2018 SUPER_FORMULA

Rd.7 SUZUKA

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2018年10月31日

山本、ポールトゥウインで逆転チャンピオン獲得

シリーズ名:2018全日本スーパーフォーミュラ選手権 シリーズ第7戦
大会名:第17回JAF鈴鹿グランプリ
距離:5.807km×43周(249.701km)
10月27日(土)晴れ・観衆:13,000人(主催者発表)
10月28日(日)晴れ・観衆:23,000人(主催者発表)
2018年度全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズ最終戦(第7戦)が、三重県鈴鹿サーキットで開催された。今回のレースは、第17回JAF鈴鹿グランプリと冠され、FIA世界ツーリングカーカップ(WTCR)と併催となる。シリーズ最終戦は、優勝者にボーナスポイントとしてシリーズポイントが13点付与される。TEAMMUGENは、#16山本尚貴、#15福住仁嶺の2カー体制でこのレースへ参戦した。シリーズポイントランキング3番手につける#16山本にとってはシリーズチャンピオン決定戦である。
 
10月27日(土)
■フリー走行
#16 山本 (ベストタイム1分48秒009 7番手)
#15 福住 (ベストタイム1分48秒587 9番手)
夜、本降りの雨がコースを濡らしたが朝にはいったん止んだ。しかし8時を前に再び雨がぱらぱらと降り出しコースは乾かない。WET宣言が出てフリー走行は8時55分から9時45分の50分間に変更され、さらにコースオープンは遅れた。午前9時から50分の予定でセッションが始まった。雨は止んでいるがコースはウェットである。全員がレインタイヤを装着してコースインするが走ると水しぶきが立つ状況である。

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コースはセッション終盤、ラインがわずかに乾きだし、一部マシンはドライソフトタイヤを装着して走行したがTEAMMUGENの2台はレインタイヤのままセッションを終えた。
 
■公式予選
#16 山本 1位(Q1:1位 1分38秒477 Q2:1位 1分38秒008 Q3:1位 1分37秒909)
#15 福住 13位(Q1:9位 1分39秒082  Q2:13位 1分38秒888 Q3:出走せず)
午後12時35分からの公式予選を前に鈴鹿サーキットは快晴となった。20分間のQ1セッションでは規則でミディアム・タイヤの使用が義務づけられている。#16 山本はコースオープンと同時にコースインし、タイヤのウォームアップをするとタイムアタックにかかった。セクター1~セクター2までベストタイムを記録しラップタイム1分38秒477をたたきだしトップに立った。

一方#15 福住は2周かけてウォームアップをすると1分40秒157を記録、4番手につけた。このときピットロードで火災が発生したため赤旗が提示されセッションは中断となった。

消火作業と路面のオイル処理を終えセッションは午後12時55分、残り14分05秒で再開された。#16山本、#15 福住はピットで待機、他車の動向を見守る。残り6分となったとき2台は相次いでコースインした。その後#16 山本のタイムを更新する選手はおらず、#15 福住は再度タイムアタックをかけて1分39秒082を記録してセッションを終えた。#16 山本はトップ、#15 福住は9番手でQ2進出を決めた。

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7分間のQ2セッションは15分後れの午後1時20分から始まった。コースオープン後も#16 山本、#15 福住はソフト・タイヤを装着した状態で待機、セッションが残り3分20秒となったところでコースインした。#16 山本は1周でウォームアップをするとタイムアタックに入り1分38秒008を記録してトップに立った。#15 福住は1分38秒888でこの時点で8番手につけた。#16 山本のタイムを更新する選手は出ず、#16 山本はトップのままQ3進出を決めた。しかし#15 福住は13番手に終わり、Q3進出はならなかった。

7分間のQ3セッションは午後1時37分から始まった。ソフト・タイヤを装着した#16 山本はコースオープン後、他車が続々とコースインする中ソフト・タイヤを装着して待機、Q2出走9台中7番目にコースイン、ウォームアップにかかった。1周のウォームアップの後タイムアタックに入った#16山本はセクター1からセクター2まですべてのセクターでベストタイムを記録、1分37秒909を記録してトップに立った。セッションはそのまま終了、#16 山本はポールポジションを獲得した。#16山本はポールポジションポイントを加算、この時点でシリーズポイントランキングを同点2番手とした。#16 山本にとっては通算10回目のポールポジションであった。
 
