Rd.6 SUGO

2013年10月2日

山本選手、3位表彰台に上がり、チャンピオン争いに残る!

シリーズ名:2013全日本選手権スーパーフォーミュラ第6戦
大会名:2013 全日本選手権スーパーフォーミュラ シリーズ第6戦 スポーツランドSUGO
距離:3.704km×68周(251.872km)
予選:9月28日(土) 晴れ・観衆:5,800人(主催者発表)
決勝:9月29日(日) 晴れ・観衆:10,200人(主催者発表)

 全日本選手権スーパーフォーミュラ第6戦が宮城県スポーツランドSUGOで開催された。TEAM無限は、#15には鈴鹿サーキットでの開幕戦に引き続き佐藤琢磨選手を起用、#16山本尚貴選手との2カー体制でこのレースに臨んだ。山本選手は第4戦を終えた段階で(第5戦は開催中止)シリーズポイントランキング3番手につけている。

9月28日(土)

フリー走行
#16山本 7位
#15佐藤 9位

 秋晴れのスポーツランドSUGOで、午前9時、フリー走行からレースウィークが始まった。開幕戦以来、#15のコックピットには佐藤選手が乗り込んだが、スケジュールの関係で日本国内における事前打ち合わせはできず、メールと電話のみでのコミュニケーションを交わしたのみでの走行開始となった。

 スポーツランドSUGOの路面はダストが多く、当初想定したコンディションよりも滑りやすかったためか、走り出しのセッティングでは思い通りのバランスが得られず、#16山本選手、#15佐藤選手とも、セッティングを微調整しながら走行を行い、#16山本選手は7位、#15佐藤選手は9位のタイムでセッションを終えた。

公式予選
#16山本(Q1:2位 Q2:8位 Q3:2位)
#15佐藤(Q1:9位 Q2:6位 Q3:8位)

 今回の公式予選は、通常通り3段階のノックアウト方式で行われた。全車が出走するQ1(20分間)の上位14名がQ2(7分間)に進出。Q2の上位8名がQ3(7分間)に進出。スターティンググリッドは、ポールポジションから8番グリッドまではQ3の順位、9番手から14番手まではQ2の順位、15番手以下のグリッドはQ1の順位に従って決定する。

 午後1時10分に始まったQ1では、#16 山本選手、#15佐藤選手ともマシンのバランスが改善され、セッション前半でまず#16山本選手が1分07秒404で2番手、#15佐藤選手が1分08秒453で13番手につけた。

 セッション残り5分となったとき、一旦ピットに戻ってタイヤを交換した参加車両は本格的なタイムアタックを行うために一斉にコースインした。ここでは#16山本選手がその時点でトップタイムとなる1分06秒342を記録してそのまま帰還。#15佐藤選手はその時点で7番手になる1分07秒213を記録、さらにタイムアタックを続けてタイムを1分07秒097へ短縮して帰還した。その後、2人のタイムを上回る選手が現れたが、#16山本選手は2番手、#15佐藤選手は9番手でQ2進出を決めた。

 午後1時40分から7分間のQ2セッションが始まった。#16山本選手は先頭で、#15佐藤選手は最後尾からコースイン、1周タイヤを温めてタイムアタックに入った。しかし#16山本選手は馬の背コーナーで遅いペースで走行していたマシンに追いついてタイミングが狂い、SP第1コーナーにオーバースピードで進入して片輪を縁石からはみ出させてしまった。

 #16山本選手はなんとかコースに踏みとどまったがタイムは1分09秒295に終わり、次のラップで再度タイムアタックをやり直して1分06秒701を記録した。一方#15佐藤選手は1分06秒590を記録した。#15佐藤選手はこのタイムでQ2セッションを6位で終え、Q3進出を決めた。タイムアタックに失敗した#16山本選手は、かろうじて8位となり、#15佐藤選手とともにQ3セッション進出を果たした。

 午後1時57分から7分間のQ3セッションが始まった。まずタイムアタックを行ったのは#16山本選手で、その時点でトップに立つ1分06秒343を記録してピットに帰還した。#15佐藤選手は、1分07秒079を記録した後もタイムアタックを続け、タイムを1分07秒067へ短縮してセッションを終えた。その後、2人のタイムを更新する選手が現れたため、最終的なスターティンググリッドは、#16山本選手が2番手、#15佐藤選手が8番手と決まった。

9月29日(日)

フリー走行
#16山本 15位
#15佐藤 13位

 決勝日を迎えたスポーツランドSUGOは当初薄い曇が時折太陽の光を遮る天候だった。午前9時15分から30分間にわたって行われたフリー走行で、チームは焦点を決勝レース後半に絞り込み、燃料を満タンにし、消耗が進んだタイヤを装着して2台をコースへ送り込んでマシンのバランスを確かめた。タイムは伸び悩んだが、#16山本選手、#15佐藤選手とも、決勝レースに向けて手応えを確認して走行を終えた。

決勝
#16山本 3位(68周 1時間37分11秒399 ベストラップ1分09秒399)
#15佐藤 11位(66周 1時間37分32秒149 ベストラップ1分10秒213)

