Rd.2 AUTOPOLIS

2013年6月5日

難しいコンディションの中、山本選手が3位入賞!
自身初、TEAM無限初の表彰台を獲得!

シリーズ名:2013年全日本選手権スーパーフォーミュラ第2戦 オートポリス
大会名:AUTOPOLIS SUPER 2&4 RACE 2013
距離:4.674km×54周(252.396km)
予選:6月1日(土) 雨・観衆:6,480人(主催者発表)
決勝:6月2日(日) 曇・観衆:13,500人(主催者発表)

 全日本選手権スーパーフォーミュラ第2戦が大分県オートポリスで開催された。TEAM無限は、#15小林選手と#16山本選手の2カー体制でこのレースに臨んだ。#15小林選手は、2011年に全日本選手権フォーミュラ・ニッポンにデビュー、昨年はSUPER GT GT500クラスを戦った。国内トップフォーミュラには2年ぶりの復帰となる。一方、#16山本選手は前戦で4位入賞を果たし、勢いに乗ってオートポリスへ乗り込んだ。

6月1日(土)

フリー走行 1回目
#16山本 2位 
#15小林 15位 

 九州地方は梅雨入りし、オートポリスも朝から雨。土曜日9時30分から1時間にわたるフリー走行はウェット路面で行われた。

 チームは、#15小林車、#16山本車にそれぞれ異なるセッティングを施して走り始め、#15小林選手は久しぶりのトップフォーミュラ感覚を確かめ、#16山本選手は上位入賞を目指してセッティングを探った。その結果、#16山本選手はセッション2番手のラップタイムを記録した。

公式予選(中止 6月2日に順延)

 3回のセッションにわたるノックアウト方式の公式予選は、悪天候のため30分近く遅れ14時50分から始まった。強い雨が降り、路面はハードウェット状態で、コースインしたマシンは高く水しぶきを上げる。セッション開始後ほどなく車両コースオフのためセッションは一旦赤旗で中断となった。

 その後、雨はやむどころかむしろ強まり、一部コースは霧に覆われたため、予選セッションは再開できず、大会審査委員会は、視界不良と雨量増によりノックアウト予選の続行を不可能と判断し、予選の打ち切りを決めて、公式予選は日曜日にやり直されることとなった。

6月2日(日)

公式予選
#16山本 3位
#15小林 11位

 日曜朝は本来のタイムスケジュールでは、9時30分から30分間にわたってフリー走行が予定されていたが、前日の天候不良による公式予選中止を受けて、フリー走行の時間帯に公式予選が行われることとなった。これに伴い予選形式が変更となり、当初3回のノックアウト形式で行われる予定だったが、35分間通してのタイム計測形式に変更された。

 天候は完全には回復せず、霧雨が降る中、完全ウェット路面でセッションが始まった。#16山本選手、#15小林選手ともレインタイヤを装着、#16山本選手はコースオープン直後、#15小林選手はタイムアタック車両の最後尾近くでコースインした。コースを走行するマシンは高く水しぶきを上げる。

 タイヤを暖めた#16山本選手は早々に1分38秒451を記録してトップに立った。その後ライバルたちがこのタイムを目安にタイムアタックを重ねることになった。#16山本選手は2番手になったところで一旦ピットに戻り、タイヤの内圧を調整しただけでコースに復帰、タイムアタックにかかった。タイムは1分37秒662へ縮まったがまだ順位は2番手。その後赤旗中断を挟んで再びタイムアタックした#16山本選手はタイムを1分37秒573へと縮めたが、他のライバルが好タイムを記録したため順位は3番手へと後退した。

 セッション終了直前、#16山本選手はピットに戻り、わずかにセッティングを調整すると最後のタイムアタックを行った。タイムは1分37秒204まで縮まったが、惜しくも順位を入れ替えることはできず3位となった。

 一方、#15小林選手は1分39秒677を記録して12番手でピットに戻り、フロントスタビライザーを調整するとともにタイヤを前後とも交換、コースに復帰した。その後もピットでセッティングを調整しながら着実にタイムを縮め順位を上げた。最終的に順位は1分38秒196の11位で予選を終えた。

決勝
#16山本 3位(50周 1時間21分41秒934 ベストラップ1分33秒386)
#15小林 リタイア(15周 27分29秒857 ベストラップ1分42秒353)