10月28日(日)
■フリー走行
#16 山本 (ベストタイム1分41秒203 4番手)
#15 福住 (ベストタイム1分42秒239 17番手)
快晴の空の下、午前8時45分から30分間にわたってフリー走行が行われた。#15 福住はソフト・タイヤ、#16 山本はミディアム・タイヤを装着してコースイン、走行を始めた。途中、タイヤのスペックを交換する選手もいた中、#15 福住、#16 山本とも当初のタイヤのまま走行を続行した。赤旗中断を挟み、#16 山本は12周を走行して4番手、#15福住は8周を走行して17番手でフリー走行を終えた。
 
■決勝
#16 山本 1位(43周 1時間14分40秒652 ベストラップ1分42秒042)
#15 福住 12位(43周 1時間15分45秒962 ベストラップ1分42秒988)
決勝レースを前に8分間のウォームアップ走行が行われた。#16 山本はコースインとピットインを繰り返しスタートで用いるソフト・タイヤの感触の確認とミディアム・タイヤへ熱入れを行った。チームはスタートで使うソフト・タイヤの消耗を抑えるためセッティングをわずかにローダウンフォース側へ変更、レースに備えた。#15 福住はスタートに用いるソフト・タイヤの感触確認を4周にわたって行った。

日曜日は晴天となり気温21℃、路面温度は23℃と上昇した。午後2時15分、決勝レースが始まった。ポールポジションの#16 山本、13番手スタートの#15 福住ともにソフト・タイヤでスタートした。スタート合図の瞬間、#16 山本は好加速、2番手を押さえて先頭で第1コーナーへ進入した。

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#16 山本は1周目に1秒379、2周目に1秒863、3周目に2秒306と周回毎に後続を引き離していった。ポイントランキングを逆転してシリーズチャンピオンになるためには、#3 ニック・キャシディ選手を押さえ込んで優勝する必要がある。#3 キャシディ選手はミディアム・タイヤでスタート、4番手でレースを始めてレース後半でソフト・タイヤを使い追い上げる、#16 山本とは逆の作戦を選んでいた。#3 キャシディ選手を押さえ込むためにはレース前半のうちに間隔を 拡げておかねばならない。#16 山本はひとり1分42秒台のタイムを連発して2番手以降を引き離していった。

一方#15 福住はスタートで一気に順位を9番手に上げ12周目にピットインし、ミディアム・タイヤへの交換を行って14番手でレースに復帰した。しかしペースを上げて追い上げにかかろうとした20周目、ダンロップコーナーでオーバースピードからハーフスピンを喫し、14番手のポジションのままコースに復帰することはできたものの、大幅なロスタイムを強いられて前走車からは引き離されてしまった。

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#16 山本は#3 キャシディ選手との間隔を周回毎に拡げ、17周目には15秒394としたが、18周目にはスタート後、初めてその間隔が15秒375へ縮まった。チームはソフト・タイヤの消耗が進み性能低下が始まったと判断、19周目に#16 山本をピットへ呼び、ミディアム・タイヤへの交換を行いコースへ送り返した。ピット作業は正確迅速に進み、作業時間は11秒3にとどまった。

#16 山本は見かけ上の順位が7番手でレースを再開した。ピット作業を終えていたグループの中ではトップを維持したままである。しかし必ずしもマシンは完調ではなかった。週末の走り出しから問題だったブレーキの左右バランスが崩れる症状が現れ始め、その影響でタイヤの内圧が変動して本来のパフォーマンスを引き出せなくなったのだ。#16 山本がピットインしている間に見かけ上のトップに立った#3 キャシディ選手はミディアム・タイヤのままハイペースで走行を続行した。

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#3 キャシディ選手は29周目にピットイン、ソフト・タイヤを装着してコースに復帰した。#16山本はその間に前に出たが、コースに戻った#3キャシディ選手はさらにペースを上げて#16山本を追いかけ始めた。見かけ上の順位は#16 山本が4番手、#3 キャシディ選手が5番手、事実上のトップ争いが始まった。

