐことができました。その後、残念な結果になってしまったけれど、判断は間違っていなかったと思います。良い流れだっただけに悔しいですが、ぼくたちのポテンシャルは証明できたと思います。

熊倉淳一監督コメント

去年の2レース(シリーズ戦とJAFカップ)のデータがあったので、それを基にして持ち込みセットを決めました。富士に向けてドラッグを下げてダウンフォースを増やす空力パーツを練習の2時間を使いテストしましたが、結局は昨年と同じようなところに落ち着きました。走行データは取れたので解析し、今後の投入を検討していきます。

中山選手の予選アタックは、やり直しもできたけれど、タイヤやバッテリーのコンディションを考え、あのタイムならQ2へ通過できるだろうと思って1回でやめさせました。最後はちょっとドキドキでした。Q2では、武藤選手があそこまでタイムを出すとは想定していませんでした。よくこのタイムを出せたと思います。武藤選手はアタックを1回失敗したので、中山のQ1のこともあって、予定外のアタックをもう1回やらせたら、あのタイムが出たんです。2回目は、やはり1周アタックをするほど電気は持ちませんでしたが、それでもタイムを出してきた。そのあたりは、武藤選手には昨年の経験があって、アシストの使い方を工夫してタイムを上げてきたんでしょう。小技が光ったという感じですね。

決勝レースでは想定通りのタイムが刻めれば行けると思っていたのですが、理想の展開に持ち込むことができました。チェッカーまで後少しの所で、ドライバーから、これまでに感じたことのないバイブレーションが出たという無線が入りました。何が起きたかわかりませんでした。最悪、タイヤが何かひろっていて、そのまま走行すると壊れてバーストするという可能性も考えられたので、ドライバーの安全を最優先に考えてピットインさせました。そしてタイヤ交換をしてコースに送り出しました。最後の最後で運に見放されました。これからは気温が高くなってくるので、ハイブリッドは熱とも戦わなければならなくなりますが、対応はいろいろ検討しています。
ファンの皆様、ご声援ありがとうございました。