無限MUGEN

CR-Z HYBRID

SUPER GT 2014 TEAM MUGEN

Rd.2 FUJI

2014年5月8日

予選5番手から3位入賞を果たし、今季初表彰台を獲得!

シリーズ名:2014 AUTOBACS SUPER GT SERIES ROUND 2
大会名:FUJI GT 500KM RACE
距離:4.563km×110周(501.93km)
予選:5月3日(土) 晴れ・観衆:32,200人(主催者発表)
決勝:5月4日(日) 晴れ・観衆:57,200人(主催者発表)

 #0 MUGEN CR-Z GT(中山友貴/野尻智紀組)は、5月3日〜4日に富士スピードウェイ(静岡県)で開催されたSUPER GTシリーズ第2戦に参戦した。走行距離300kmのレースであった開幕戦に対し、第2戦は走行距離500km、周回数110周と、鈴鹿1000kmに次ぐ長距離レースである。ストレートの長い高速サーキットである富士スピードウェイに向け、富士用空力パーツを装備した。これらは昨シーズン、富士スピードウェイで用いた仕様そのものである。

 昨年のレースでMUGEN CR-Z GTは、GT300クラスでファステストラップを記録する速さを見せた。しかし、現在ウェイトハンディこそ4kgではあるが、昨年30.0mm×2であった吸気リストリクタ−径が今年は28.66mm×2へと縮小されているほか、最低地上高も5mm持ち上げられたままと、昨年とは条件が異なり車両自体に大きな変更は加えられていないものの、今年のレースに向けて新たな対応が必要であった。

5月3日(土)

公式練習:22位(ベストタイム:1分40秒428)

 ゴールデンウィークの富士スピードウェイは好天に恵まれた。日曜日午前の公式練習セッションでは、#0 MUGEN CR-Z GT のコックピットにはまず中山選手が乗り込みコースインした。しかし、ほどなく中山選手は車両から白煙が発生していることに気づき、無線を使ってピットと相談の上、火災による車両損傷を防ぐためにコース上最寄りのファイヤーステーション近くに車両を止めた。

 車両回収後に点検をしたところ、部品に問題があり、ミッションオイル漏れが起きていたことが判明、対応を行って残りセッションを走行するが、作業に時間がかかり、結局2時間のセッションで走行できたのは中山選手が6周、野尻選手が12周にとどまった。

公式予選:5位(Q1:13位 1分39秒231 / Q2:5位 1分38秒320)

 公式練習で十分なセッティングが進められなかったため、昨年のデータを基にドライバーとエンジニアがミーティングを行い、予選タイムアタック用のセッティングが決まった。スターティンググリッドは、全マシンが参加するQ1と、Q1の上位13台のみが出走できるQ2の2段階制ノックアウト方式で決まる。

 当初はQ1を野尻選手、Q2を中山選手という作戦も考えたが、予選用セッティングが未完成であることを考慮して、Q1を中山選手、Q2を野尻選手という組み合わせで公式予選に臨んだ。

 中山選手は1分39秒231を記録、Q2進出13台中の13番手でQ1を突破した。更に車両のセットアップを進め、マシンを引き継いだ野尻選手はQ2セッション残り2分で1分38秒320を記録して3番手へつけた。その後、このタイムを上回る車両が現れたため、最終的に#0 MUGEN CR-Z GTのスターティンググリッドは5番手に決まった。

5月4日(日)

フリー走行:15位(ベストタイム:1分40秒019)

 決勝レースの行われる日曜日も富士スピードウェイは好天。午前8時30分からフリー走行が行われた。#0 MUGEN CR-Z GTは、中山選手が8周、野尻選手が9周を走行し、長い決勝レースに向けたセッティングを確認した。ここで野尻選手が記録した1分40秒019は15番手にあたる。

決勝:3位(102周 3時間8分25秒797 ベストタイム:1分39秒661)

 午後2時の決勝スタートを前に、気温は摂氏20度、路面温度は摂氏32度に達した。富士スピードウェイの路面はドライ。スタートは中山選手が務めた。

 スタート合図とともに後方のマシンにアウト側から並ばれた中山選手は6番手へ順位を落としてレースを始めた。2周目には姿勢を乱し2台に先行され8番手になるが、順位を取り戻して7番手に上がったところで、コース上で発生したアクシデント処理のために セーフティーカーがコースイン、隊列を整え直すこととなった。

 10周を走行したところでレースは再開された。中山選手は7番手を争って後方車両と闘うが、16周を終了したところで再びアクシデントが発生し、セーフティーカーが入った。このタイミングでチームは1回目のピットストップを消化することに決め、マシンをピットに呼び戻しタイヤ交換と給油を行った。

 ドライバーを野尻選手に交代し、コースに復帰、セーフティーカーランに加わった。ピットインを行ったチームと行わなかったチームがあったため見かけ上の順位は混乱し、この時点で野尻選手は17番手につけていた。

 レースは20周目に再開された。野尻選手は後続の#4と順位を争う過程で追突されて左リヤのディフューザーを大きく破損、空力特性を損ねるハンディを抱え込んでしまうとともに#4の先行を許した。しかしその後野尻選手は着実なペースを重ねて走行を続け、セーフティーカーラン中に1回目のピットストップを行わなかったライバルチームがピットストップを行うに従って順位を上げ、30周目には14番手、40周目には6番手、  41周目には5番手、45周目には4番手へと順位を着実に上げていった。

 野尻選手はそのポジションを守って周回を重ね、60周を走り終えて予定通りピットイン、ステアリングを中山選手に託した。チームは給油とタイヤ交換を行い、#0 MUGEN CR-Z GTをコースへ送り出した。

