2015 SUPER FORMULA

無限MUGEN

TEAM MUGEN

Rd.7 SUZUKA

2015年11月12日

TEAM無限、有終の美を飾る。
最終戦JAFグランプリ RACE2でポールトゥウイン!

シリーズ名:2015全日本選手権スーパーフォーミュラ第7戦
大会名:JAF GRAND PRIX SUZUKA
距離:RACE1/ 5.807km×20周(116.14km)
距離:RACE2/ 5.807km×28周(162.60km)
予選:11月7日(土)曇・観衆:13,500人(主催者発表)
決勝:11月8日(日)雨・観衆:16,000人(主催者発表)

11月7日(土)〜8日(日)、三重県の鈴鹿サーキットで2015年全日本選手権スーパーフォーミュラ シリーズ第7戦、JAF GRAND PRIX SUZUKAが開催された。各地を転戦した2015年度シリーズでは開幕戦が開催されて以来、2戦目の鈴鹿ラウンドであり、JAF GRAND PRIXの冠がつくとともに、決勝は2レース制がとられる。

燃料瞬間流量リストリクターは、通常の95kg/hに設定されており、決勝レース中に用いることができるオーバーテイクシステム(OT)を働かせると20秒間にわたって流量制限は95kg/hから105kg/hに増えパワーアップするのも通常通り。ただし、通常1レース5回とされているOTの使用回数は2レース制の今回、「2レースを通して5回」と制限されている。

11月7日(土)

フリー走行1回目
#16 山本 8位 1分39秒642

7日土曜日午前9時30分から1時間にわたり、ドライ路面でフリー走行が行われた。2レース制の今回、公式スケジュールとして予定されているフリー走行は週末を通してこの1セッションのみ。

ユーズドタイヤを装着した#16山本は、ゆっくりコースインして持ちこみセッティングを確かめ、4周目に1分40秒513(この時点で3番手)を記録するとピットへ戻った。

#16山本は持ち込みセッティングに改良の余地があると感じ、チームはセッティングに微調整を加えてセッション開始後20分、#16山本を再びコースへ送り出した。これに応えて#16山本はタイムを1分40秒451へ縮め(この時点で5番手)ピットへ帰還、さらにセッティングの調節にとりかかった。残り20分でコースインした#16山本はタイムを1分39秒642へ縮め、トータル18周を走ってフリー走行を終えた。

公式予選
#16 山本(Q1:6位 1分38秒645 / Q2:3位 1分38秒375 / Q3:1位 1分37秒963)

決勝2レース制となる今回のレースでは変則的なルールが適用される。3回のセッションにわたるノックアウト方式の公式予選は、先ず20分間にわたるQ1セッションの結果でRACE1のスターティンググリッドが決まる。そのため、全ドライバーがQ1セッションから全力でアタックしなければならず、何時にも増して激しいQ1セッションの争いが予想される。

RACE2のスターティンググリッドは従来どおり、Q1セッションからQ3セッションまでのノックアウト方式の予選で決まる。Q2セッションにはQ1セッションの上位14台が進出して7分間のタイムアタックを行い、さらにQ2セッションの上位8台がQ3セッションに進出してポールポジションを含む上位8つのグリッドを争う。

20分間のQ1セッションは、午後1時30分から始まった。天候は曇り、気温は19度、路面温度は22度と低めである。コースがオープンになると、#16山本は集団の後方からコースイン、2周かけてタイヤをウォームアップすると3周目に1分39秒721を記録(この時点で4番手)、ピットへ帰還した。

セッション後半のタイムアタックに備えて最終的なセッティング調整を行った#16山本は、セッション残り6分となったところでコースイン、2周かけてタイヤをウォームアップしてタイムアタックを行った。タイムは1分38秒645で、その時点でトップに立ったが、その後このタイムを更新する選手が現れたため、トップから0秒291後れの6番手でQ1を通過した。

この結果、RACE1では#16山本のスターティンググリッドは6番手となり、Hondaエンジン搭載車ではトップとなった。

Q2は予定通り午後2時から7分間で行われた。#16山本は出走14台のうち最後尾からコースイン、自分のポジションを確保しながらタイヤをウォームアップ、タイムアタックに入った。タイムは1分38秒375で3番手につけてQ3へ進出した。

