Rd.4 SUGO

2013年7月30日

「MUGEN CR-Z GT」
3戦連続で2位表彰台獲得し、
シリーズランキングトップへ!

シリーズ名:2013 AUTOBACS SUPER GT SERIES ROUND 4
大会名:SUPER GT 300KM RACE
距離:3.704km×81周(300.024km)
予選:7月27日(土) 曇り ・ 観衆:9,500人(主催者発表)
決勝:7月28日(日) 曇り時々雨 ・ 観衆:26,500人(主催者発表)

 #16 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴組)は、7月27日〜28日にスポーツランドSUGO(宮城県)で開催されたSUPER GTシリーズ第4戦に出場した。

 今回のレースに先だって、シリーズを運営するGTアソシエイションは、#16 MUGEN CR-Z GTが属するJAF-GT300車両に対し、吸気リストリクター径を絞り込む性能調整を行った。これは、同じGT300クラスに属するFIA-GT車両との性能均衡をはかるための措置である。

 #16 MUGEN CR-Z GTの吸気リストリクターは、従来の30.0mm×2から29.1mm×2へと縮小、最高出力は抑制された。さらに、現在シリーズポイントランキング2番手にいる#16 MUGEN CR-Z GTは、これまでの成績に対し今回のレースではポイントランキングトップのマシン(FIA-GT)に次ぐ68kgのウェイトハンディを課せられており、性能調整と合わせて厳しい条件でレースに臨むことになった。

 車両に関しては前回のレースから大きな変更は加えていないが、真夏のレースを考慮し、車室内の各所へ送風を行うための大型のブロワを助手席に設置した。

7月27日(土)

公式練習:18位(ベストタイム:1分25秒808)

 大気が不安定なため、スポーツランドSUGOのレースウィークは雨と霧で始まった。土曜日午前8時45分からの公式練習は、雨こそ上がりかかっていたが路面はウェットコンディション。#16 MUGEN CR-Z GTはウェットタイヤを装着、コックピットにはまず武藤選手が乗り込んで走行を開始した。その後中山選手に交代。この間、同じウェットタイヤでもコンパウンドの異なるスペックに交換しながら、路面状況に合ったタイヤを確認する作業を行った。

 練習走行が進むうち、路面が乾き始めたため、中山選手はスリックタイヤに交換し、感触を確かめて武藤選手に再びマシンを託した。セッション後半、武藤選手もスリックタイヤで走行したが、終盤になって霧が深まり視界が悪化したため、一時セッション中断となったこともあって本格的なタイムアタック練習をすることなく走行を終えた。

公式予選:3位(Q1:2位・Q2:3位)

 スターティンググリッドは、全マシンが参加するQ1と、Q1の上位13台のみが出走できるQ2の、2段階制ノックアウト方式で決まる。

 チームはQ1に中山選手、Q2に武藤選手という組み合わせで公式予選に臨んだ。セッションはそれぞれ15分間。午後2時から始まったQ1セッションで、中山選手はタイヤを暖め3周目にタイムアタックをかけ、その時点でのトップタイム、1分21秒482を記録した。従来のGT300クラスコースレコード、1分22秒274を破る好タイムである。その後中山選手は一旦タイヤを冷やし5周目に1分20秒940へタイムを縮め、2番手でQ2進出を決めた。

 午後2時40分からのQ2を担当した武藤選手も、中山選手同様スリックタイヤでの走行は十分ではなかったがタイムアタックにかかると3周目に1分21秒472を記録して、その時点で4番手につけ、さらに5周目、タイムを1分20秒524へ短縮し、予選を3位で終えた。ブリヂストンが持ち込んだタイヤが高い性能を示し、それに合わせたセッティングが結果につながった好タイムであった。

7月28日(日)

フリー走行:2位(ベストタイム:1分22秒733)

