Rd.1 SUZUKA

2013年4月17日

TEAM無限
次につながるレースをまとめ、
山本が4位入賞!

シリーズ名:2013年全日本選手権スーパーフォーミュラ第1戦 鈴鹿サーキット
大会名:鈴鹿2&4 レース
距離:5.807km×43周(249.701km)
予選:4月13日(土)晴れ・観衆21,000人(主催者発表)
決勝:4月14日(日)晴れ・観衆:29,000人(主催者発表)

 日本のトップフォーミュラとして1996年から開催されてきた全日本選手権フォーミュラ・ニッポンは今年、その名称を全日本選手権スーパーフォーミュラと改めた。その開幕戦が三重県鈴鹿サーキットで開催され、TEAM無限は、#15佐藤琢磨選手と#16山本尚貴選手の2カー体制でこのレースに臨んだ。TEAM無限にとっては4年目の国内トップフォーミュラ、元F1ドライバーであり、現インディカードライバーの#15佐藤選手はTEAM無限で国内トップフォーミュラ4戦目のレース。#16山本選手は、TEAM無限で3シーズン目を迎えることになる。

4月13日(土)

フリー走行 1回目
#15佐藤 12位
#16山本 1位

 13日土曜日9時5分から1時間にわたり、ドライ路面でフリー走行が行われた。シリーズで使用されるシャシーは昨年に引き続きSF13(昨年までのFN09を改称)。TEAM無限はHonda HR12Eを搭載する。タイヤは昨年までのスペックと異なる新仕様となり、開幕前テストから好タイムが記録されていた。

 チームは、#15佐藤車、#16山本車にそれぞれ異なるセッティングを施して走り始め、理想を探ることにした。当日のコンディションには#16山本車のセッティングが適しており、山本選手はセッションのベストタイムを記録した。

公式予選
#15佐藤(Q1:3位 Q2:2位 Q3:6位)
#16山本(Q1:5位 Q2:1位 Q3:5位)

 3回のセッションにわたるノックアウト方式の公式予選は13時50分から、ドライコンディションで行われた。午前中のデータを基に、2台には予選用セッティングが施された。Q1は20分。セッション中盤に赤旗が掲示されて全車ピットへ帰還、この間に#16山本選手はリアサスペンションの微調整を行った。

 セッションが再開されると#15佐藤選手はコースへ復帰、#16山本選手はタイヤを交換してピットで待機した。#15佐藤選手は2周してピットへ戻り、フロントサスペンションとフロントウイングのフラップ調整を行い、タイヤを交換した。セッション終盤、#15佐藤選手、#16山本選手ともタイムアタックのためにコースイン、#15佐藤選手が3番手、#16山本選手は5番手でQ1を通過した。

 Q2は14時28分から7分間で行われた。2車はタイヤ交換、#15佐藤選手はコースオープン後1分、#16山本選手は1分半後にコースインし、2周をかけてタイヤをウォームアップ、タイムアタックを行った。その結果、#15佐藤選手が2番手、#16山本選手がトップでQ2を通過した。

 Q3は14時45分から7分間で行われた。2車はタイヤ交換、#15佐藤選手はフロントサスペンションを微調整してタイムアタックに備えた。コースオープン後1分で#15佐藤選手はコースイン、#16山本選手はさらに約30秒待って、最後尾からコースインした。2車は2周かけてタイヤをウォームアップ、タイムアタックを行った。その結果、#15佐藤選手は6位、#16山本選手は5位で予選を終えた。

4月14日(日)

フリー走行 2回目
#15佐藤 11位
#16山本 7位

 9時10分から決勝レースへ向けたフリー走行2回目が行われた。ここまでのデータを基にしながら2車には決勝レース用のセッティングが施され、燃料を搭載した状態の感触が確かめられた。

決勝
#16山本 4位(51周 1時間28分11秒920 ベストラップ1分41秒850)
#15佐藤 15位(51周 1時間29分13秒842 ベストラップ1分42秒049)

 鈴鹿サーキットは薄曇りだが、前日よりもわずかに気温が上がった。決勝はシリーズの中では変則的な300kmレースであり、タイヤマネージメントはもちろん、給油ピットストップのタイミングなど戦略面でも配慮が求められる。#15佐藤選手はダミーグリッド整列前のウォームアップを使って最後の最後まで理想のセッティングを探った。

 スタートの合図とともに、2車とも絶好の加速を見せた。#16山本選手は、前列に並んでいた2車の間をすり抜けて順位を上げようとした。しかし2車が進路を変えたため行き場所を失い減速、その間に#15佐藤選手が並びかかって1コーナーで先行。その後#16山本選手は130Rで#15佐藤選手をかわし5番手へポジションを戻した。#15佐藤選手はその後順位を下げ7周目には9番手へ後退した。

 7周目、#15佐藤選手にスタート違反の裁定が下り、ドライブスルーペナルティが科せられた。#15佐藤選手は次の周にドライブスルーを行い、順位を18番手まで落とした。一方、#16山本選手は前を行く4番手を攻め続けたがなかなか順位を入れ替えることはできない。

 20周を過ぎ上位陣の給油ピットインが始まった。#16山本選手は上位陣の中では最後、28周を終えてピットイン、タイヤ交換と給油を23秒かけて行うとコースへ復帰した。このピットインで結果的に先行車をかわし、順位を4番手へと上げた。#15佐藤選手は25周目に予定の給油ピットインを22秒かけて行った。全車のピットインが終わったとき、#15佐藤選手の順位は15番手になっていた。