 決勝レースがスタートする頃には快晴となった。午後2時15分から8分間のウォームアップ走行を挟み、午後3時決勝レースのスタートが切られた。スターティンググリッド2番手にいた#16山本選手はうまくスタートしたが、ポールポジションの8号車に押さえ込まれ、そのスキにやはり好スタートを切っていたグリッド3番手の2号車にアウトからかぶせられて順位をひとつ下げることになった。

 一方#15佐藤選手はスタートの瞬間、エンジンをストールさせてしまいスターティンググリッドに取り残されてしまった。#15佐藤選手はコースマーシャルの手を借りて押しがけによりエンジンを始動、レースを始めたが、ほぼ1周遅れの状態にまで後れを取ってしまった。

 #16山本選手は先行車からほぼ1秒の差を保って3番手を走っていたが、3周目、コース上で発生したアクシデントでセーフティカー(SC)がコースインし、コース上でスロー走行しながら整列、7周目終了時点で改めてスタートが切られた。ところがその直後に再びアクシデントが発生したため、SCがコースインした。

 このタイミングを選んで上位チームの多くはピットインする戦略に出た。#16山本選手もピットイン、コースへ復帰した。#15佐藤選手はその1周後にピットインし、コースへ復帰した。SCによるペースランは11周まで続き、再スタートが行われた。この再スタートで#16山本選手はうまく加速し前を行く2号車を抜き去り2番手へ進出した。#15佐藤選手は上位陣とほぼ同じ1分10秒台半ばのラップタイムで走行していたが、1周遅れであったため、上位のレースを邪魔しないようコースを譲りながらのレースとなり20周終了時点で16番手を走行する。

 26周目にコース上でアクシデントが発生、3度目のSCコースインが行われた。この直前に#16山本選手は2号車に再び順位を入れ替えられていた。この時点で、まだピットインをしていないマシンもいたため、見かけ上の順位は#16山本選手が5番手、#15佐藤選手は15番手である。レースは31周を終了した時点で再開された。

 #16山本選手は2秒差で2号車を追いかける展開となった。残り周回数を走りきるための燃料を考慮すると、若干パワーを落として燃費に振ったマップで走行する必要があったからだ。51周目、他とは異なる戦略をとって首位を走行していた32号車にペナルティが下ったため、首位は8号車、2番手に2号車、3番手に#16山本選手が繰り上がった。#15佐藤選手は14番手につけてレースを続ける。

 58周目にコース上でアクシデントが発生、59周終了時点で4度目のSCが導入された。#16山本選手は3番手、#15佐藤選手は11番手につけて再スタートを待つ。残り4周、64周を終了した時点で再スタートが行われた。ところがこの再スタートの際、先頭車両が最終コーナーで減速してスタートタイミングを調整したため、隊列の後方で渋滞状態が発生、#15佐藤選手は直前で起きた混乱に巻き込まれる形で前方車両に追突、フロントウイングを破損してしまった。そこで#15佐藤選手はピットインしてノーズを交換しなければならなくなった。

 #16山本選手は、前を走る2号車を追おうとしたが、後方には異なる戦略を採用した結果、燃料とタイヤに余裕を持つ39号車が迫っており、自分のポジションを守ることも同時に考えなければならなかった。再スタート直後の1コーナーから2コーナーにかけて、#16山本選手はブレーキングで軽くホイールロックを起こしてしまい、後方から39号車に攻め込まれたが、なんとか押さえ込んで3番手を守った。しかし前を走る2号車との間隔は開いてしまった。そしてそのままチェッカーフラッグが振り下ろされた。#16山本選手は3位、#15佐藤選手は11位でレースを終えた。

 このレースの結果、#16 山本選手はシリーズポイントを6点加えて24点とし、2番手の選手と7点差、4番手の選手とは8点差のシリーズポイントランキング3番手で鈴鹿サーキットにて開催されるシリーズ最終戦を迎えることになる。#15佐藤選手も引き続き15号車に乗って参戦予定で雪辱を期す。

山本尚貴選手コメント

週末は、コースにダストが多くて走行できるラインが1本しかないようなコンディションで綱渡りのような走りを強いられました。Q2では前を走っている選手に引っかかってしまいリズムが狂ってオーバースピードでSPコーナーに入ってしまいコースを踏み出しました。その瞬間、まずいなと思ったんですけど、次のラップでしっかりスピードを乗せてアタックし直そうと気持ちを入れ替えました。当然タイヤはベストのグリップではなくなっていたのでQ3に残るのは少し厳しいかなと思ったんですけど、なんとか8番手でクリアできたのがQ3の2番手につながりました。

決勝でクルマは非常に良い状態だったので、前の2人についていけました。最後のスタートでは前の2人がやり合おうとしているのはわかっていたし、(スタートで)その間を縫って前へ抜け出すのは難しいなと考えていましたから、2台が競り合っている中で前へ出るチャンスを見つけようと思っていました。でも思いの外気温が下がったのと、ペースラップでペースが遅かったのとでタイヤが冷えてしまったため、普通にブレーキを踏んだらロックアップしてしまって、後からきた選手に抜かれたかなと思いました。でも相手もフェアに戦ってくれて、ギリギリのところでポジションを守ることができました。