 決勝レースの行われる日曜日の午前9時から35分間にわたってフリー走行が行われた。天候は曇り。早朝まで降った雨の影響で路面は濡れていたが、走行ラインは乾き始めるというコンディション。チームは決勝レースに向けスリックタイヤでの走り込みを行うこととし、武藤選手、中山選手とも前日十分に確認出来なかったスリックタイヤで周回を重ねた。ここで武藤選手が記録したタイムは、2番手にあたる。

決勝:2位(77周 1時間51分50秒485 ベストタイム:1分22秒949)

 午後2時の決勝スタートを前に天候が好転し、スポーツランドSUGOには真夏の太陽が照りつけ、気温は摂氏26度、路面温度は摂氏40度に達した。路面は完全ドライ。スタートは武藤選手が務めた。

 問題は、レース戦略であった。レース中の給油時間を短縮するためにはスタート時点でタンクいっぱいに燃料を搭載し、追加給油を最小限にするという戦法が考えられた。しかしウェイトハンディ68kgを考えると、さらに燃料で車体を重くすればタイヤに負担がかかると予想された。チームは結局、給油時間を覚悟したうえで燃料搭載量をレース前半と後半で半々に分割して搭載することを決断し、スタートに臨んだ。

 3番手グリッドに並んでいた武藤選手は、3番手のままレースを始めたが、燃料が軽い利点を活かして前方を走る#55に迫り、7周目の1コーナーでインへ飛び込み、2番手へ順位を上げた。武藤選手はその後#55を引き離し、先頭を走る#61にじりじりと詰め寄った。

 27周目にはテールトゥノーズに持ちこみ、28週目を終えるストレートでは横に並びかかって29周目の第1コーナーでインへ飛び込むと順位を入れ替えトップに躍り出た。その後武藤選手は#61をぐいぐい引き離していった。#61はその後早めのピットインを行ったため、2番手には#55が繰り上がり、武藤選手の背後につけた。そのまま武藤選手は先頭を走り、39周を走り終えてピットに戻り給油とドライバー交代及びタイヤ交換を行った。

 ピット作業は順調に終わり、#16 MUGEN CR-Z GTは中山選手がステアリングを引き継いでコースに復帰したが、全車ピット作業を終えてみると、首位は#55、2番手は3秒遅れで#61、中山選手の乗る#16 MUGEN CR-Z GTはさらに10秒弱遅れの3番手に順位を落としていた。#16 MUGEN CR-Z GTは、作戦の結果給油量が多く、ピットで停止している時間が長かったために遅れをとったのだった。

 3番手でレースを再開した中山選手は、前を行く2車とほぼ同じペースで周回を始めたがなかなかその間隔は縮まらない。この頃、なんと空には雲が広がり雨粒が落ち始めた。気温も路面温度も急降下する。雨は、路面を完全に濡らすほどではないが降り続き、各車はワイパーを動かし始めた。

 周回数60周を前に雨は強まり、2番手を走っていた#61はさらに路面コンディションが悪化すると見てピットイン、レインタイヤへ交換を行った。しかし中山選手はスリックタイヤのまま周回を続けることを決意。同じくスリックタイヤでの走行を続行する#55に次ぐ2番手へ浮上した。

 その後、雨は弱まったり強まったりしたが、#16 MUGEN CR-Z GTも#55もそのまま走行を続けた。コース上ではアクシデントが発生して追い越し禁止のイエローフラッグが掲示されたり、後方から追い越しをかけてきたGT500クラスの車両に進路を譲ったりとペースは安定しなかったが、中山選手はミスすることなく先頭の#55を追いかけ続けた。しかしそのままチェッカーフラッグが振り下ろされ、3戦連続2位でレースを終えた。

 この結果、TEAM無限は、チームポイント15点(2位)、走行ラップポイント3点(首位と同一周回)の合計18点のチームランキングポイントを加算、総計61点で2番手に13点の差をつけてシリーズランキングトップに躍り出た。また武藤/中山組は15点(2位)のドライバーランキングポイントを獲得し、ポイント総計を49点とし、2番手に9点差でこちらもシリーズランキングトップとなった。