 #16山本車、#15小林車とも新品のドライ(スリック)タイヤを装着してコースインを待っていたが、ウォームアップでの走行から、チームはレイン(ウェット)タイヤへ交換を決意。ドライタイヤでダミーグリッドへ送り出したものの、グリッド上で浅ミゾのレインタイヤへ交換を行い、その場でレインタイヤ用にセッティングを微調整した。

 霧雨が降り続き、気温15度。体感温度ははるかに低い状況で決勝レースは始まった。スタート合図とともに、グリッド3番手の#16山本選手は好スタートを見せ、2番手へ順位を上げた。一方グリッド11番手にいた#15小林選手はスタートに失敗、17番手へ順位を下げてレースを始めた。

 2番手の#16山本選手は必死に先頭車両を追うが、1周ごとに間隔は広がる。だが後方の3番手との間隔も広がっていった。問題は戦略だった。全車両がコースを走り始めれば、路面状況は好転していく。霧雨は降り続いていたものの、ドライタイヤに切り替えた方がラップタイム向上を見込める微妙な路面コンディションに変化していくのだ。

 チームは、序盤レインタイヤで走り、給油してフルタンクにすれば残り周回を走りきれるギリギリのタイミングでピットイン、給油してタイヤをドライタイヤに切り替え走りきる作戦を考えていた。先頭車両も同様の作戦だったようで、まず先頭車両が6周をおえてピットイン、給油とドライタイヤへの交換を行った。

 #16山本選手も次の周にピットイン、給油とタイヤ交換を行ってコースに復帰した。このときのピット作業が非常に素早く、#16山本選手はなんと先ほどの先頭車両よりも前方でコースイン。#15小林選手は8周を終えてピット作業を行った。

 #16山本選手はピットストップでかわした後方車両を押さえ込もうと力走するが、ペースの差はいかんともしがたく、13周目に順位を落として3番手となった。#15小林選手は11周目の第1ヘアピンで発生した多重クラッシュを避けて、コース外を走行したため順位を15番手へ落としてレースを続けたが、16周目、第2ヘアピンでコースオフ、グラベルベッドに足を取られて脱出できなくなりレースを終えた。

 ドライタイヤでスタートし、先頭を走っていた車両は36周目にピットイン。タイヤ交換は行わず給油のみでピットアウト。#16山本選手の38秒以上前方でコースに復帰、順位の入れ替えはならなかった。#16山本選手は、わずかに濡れた路面の上で力走を続けるが、前を走る2車には届かず、3番手単独走行となる。

 そのままレースは終わろうとしていたがフィニッシュ直前、霧がコースを覆ったため大会審査委員会は4周を残して50周終了時点で赤旗終了を決めた。この結果、#16山本選手は開幕戦での4位入賞に続き3位入賞を果たし、TEAM無限としては初めて表彰台に上がることとなった。シリーズ2戦終了時点で#16山本選手はシリーズランキングでトップから僅か1ポイント差の11ポイントとなり、ポイント数では2番手(同ポイント3名 勝利数によりシリーズランキングは4位)に並んだ。

山本尚貴選手コメント

クルマは走り出しからいい調子でした。ポールを逃したのはくやしいけれど、過去、本来のポテンシャルを発揮して走ってはいなかったところ、前回の鈴鹿に続き雨のオートポリスでもポテンシャルを引き出して3番手につけたことは嬉しく思います。最後のタイムアタックでは、アウトラップではあまり感触が良くなかったけれどピットへ戻る時間はないし、ピットも「これ以上は無理かな」という雰囲気だったんですが、行くしかないと思っていきました。コースコンディションもいくらかは良くなっていたんです。それであのタイムが出ました。

レースでは、スタートがうまく決まりました。実は、ドライタイヤでスタートしようかなとも迷ったんです。でもブレーキが新品で、この濡れた路面でドライタイヤでは焼き入れするのは無理かなあと。実際にウォームアップで走って、ドライタイヤでは無理だと確信しました。それで、できるだけレインタイヤで頑張って走る作戦にしました。

ピットストップでアンドレ(ロッテラー)の前に出られたところまでは完璧でした。でもすぐミラーに映ったので、これはペースが違う、守りきるのは難しいと観念しました。セットも、ドライ方向へ振っていたんですが十分ではなく、コースにとどまるので精一杯、低速コーナーはいいんだけど、ブレーキとハイスピードコーナーでは後が出て、ふらふらの状態でした。過去の自分なら飛び出していたところです。この週末、少し濡れたドライ路面は初めて走ったので、「もう少しこうすれば良かったかな」と思いながら走っていました。