 給油とタイヤ交換を終えた#16山本選手のペースは上位をしのぐほど速く、前方を走る3番手との間隔を周回毎に縮めていった。35周目に2秒663だった間隔は40周目に0秒846、45周目には0秒415へと縮まった。しかしその後は接近すると空力特性が変化してアンダーステア傾向になってしまい攻め込むことができず順位の逆転はならない。

 最終周、首位を走っていた選手がトラブルを起こしてペースダウンしたため、#16山本選手を含めた上位3車が接近、一群となって最終コーナーへ進入した。しかし#16山本選手は前車を追い抜くことはできず3位から0秒065の僅差で4位のままチェッカーフラッグを受けた。#15佐藤選手は終盤、排気系にトラブルが発生したが順位を守り15位でフィニッシュした。

山本尚貴選手コメント

クルマは走り出しからいい調子でした。公式予選では、最後にもう少しクルマをコンディションに合わせることができたかな、と思います。特別ミスもなかったのにポールポジションが獲れず悔しいです。

決勝では、スタートで前にいる2台の間をすり抜けられるかなと思ったら、挟まれる形になって減速せざるをえませんでした。あそこで接触したら今日の結果もなかったので、残念ですけど賢明な判断だったと思います。前半、ペースは良かったんですが、ちょっと頑張りすぎて、オーバーテイクを焦ってシケインでオーバーランしてしまいました。レースは長いしクルマも調子良さそうだから、落ち着こうと自分に言い聞かせ、とりあえずピットストップまで待つことにしました。

チームがピットインのタイミングを見計らってくれたおかげで、作戦通り前走車の前に出られました。後半は、前半に少しタイヤを傷めた感触があったので、ドライビングで修正を試みたらうまくいって、タイヤを傷めずに走れました。ただ、最後は相手も押さえるところは知っているしうまくブロックされてしまいました。最終ラップは、前2台で何かあるんじゃないかと思って、自分は立ち上がり重視に決めたんですが、結果的には進入で頑張った方が良かったかもしれません。

4位は残念ですけど、久しぶりにレースができたように思います。このチームに来て、こんなに上位でずっとレースができたことはなかったので、大きなステップを踏めたなと思います。この週末、本当にチームは完璧にやってくれました。全体的な底上げができたと思います。今一番速いのは無限のクルマだと自信を持って言えます。あとはぼくがまとめて結果につなげるだけです。

佐藤琢磨選手コメント

週末を通して、チームは素晴らしい仕事をしてくれました。予選では午前中のプラクティスに比べて、気温も路面温度も上がってバランスを崩したクルマもいたと思いますが、ぼくたちは安定したパフォーマンスを発揮することができました。去年はシーズン途中で急遽2カー体制にしたのでチームは準備が大変だったと思いますが、今年は開幕前テストからチーム全体の動きも向上し、2台の間での情報交換もスムーズにいき、全体的にレベルアップしたと思います。

決勝ではジャンプスタートを取られてしまいました。スタートそのものは問題ありませんでしたが、その前にクリープさせてしまったので、それがジャンプスタートと見られたようです。チームには申し訳ないと思っています。

その後は、単独走行になってしまいましたが、有用なデータは取れたと思います。ぼくらはクルマのバランスを改善すべく、予選から決勝に向けてのセットアップ変更の試行錯誤を続けていました。ウォームアップの8分間まで使って試して、グリッド上でもセッティングを変更しましたが、少し煮詰めが足りなかったかなという感じです。ラスト7周目くらいからエキゾースト系のトラブルが発生して全域でパワーダウンを感じました。今年、TEAM無限はすごく伸びると思うので、この後いろいろ情報交換しながらまた一緒に戦うのを楽しみにしています。

手塚長孝監督コメント

2台はわざと違うセッティングで走りだしましたが、いい感じで走れてフリープラクティスで山本選手がベストタイムを記録しました。それを参考に、予選に向けて2台を同じ方向へ再調整しました。その結果、Q2では夢のような1-2という結果が出せました。これはいけるんじゃないかと思ったんですが、Q3では路面コンディションの変化が大きすぎて、それに対応しきれなかったようです。Q2で1-2を取ったので、ドライバーも我々も少し萎縮しちゃって、思い切った変更ができなかった面もあります。

決勝での山本選手のペースは、単独で走っている間はトップの車を上回るほどだったので、本当にうまくクルマが仕上がったんだなと思いました。佐藤選手はさすがで、クルマの仕上げに大きな力を発揮してくれました。チームも、今年は当初から2カー体制を整え、2台の間でデータを共有するなど、うまく噛み合いました。その結果、次につながるクルマに仕上がったと思います。結果は4位でしたが先が見えたレースでした。

次のオートポリス戦では、佐藤選手に替わって若い小林崇志選手が乗りますが、佐藤選手の素晴らしい能力を学んでもらって、強力なチームの一員として働いて欲しいですね。次はもう少しうまく予選をまとめあげて、前に並んでスタートしてもっと良いレースをしたいです。

勝間田聡エントラント代表コメント

今回レースペースがトップ車両と同等、それ以上の安定したペースを刻めたのは、非常に大きな収穫でした。チーム全体が成長して、レースペースに合わせたクルマ作りができてきたということだと思います。課題としては、予選に於けるQ1〜Q3までの路面状況に的確にセットを合わせこんで、常に最低でも2列目以上のポジションからスタートできるようにすれば、結果がついてくるでしょう。次戦に向けても、今回の勢いを維持し更なる上を目指していきますので、今後ともご声援の程よろしくお願いします。