武藤英紀選手コメント

作戦通りのレースでした。落ち着いて序盤のうちに#55を抜いて、#61も抜いてトップでつなぐという作戦でした。自分のペースを守って、トップにたってからもペースをコントロールしながらも後との間隔も十分開けてつなげたので自分としてはやり遂げたと思います。土曜日はコンディションが変わって十分に走り込めたとは言えないけれど、朝はドライで走り込めたし鈴鹿の合同テストで大体めどはつけてきたし、SUGOは去年も走ってデータがあるしで、特に心配はしていませんでした。

朝の走行のラップタイムを周囲のタイムと比較してレース前からそれなりの手応えはありました。タイヤのパフォーマンス自体は高かったけれど、やっぱり重さで消耗が早かったしブレーキも厳しい面はありました。それがボディブローのように効いてきて、20周過ぎたあたりから苦しさは出てきました。みんな頑張ったし、優勝できなかったのは仕方がない結果です。出し切った2位です。でもずっと2位なので、さすがにもう優勝したいですね。これからは98kg。厳しくなりますね。

中山友貴選手コメント

リストリクターと車重は、今度のレースの直前に鈴鹿で合同テストがあって、今度のレースを想定したテストをしたのでまったく不安はありませんでした。確かに土曜日は、ドライタイヤでちゃんとアタックできなかったけど、予選でいきなりドライタイヤでも結構いいタイムが出て、自分の中でも満足です。ただもう少しつめられたなとは思います。

レース結果はくやしいです。ピットの作業自体はミス無くうまくいったし、雨が降ってきた中でもとにかくリヤタイヤのグリップを信じつつ、路面を見極めながらプッシュして走りました。実は最初の雨の時、ピットから無線で『ピットに入ろうか』と言われたんですが、そんなにひどい雨ではないと思ったので、とりあえず、まだ走れると無線で言って、走り続けました。監督も『友貴にまかせる』と言ってくれたので、集中してプッシュして走れました。持ち込んだBSタイヤのパフォーマンスが高くて、雨が降ってきても温度が下がることなく熱を保ってくれていたので、濡れた路面でもしっかりプッシュできました。

黄旗が出たせいで、詰めた間隔が開いてしまったり、その翌周にトラブルを起こしたクルマがスローダウンしていて、それにひっかかったりしてペースが安定しませんでしたが、単独で走れたら雨の中ではおそらく一番速かったと思うくらい、すごくフィーリングが良かったし、自分でも乗れていました。次の鈴鹿に関しても不安はありません。性能調整があってクルマとしては厳しい状態だけど、もっとどん欲に作戦やクルマのことを勉強してチームとして強くなろうと思います。

熊倉淳一監督コメント

今回もブリヂストンが持ち込んだタイヤが抜群のパフォーマンスを発揮してくれ、それに合わせたセッティングができました。昨年と比較してコーナリングのボトムスピードが格段に上がっています。確かにウェイトハンディは大きいけれども、このサーキットはウェイトの影響があまり出ないこともあって、予選では良いタイムが出せました。でも正直なところ、ここまでのタイムが出るとは思いませんでした。リストリクター径縮小の影響は確実にあって、トップスピードは抑制されますが、コーナリング速度が上がったので、それを補ったのだと考えています。

決勝は出来ることをすべてパーフェクトにやったと思います。ハンディウェイト搭載車重の問題があって、作戦に選択肢はありませんでした。ただ、タイヤのパフォーマンスが高くて、両スティントとも同じタイヤで走らせる事ができ、この車両重量でもコーナリング中のボトムスピードが高いので最終コーナーの坂も勢いで登れて、ストレートスピードに繋げる事が出来、上位を走れました。今回もタイヤに助けられたと言えます。優勝できなかったのは本当に残念ですが、これでシリーズポイント・ランキングトップになれました。次のウェイトハンディは98kgに増えますが、シリーズチャンピオン目指してノー・トラブル!ノー・アクシデント!で確実に戦います。
ファンの皆様、ご声援ありがとうございました。