チームに早く表彰台をプレゼントしたかったので、この結果は嬉しい反面、前の2台にあれだけ差をつけられたのが悔しいです。本当は赤旗ではなくチェッカーを受けてフィニッシュしたかった。次は、みんなの前で手を上げてウイニングランしたいです。

小林崇志選手コメント

久しぶりのマシンで、なかなか馴れなかったんですが、予選が日曜日に変更になって土曜の練習走行から1日あいたので、走りのイメージをじっくり作ることができて、予選ではまずまずいい走りができたかなと思います。ウェットの中を走っているうち、難しいコンディションの中でコントロールができるようになって日曜朝は良くなっていました。ただ、アタックのタイミングが悪くて、タイムを延ばし切れませんでした。

決勝は少し濡れた路面とドライタイヤという走りに上手く合わせきれなくて、ペースが上げられなくてタイヤが暖まらなかったです。レインタイヤのときはバランスも良くて問題はなかったんですが、ドライタイヤに替えてから、前のクラッシュを避けるためにコース外を走ってタイヤが1回冷えてしまったりと、ついていないところもあったんです。ただもう少しああいう難しいコンディションの中でしっかりコントロールして走りこなせるようになりたいですね。

なんとかプッシュしなければいけないという状況でプッシュし続けていたんですが、ミスしてしまって完走できなくて、残念です。ふたつ目のヘアピンでブレーキがロックして曲がりきれなかったんです。それほど勢いよく飛び出したわけではなかったんですが、クラッシュパッドに対して少し角度が悪くて脱出できなくなってしまいました。少し濡れた状態のドライタイヤは、これまでほとんど経験がなかったので難しかったですね。

手塚長孝監督コメント

今回は走り始めからばっちりとクルマが決まっていて微調整で進められました。これまで雨が課題だったんですが、今回は決まりましたね。エンジニアとドライバーが中心になってミーティングして決めた持ち込みセットで、走り出しどうなるかなと思ったんですが。これでウェットもつかめたように思います。

決勝は、ウォームアップの8分間はドライタイヤで走って、やはりかなり危ないということなのでレインタイヤでスタートすることにしました。最初の何周かは非常にリスクが高いですから。とは言ってもノンストップという作戦は無理で、どっちにしろピットに入ってくるのだから、そのときに給油とタイヤ交換すればと考えていました。ドライバーも多分スタートはレインタイヤの方がいいと言うので、グリッド上で微調整して浅い溝のレインタイヤを装着しました。

ピット作業は、チームのみんなが、うまくばっちり決めてくれたので、山本選手はアンドレ(ロッテラー)の前でコースインできました。少しだけでも、アンドレの前を走れ、一矢を報いた感じがします。次回はそのまま抜かれないようなレースにしたいですね。ピット作業もみんな練習して、すごくうまくやってくれたんです。

ドライタイヤになってからは二人の外国人ドライバーに対して差がありましたね。レース後、すぐにドライバーコメントを聞き、思い当たる調整箇所をエンジニアも感じ取ってくれたので、先々の知識として学んだ事でしょう。トップ2台にまったく追いつけなくて悔しいです。次は表彰台の真ん中目指してまた修行し直して頑張ります。

小林選手は、今年はじめてこのクルマに乗るのに、土曜日1時間の走行しかなくて、しかもウェット路面。土曜日の練習よりは日曜日の朝の予選の方がうまく乗れるようになりましたね。予選で最後路面が乾いてきて、クルマが少しリヤのグリップが増えて、フロントがそれについていけずにアンダーが出てしまったようです。もう1回ピットインして修正する時間があればもう少し順位は上げられたと思うんです。決勝は、スタートで後に下がってしまったけど、後方集団の中ではまずまず良いタイムで走っていましたよね。
でもリタイアは余計です。完走が最低条件ですね。

チームとしては前回4位、今回3位。いよいよ表彰台の真ん中が見えてきました。応援してくださったみなさんに感謝して、これに甘んじず今回の成功を継続できるように手を抜かないようにみんなで頑張って順位を上げていきたいと思っています。
引き続き皆様の御協力、御支援をよろしくお願いいたします。