 この2回目のピットインにより61周目、中山選手の順位は見かけ上10番手となっていたが,他チームが2回目のピットインを行うにしたがって順位は上昇し、62周目に8番手、63周目に7番手、64周目には5番手となり、さらに70周目には3番手、75周目には2番手、そして77周目にはついにトップに躍り出た。

 レースは110周だが、GT300クラスの消化周回数は102周前後と見込まれていた。中山選手は後方に8秒近い間隔を確保していたが、損傷を受けたディフューザーのため空力特性の変化もあってかタイヤ消耗が進み、90周を過ぎた頃からペースが鈍り始めた。その結果後方からの追い上げを受け、間隔は徐々に縮まってきた。

 逃げ切りをはかる中山選手は力走を続けたが97周目のダンロップコーナーのブレーキングで姿勢を崩すとそのままスピン、コースに留まってすぐに走行を再開したものの、その間に後続2車の先行を許し、順位は3番手へと後退してしまった。その後の追い上げはならず、結局中山選手は3位でフィニッシュしレースを終えた。

 この結果、TEAM無限は、チームポイント11ポイント(3位)、走行ラップポイント3ポイント(首位と同一周回)の合計14ポイントのチームランキングポイントを加算、累計ポイントを17ポイントとしてシリーズランキング5番手につけた。中山/野尻組は11ポイント(3位)のドライバーランキングポイントを獲得し、累計ポイントを13ポイントとし、シリーズランキング5番手につけた。

中山友貴選手コメント

練習走行でトラブルが出て車両のセットアップが進められなかったんですが、チームが頑張ってくれて3列目に並べました。予選に関してはできることはやったかなと思います。決勝では、1回目のスティントが短かったので2回目、3回目を思い切り引っぱらないと燃料が厳しくなってしまうという状況になりました。結果的には3回目にそのしわ寄せが来てしまった感じがします。チームとしては柔らかめのタイヤをチョイスして最後のスティントに臨んだんですけど、残り10周くらいから突然リヤの摩耗が厳しくなってきました。最初は押さえ込めるかなと思っていましたが、スピンする前の周からはブレーキングでまったく止まれない状態になっていました。

GT500との絡みもあって一気に(後続との間隔が)3秒少しくらいまで縮まって、それを(無線で)聞いて頑張らなくちゃと思っていたんですが、裏目に出たかもしれませんね。結局スピンしてしまいました。富士のレースは、性能調整の変更で去年より厳しい戦いになるだろうと予想していたうえ、走り始めでつまずいてしまったんですが、チームはいい仕事をしてくれたし野尻選手も2スティント目、いい走りをしてくれました。でもぼくが迷惑をかけてしまった。チームに申し訳ないことをしてしまい、悔しい気持ちでいっぱいです。それでも表彰台に上がれたのは良かったです。厳しいと思っていたのに表彰台までこられたのは本当にチームの力ですね。ハイブリッドも安定して働いてくれました。第3戦オートポリスは、抜きづらいコースなので予選が勝負だなと思っています。

野尻智紀選手コメント

土曜の午前中トラブルがあって走行できなかったのは痛いな、とは正直思っていました。本当ならぼくがQ1を担当した方が良かったかなと思うんですけど、ぼくにはまだ不安もありました。経験のある中山選手の方がニュータイヤからタイムをもっと絞り出してこれたかと思います。クルマには慣れてきましたが、久しぶりに走るとブレーキをどのくらいまで踏めるんだっけかなと感覚を1周、2周で切り替えることがまだうまくできず、チームの足を引っぱっていて、ぼくの力がもっと上がってこのクルマを100%で走らせられるようになればチームの総合力も上がるのにな、と反省しています。でも完璧ではないにせよ、予選で自分では8割方まとめられたので、あの結果が出たと思います。

決勝では2スティント目、走り始めでペースが上げきれなかったために追突されてしまった面もあります。その結果、ディフューザーが壊れて本来のパフォーマンスは出なくなり、3スティント目では中山選手のタイヤが減って、厳しかったと思います。ぼく自身、まだこのクルマの限界をしっかりつかみきれてはいないので、何周か走ってからでないとペースが上がらないんです。2スティント目、ベストタイム自体は悪くはなかったと思うけれど、そこまでロスをしすぎています。ぼく自身はバトルも経験できたし、つらいかなと思っていた富士で初めて表彰台に上がれたので、今後につながるレースだったなとは思いました。

熊倉淳一監督コメント

土曜の練習走行では、ミッションオイルが漏れるというトラブルが発生して十分に走れず、去年のデータと、少しだけ走った2人のドライバーコメントを参考に予選アタックのセットを作りました。野尻選手の予選シミュレーションができなかったので、乗り慣れている中山選手を使ってとにかくQ2に残ろうという作戦としました。そしてQ2は、中山選手のデータを元に色々と修正したことも決まり、野尻選手がよく頑張ってくれました。予選は上出来でしょう。

決勝は、セーフティーカーが2回も入る荒れた展開となりましたが、それも踏まえた作戦どおりにピットタイミングを計り、想定したラップタイムをミスなく刻んでいたら最後のスティントではトップに立っていた、ということです。FIA-GT3勢が速かったので、正直なところ順位としてはトップまで来られるとは思っていませんでした。野尻選手も後続車に追突され完璧ではない車両にもかかわらずミスなくコンスタントに走行を続け、中山選手にバトンを渡すことができました。しかし最後の最後で不安定な車両に足をすくわれ、優勝は逃してしまいました。途中、周囲が潰れてくれたので首位に立てましたが、3位という順位も予想以上です。性能調整でストレートスピードが抑えられた厳しい状況の中、パフォーマンスが落ちた車両をドライバーが良くコントロールし頑張ってくれたお陰だと言えますね。

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