無限MUGEN

CR-Z HYBRID

SUPER GT 2014 TEAM MUGEN

Rd.5 FUJI

2014年8月14日

予選3番手からスタートするも、
雨に苦戦して18位フィニッシュ!

シリーズ名:2014 AUTOBACS SUPER GT SERIES ROUND 5
大会名:FUJI GT 300KM RACE
距離:4.563km×66周(301.158km)
予選:8月9日(土) 曇り・観衆:18,500人(主催者発表)
決勝:8月10日(日) 雨・観衆:26,500人(主催者発表)

 #0 MUGEN CR-Z GT(中山友貴/野尻智紀組)は、8月9日〜10日に富士スピードウェイ(静岡県)で開催されたSUPER GTシリーズ第5戦に参戦した。走行距離500kmという中長距離レースであった第2戦に対し、第5戦は真夏の空の下、走行距離300km、周回数66周と通常のレースフォーマットで行われる。しかし接近する台風11号の影響で、富士スピードウェイは土曜朝から曇り空、気象情報では午後から雨と予報され、週末は波乱含みの幕開けとなった。

 #0 MUGEN CR-Z GTは、長いストレートがある富士スピードウェイに向け、フロントフェンダー上縁にアタッチメント、小型のカナードなど富士スピードウェイ用エアロパーツを取り付けたほか、前戦スポーツランドSUGOで採用した夏用グリル、スワンネック式リヤウイングなどの新しい空力パーツを引き続き装備している。ウェイトハンディは、前戦に引き続き38kg。

8月9日(土)

公式練習:3位(ベストタイム:1分39秒370)

 どんよりと曇った空の下、ドライコンディションで午前の公式練習セッションが行われた。#0 MUGEN CR-Z GTのコックピットにはまず中山選手が乗り込みコースイン。#0 MUGEN CR-Z GTは、ストレートスピードこそ伸びないものの、コーナリングスピードが高く順調にタイムを短縮。中山選手は21周を走って1分39秒702を記録した。

 セッション後半、車両を引き継いだ野尻選手は18周を走りタイムを1分39秒370まで短縮した。これは出走24台中3番手に当たる記録である。

7月20日(日)

公式予選:3位(Q1:2位 1分38秒278 / Q2:3位 1分38秒641)

 午後、公式予選が行われた。スターティンググリッドは、全マシンが参加するQ1と、Q1の上位13台のみが出走できるQ2の、2段階制ノックアウト方式で決まる。

 チームは、Q1を野尻選手、Q2を中山選手で戦う作戦を採った。しかし予選セッション開始を前に雲が厚くなりコースの一部では細かい雨が降り始めた。野尻選手はドライタイヤでコースイン、最初のアタックで1分38秒875を記録すると、2周置いて再度タイムアタック、1分38秒278を記録してトップに立った。その後、このタイムを#55号車が上回ったため#0 MUGEN CR-Z GTは2番手でQ1突破することになった。

 Q2を受け持った中山選手はコースオープンすると先頭でコースイン、タイヤを暖め4周目に1分38秒641を記録、この時点でトップに立った。その後、このタイムを更新する車両が現れたため順位は下がってしまった。中山選手は2回目のアタックをかけたが1分38秒789に終わり、スターティンググリッドは3番手で決定した。

8月10日(日)

フリー走行:24位(ベストタイム:1分58秒712)

 関西地方へ上陸した台風11号の影響で、富士スピードウェイは朝から断続的に強い雨が降り、コースは完全ウェットコンディションとなった。午前9時から始まったフリー走行セッションでは、まず中山選手がステアリングを握ってコースインした。

 しかし、雨が強まってコース上の雨量が増えすぎたとして、セッションは一旦赤旗で中断された。この段階で中山選手はエンジンのパワーが上がりきらないという不調を感じ取り、ピットでチェックが行われた。その結果、原因は特定できないがデータからエンジン本体に何らかの異常が発生していることが確認できた。

 チームは、短いフリー走行セッションを有効に使おうと、エンジンはそのままに決勝レースに向けてタイヤの皮むきなどの作業を行うこととし、中山選手が5周、野尻選手が2周、ペースを落としたまま最小限の周回のみ行った。セッション終了後、チームは早速決勝レースへ向けてエンジン換装作業に取りかかった。

決勝:18位(62周 2時間57分28秒080 ベストタイム:1分50秒803)

 決勝スタートを前に天候が悪化したため、大会審査委員会は決勝レース前のフリー走行を延長し13時38分から20分行うこととした。しかしセッション開始後13分経過した段階で雨が強まり、雨量が増えたとしてセッションは赤旗で打ち切りとなった。

 決勝スタート予定は午後3時。台風の影響で天候は変転し、スタート前には雨はほぼ止んだが、コースは完全ウェット状態でスタート時刻を迎えた。レースはセーフティーカー先導でスタート。スタートを務めた中山選手はポジションを維持したままレースを始めたが、ABSやトラクションコントロールなど、ウェット路面で威力を発揮する電子制御デバイスを搭載しているFIA-GT3勢に対し、それらが装着されていないCR−Zは、苦しい状況に追い込まれていた。