31周目、#16 山本と#3 キャシディ選手の間隔は6秒426へ縮まった。33周目、前を走っていた選手がピットインしたため#16 山本は先頭に立ったが、2番手#3 キャシディ選手は周回毎に0秒5以上速いペースで間隔を縮めてくる。残り2周となった最終シケインで、山本はブレーキバランスの差からホイールをロックさせてしまい、間隔は一気に1秒を切った。

ただ#16山本は最終ラップまでオーバーテイクシステム(OT)を使用せずに残しており勝算を持っていた。最終ラップ、#16 山本は残っていたオーバーテイクシステムを続けざまに使ってそのまま逃げ切り0秒654差で優勝のチェッカーフラッグを受けた。

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今季3勝目、シリーズ最終戦のボーナスポイント13点を獲得、シリーズ通算ポイントを38点とし、2番手#3 キャシディ選手と1点差でシリーズチャンピオン獲得が決まった。#16 山本にとっては2013年以来2回目となるチャンピオンの栄誉であった。なおチームランキングではTEAM MUGENは惜しくも3位でシーズンを終えた。

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■山本尚貴選手のコメント
レース後半、ミディアム・タイヤを履いたとき『あれ?セクター1が遅いな』とは思ったんです。ブレーキの左右バランスが崩れて、遅いコーナーと速いコーナーが生じ、1周のラップタイムが上げられなくなりました。でもまさかあそこまで追い上げられるとは思っていませんでした。

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ただOTを5発残していたし、近づかれてもよほどラップタイム差がなければダウンフォースが抜けて真後ろに近づくことはできないだろうなと思っていました。さすがに最終ラップはどきどきしましたが、2013年以来5年ぶり2度目のチャンピオンを獲ることができ、素直に嬉しいです。

この日のために開発、メカニック、エンジニア、スタッフ、みんなで力を合わせて頑張ってきました。シーズンの途中では苦しい時期もありましたが、チームの総合力とファンの皆さまのおかげでチャンピオンにたどり着くことができました。応援してくださったすべての皆さまに感謝いたします。本当にありがとうございました!
 
■福住仁嶺選手のコメント
約1ヶ月ぶりでスーパーフォーミュラをドライブさせていただきました。開幕戦で鈴鹿サーキットを走ったときは割と調子が良かったので、ある程度自信はあったんですが、ここまでツインリンクもてぎや岡山国際サーキットで良くなかったという流れもあったので正直なところ不安もありました。

どこのコースへ行ってもフリー走行では調子がいい反面予選タイムアタックでうまくいかないという症状が出ていて、今回もそれが出て予選13位というふがいない結果に終わってしまいました。優勝を狙っていたのに表彰台すら遠くなってしまいましたが、決勝ではスタートも良かったしその後のペースも悪くありませんでした。

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でも自分のミスでダンロップの出口で縁石に乗ったとき急に後が出てハーフスピンしてしまい、順位を大きく落としてしまいました。それがなければポイントを獲れたと思うので残念です。

スーパーフォーミュラは難しいクルマです。今シーズンは全戦出ることができずクルマ作りをうまくまとめられなかったし、自分のミスも目立ったことを反省しています。
 
手塚長孝監督のコメント
TEAM MUGENとしてもHondaとしても久しぶりのタイトルがかかっていたので緊張した週末でした。金曜の占有走行から良い流れを最後まで持続出来たのが良かったです。予選もパーフェクトだったし、山本選手の集中力は凄かったと感じました。レース前半は思い通りの展開でしたがブレーキの左右バランスが崩れるという問題が出たのは想定外でした。

この様な状態でも冷静なドライブでタイムロスを最小限で抑えたことや、メカニックのピット作業が 11.3秒と他チームよりも速かったことなど、最後は僅差の勝利だった事を考えると、いろいろな面でタイム短縮の積み重ねが勝因でした。チームの総合力を最終戦で発揮できたことを誇りに思います。

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福住はポイントを狙えるポジションで頑張っていたのですが、途中でハーフスピンして10秒ほど遅れてしまいました。参戦したレースでは速さの片鱗も見せてくれる時もあったので、経験を積んで強くなってくれると信じています。

シーズン途中では苦戦もありましたが、チームの総合力を発揮するために協力してくださった関係者の皆様、スポンサー様、そしてファンの皆様のおかげでチャンピオンを獲ることが出来ました。シーズンを通して応援していただき本当にありがとうございました!