結局前の2人に負けたことが悔しいです。でも逆に過去のレースと比べたとき2人と同様のラップタイムでレースができたことはポジティブに考えたい。チャンピオンシップを考えると、今日のレース展開を考えても今日このレースを3番手で終えたのは大きな意味があると思います。

佐藤琢磨選手コメント

昨年に続いて、ここスポーツランドSUGOに帰ってきたわけですが、去年に比較してチームのエンジニアリングが進化したことに驚きました。昨年は、山本選手とわざと異なるセッティングで走り出して、良いところを探らなければならなかったのですが、今日のプラクティスではほとんど同じ状態で走り出して、お互いに試したことのいいところ取りをして予選に臨みました。ただ、予選は難しかったです。

というのも、非常に路面が汚れていて、レコードラインが1本しか残っていない状態だったからです。そこを少しでも外れると土埃で挙動を崩してしまう。Q1、Q2、Q3と順調に進出出来たのは良かったんですが、Q3では最初にリヤを滑らせてしまって、それを取り戻せないまま終わってしまいました。クルマは非常に良く仕上がってきていたのでもっと前のポジションに並べたはずと残念です。でも久しぶりに国内トップフォーミュラの予選を楽しみました。

決勝日朝のウォームアップ走行では、昨日の延長上にクルマが非常に良くなっていて、手応えを感じました。だからスタートでは、ジャンプアップを狙っていました。ここは抜きにくいサーキットですし、スタートでできるだけ前に出てレースを始めようと思ったんです。

でも、フォーメーションラップで最終コーナーを立ち上がってくるときに何度かホイールスピンをさせてスタートの練習をしてみたところ、路面のせいか、あまりタイヤが食いつかない感じがしたので、本番のスタートで過大なホイールスピンをさせない方がいいなと考え、エンジン回転をあまり上げずにクラッチをつないだんです。そうしたらエンジンがストールしてしまいました。狙いすぎて失敗しました。まともなスタート練習ができていなかったのだから、安全策をとって、普通のスタートのようにアクセルを踏み切ってスタートすれば良かったんですけどね。

ようやくスタート出来たときには周回遅れになってしまったので、あとはレースを邪魔しないように気をつけながら、できるだけのベストを尽くしました。最後尾から、少しでも順位を上げられたのは良かったのですが、フィニッシュ直前の再スタート時に、前方で急減速するクルマがあったために混乱が生じ、玉突きのようにして前のクルマと接触してしまいました。

それでフロントウイングを壊してしまったのでピットインして交換をしなければなりませんでした。たくさんの日本のお客様の前で走れたことは嬉しかったんですが、もう少し良いポジションで走りたかったです。

次の鈴鹿にも出場します。今回は周回遅れで苦しいレースでしたが、良い部分、悪い部分が見えたので、鈴鹿のレースに向けてはいいデータが残ったかなと思います。15号車と16号車で別々に試して確認したこともあるし、春に鈴鹿を走ったときのデータもあるので、それをうまくまとめて、良いレースをご覧に入れたいと思っています。

手塚長孝監督コメント

決勝に向けては、ガソリンを満タンにして、タイヤも使い込んだものをつけてレース中盤から終盤へかけてのセットアップを確認しました。よい感触はつかんでいました。ですからフリー走行の順位はまったく気にはしていませんでした。

決勝はSCが入ってしまって、前の2台(8号車と2号車)と同じ条件で戦おうと最初から考えていましたので、もしSCが入ったら彼らと同時にピットに入って対応しようと決めて迷いはありませんでした。

終盤は、走行しながら無線連絡をとって燃費を確認したところ、ギリギリになったので若干パワーを落とす状態で走り切る作戦をとらざるをえませんでした。うちは前の2台と戦うことに集中していたので、その間に後のクルマがSCのタイミングを利用し燃料とタイヤに余裕がある状態で迫ってきて、少し脅威ではありましたけれども、そこは山本選手がよく押さえ込んでくれたなと思います。

我々には目標にしているライバル(8号車と2号車)がいたので、彼らと同じ条件で戦おうと決めていたので作戦については悔いもありません。彼らとガチンコ勝負してみたかったんです。でも結局2人に負けてしまったわけですから、3位という結果は満足すべきものではありません。ただ、言い方を変えれば3位になって(チャンピオン争いでは)首の皮一枚残った状態で鈴鹿へ持ち込めたとは言えますね。

残念ながら佐藤選手は、最後はメインウイングを完全に壊してしまったので走りきれる状態ではなくなりピットに戻りました。鈴鹿での最終戦に向けて良かったこともあるし課題も見つかりました。チームにとっては佐藤選手のセッティング能力は全体の底上げに非常に役立つのでありがたかったです。次のレースでは順位で彼の実力を見せて欲しいですね。チームとしては感謝しています。