 中山選手は雨が再び降り始めた5周目の第13コーナーでスピン、コースへ自力で復帰したものの順位を16番手まで落としてしまった。その後雨はさらに強まり、中山選手の順位は19番手にまで後退、9周目には路面コンディション悪化を理由にセーフティーカーランとなって16周終了時点でレースは赤旗で一旦中断された。

 この時点で中山選手は18番手。ストレート上に整列した車両には最小限の整備が許されたため、チームは中山選手の指摘を受けて雨対策をグリッド上で追加した。午後4時15分、降雨が弱まるのを待ってセーフティーカー先導でレースは再開、18周終了時点で再スタートが切られた。

 雨はほとんど止み、走行するごとに走行ラインが乾き路面コンディションは好転していった。中山選手も上位と同レベルのタイムで周回を重ねるが、集団に取り込まれてしまい順位を大きく上げる事はなかなかできない。

 中山選手は38周を走り終えてピットイン、ドライバー交代を行った。野尻選手がコースに戻り、ライバル車も予定のピット作業を終えた段階で、#0 MUGEN CR-Z GTの順位は17番手。再び走行ラインは乾きだして、ラップタイムが徐々に上がり始めた。しかし野尻選手はFIA-GT3勢がラップタイムを短縮していくのに対して苦戦に陥り、50周目には18番手へ順位を落とした。

 ここで再び雨が強まり、路面はまたもや濡れ始めた。大会審査委員会は、トップが54周を走り終えた段階でセーフティーカーをコースインさせ競技車両を先導する決断を下した。

 セーフティーカーランの状態で天候回復を待ったが結局天候はそれ以降好転することはなく、レースはセーフティーカー先導のまま規定集回数である66周を走りきってフィニッシュを迎えることとなり、#0 MUGEN CR-Z GTは18位でチェッカーフラッグを受けた。

 この結果、TEAM無限は、走行ラップポイント3点(首位と同一周回)のチームランキングポイントを加算、累計ポイントを30点としてシリーズランキング10番手となった。中山/野尻組はドライバーランキングポイントを加算できず、累計ポイントを19点とし、シリーズランキング11番手となった。

中山友貴選手コメント

ストレートスピードは伸びませんでしたが、富士のコーナリングにクルマをうまく合わせ込めていてクルマはうまく仕上がっていました。決勝がドライであれば非常に楽しみな状況でした。

決勝前に20分間の確認走行があり、少なめの雨ならなんとか走れるかなと思っていました。でも天気に振り回されてしまいました。雨量の変化に対して、許容幅が狭く、コンディションが良くなっていったときにペースが上がりきらないという特性がSUGOに引き続き出てしまった形です。雨が強まったときにスピンして、集団の中に入ってしまい、コーナリングスピードで頑張ってもストレートスピードで貯金を吐き出してしまうことの繰り返しで押さえ込まれてしまいました。

クルマは、良いところは確実に進歩しているんですが、それと差し引きで課題も抱え込んでいることが雨のレースでよくわかりました。実は昨年は雨のレースがなかったので、雨がどんな影響を及ぼすのかを見落としていた面があったのだと思います。チームとよく話し合って対応をしていくつもりです。

野尻智紀選手コメント

走り出しから調子は良くて、予選もまずまずの結果が出せたと思います。でも決勝は、こういうコンディションになればこういう感じのレースになるだろうなと予想していた通りになってしまいました。

確かにコンディションによって難しいクルマではあって、開発もしなければいけないとは思うんですが、ドライバーとしてできることもまだまだあったなと反省しています。たとえば予選でトップを獲れなかったのは、自分がこのクルマを理解した上で正しい方向へプッシュしきれなかったからだと思います。

レース後半、路面はほぼ乾いていたんですが、フロントがすこし逃げたり、かつリヤが流れたりという状況で、周囲のFIA-GT3勢は乾けば乾くだけペースが上げられたのに対して、それについていけませんでした。それにはそれなりの理由があるので、まだ正解がどこにあるのかはわかりませんが、みんなでトライしていきます。次の鈴鹿は(ウェイトハンディが)軽いので、チャンスがあります。いい流れで鈴鹿を迎えたいなと思います。

熊倉淳一監督コメント

このクルマがウエット路面に課題を残していることを、前回から2レース続けて確認する結果になってしまいました。早急に対応策を検討し推進していかなければならないと痛感しております。

決勝日、朝のフリー走行中にエンジン・データー上で異変を発見したので万全を期すためにエンジンを換装しました。3番手からのスタートでしたが、雨になったら厳しい戦いになるだろうと思っていました。FIA-GT3勢の電子デバイスの威力はすごいなと改めて思い知らされました。JAF車両もレギュレーションで許される範囲で搭載していかないと路面コンディションによっては追いつけないかもしれません。

中山選手が序盤にスピンしてしまいましたが、その後は上位の車両と同等のペースで走れていました。でも一旦前に出られてしまうとストレート・スピードが遅いので抜き返すのは難しかったですね。土曜日までは良い感触だったので、ドライコンディションで闘いたかったですね。次回の鈴鹿1000kmで挽回します。

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