午後2時17分からQ3セッションが始まった。出走台数が8台と少なくなったことを考慮して全車コースがオープンとなってもコースインを控え、1分が経過した頃に動き始めた。

#16山本1分45秒経過した後、出走8台中7番目にコースイン、2周にわたって慎重にタイヤを暖めた後1分37秒963を記録してトップに立った、セッションはそのまま終了し#16山本はRACE2のポールポジションを獲得した。

11月8日(日)

RACE1 決勝
#16 山本 14位(19周 / 41分29秒363 / ベストラップ1分57秒588)

鈴鹿サーキットは夜半からの雨でウェットコンディションとなった。変則的な決勝2レース制のため、通常午前中に設けられる2回目のフリー走行セッションは設けられず、午前9時15分に8分間のウォームアップ走行を行った後、雨量を考慮してセーフティーカー先導で決勝スタートが切られることとなった。

小雨が降り続く中で始まったセーフティーカーランでは、各車レインタイヤから水しぶきを高く跳ね上げながらタイヤのウォームアップを行った。2周にわたってセーフティーカーランが行われた後、3周目から20周のレースが始まった。#16山本は6番手のポジションを守り、前を行くマシンの背後につけた。

しかし水しぶきの中、#16山本のペースは上がらず前方との間隔は徐々に開き、むしろ後方から攻め寄られるようになる。#16山本は6番手のポジションを守るが、8周目の130Rで後方から並びかかられ、これを凌いでシケインに進入したところ、後続車の左前輪が#16山本車の右後輪に乗り上げる形で追突、2台は姿勢を崩してシケイン外側にオーバーランした。

まず後続車、続いて#16山本の順でコースに復帰、レースは続いた。一旦7番手に順位を落とした#16山本は、前に出たマシンが追突の影響で車両前部を破損してペースが上がらなくなったため、第1コーナー手前で順位を入れ替え6番手のポジションを取り戻した。しかし前方のマシンとの間隔は5秒以上に開いてしまったうえ、追突の影響で右リヤホイールのロックナットが緩むとともに、タイヤにも傷がついてペースが上げられる状況ではなく、残り周回数で追いつくのは難しい状況となっていた。

それでも#16山本は追走を続けたがロックナットの緩みが徐々に大きくなり、19周目には駆動がかからずレーシングスピードでの走行が不可能になったため、レース続行をあきらめペースを落としてピットへマシンを運びレースを終えた。

RACE2 決勝
#16 山本 優勝(27周 / 52分32秒553 / ベストラップ1分56秒064)

午後3時スタート予定のRACE2を前にウォームアップ走行が午後2時16分から始まった。

RACE1終了後、雨は一旦上がったが再び雨が降り始め路面はウェット状態となった。#16山本はRACE1でのデータを基に、チームが大幅に改善したセッティングを確かめるためコースインしたが、良い感触が得られたため、8分後のセッション終了を待たず、レインタイヤの消耗を考慮してピットへ戻った。

RACE2はスタンディングスタートで始まることとなり、フォーメーションラップの後、ポールポジションの#16山本を先頭に全車スターティンググリッドについた。ところがスタート合図の寸前、参加車両の1台に火災が発生したためスタートは延期された。

15分のインターバルを置いてレース距離を1周減算、27周レースとしてスタートがやり直されることとなった。RACE2では競技規則でレース中にタイヤ交換のためのピットストップが義務づけられていたが、全車レインタイヤでスタートするためピットストップ義務は課せられない。

路面は完全ウェットコンディションで、レインタイヤからは高く水しぶきが上がる状況である。 スタートの瞬間、#16山本は好ダッシュを見せた。後方からうまく加速したマシンが第1コーナーに向けて#16山本のイン側に並びかかろうとしたがブレーキングを遅らせ外側から押さえ込んで先頭でコーナーへ飛び込んだ。

先頭のポジションを確保した#16山本はファステストラップを連発しながら後続を引き離しにかかった。1周目に1秒6だった2番手との間隔は2周目には2秒、5周目には4秒、8周目には5秒へと開いていった。

27周のレースを折り返す頃には2番手との間隔は7秒に開いていた。この頃、雨が弱まり路面の雨水も減ってきた。チームは2番手との間隔も十分開いたと判断、タイヤ消耗を考慮してペースを抑える作戦に切り替えた。レース中盤、#16山本は2番手のマシンとの間隔を7秒強に保って危なげなくレースを続けた。

#16山本はそのまま27周のレースを走りきり、今季初優勝を遂げた。#16山本とTEAM無限の優勝は、2013年シリーズ第7戦のRACE1以来のこと。この結果、#16山本は選手権ポイントを9点加えてシリーズ総計を26点とし、Honda勢トップのランキング5位でシリーズを終えた。またTEAM無限はシリーズ総計21点でランキング6位となった。

山本尚貴選手コメント

優勝することができて素直にうれしく思います。週末の走り出しはあまり良い感触ではありませんでした。少しずつチームがクルマを仕上げてくれたお陰でQ3は思い通りの走りができましたが、雨になったRACE1では、クルマの手応えはあまり良くありませんでした。ウォームアップで走り出した段階で、正直「これは無理だ」と思いました。

RACE2にもかなり不安を感じていましたが、インターバルにエンジニアがすばらしいクルマを作ってくれたお陰で、レース前のウォームアップで「これはいけるかも」と感じました。なので、8分間走りきらずに帰ってきてスタート練習だけをして、落ち着いてレースを迎えることができました。

ただスタートは練習でもなかなかうまくできずに不安はありました。スタートがやり直しになった時は、気持ちが一番高いところにあったので「なんだよ」とも思いましたが、すぐに切り替えて「もう1回練習できるから良かった」とプラスに考え直しました。

本番ではなんとか無難にスタートが決められましたが、中嶋選手もかなりいいスタートで迫ってきたので、ちょっと強引な部分もあったんですが、ここを抑えなければ絶対勝てないと思い踏ん張りました。引くに引けないという状況で、フェアに戦ってくれた中嶋選手には感謝しています。

走っている最中はいろんなことを考えず、とにかく攻めることでしか集中できないと思って走っていました。それが最後までラップタイムを落とさずに走り切れた勝因だと思います。最後の2周はトラブルが出ないで欲しいと願いながら走っていました。ようやくではありますが、こうして最後に優勝することができ、Hondaに1勝をもたらすこともできて良かったと思います。

手塚長孝監督コメント

この週末、持ち込みセッティングで走り出した時にはあまり良い感触ではなく「またダメかなぁ」という雰囲気になりました。でもそこからチームが素晴らしい仕事をしてくれて、なんとか最後の最後に優勝することができました。

セッティングは本当にシビアで、非常に難しいレベルになっています。第1戦から常に勝利を目指して戦ってきましたが、中盤戦は悩む部分もあり、とても苦しい思いもしました。しかしチームスタッフ、ドライバー含めて全員が高い向上心をもって仕事に取り組んでくれた結果が、今回の優勝という形につながったのだと思います。

予選でポールポジションを獲れたのは良かったのですが、雨になったRACE1は、やや辛い結果になりました。そこでRACE2に向けてエンジニアが大幅にセッティングを変えてくれた結果、それがハマりました。それに応えて山本が1コーナーまで後続車を抑え込みましたね!彼の意地を見たような感じです。苦手な雨のコンディションではありましたが、今シーズン最後のレースで強さを発揮することができました。

最終的にぶっちぎりというか、気持ちの良い結果が出せてうれしいです。途中、雨量が減ることでリヤタイヤが厳しくなることは予測していたので、レース中、山本はペースコントロールもしてくれました。Hondaエンジン搭載車は今年1勝もできていなかったので、最後に勝てたことは関係する方々も喜んでくれました。またチーム力を発揮出来たことに加え、来年に向けたデータ取りもできて、良い結果となりました。

ご協力してくださった多くの関係各位、そして大勢のファンの方々に対し、最高の結果で締めくくることができうれしい限りです。応援ありがとうございました。来シーズンはもっと上を目指したいと思います。

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