無限(株式会社M-TEC)は、2018年5月26日(土)~6月8日(金)にマン島で行われた2018年マン島TTレース TTゼロチャレンジクラス※において、ゼッケン1番のマイケル・ルター選手が新記録樹立で優勝を飾り、5連覇を達成致しました。またゼッケン2番のリー・ジョンストン選手も、駆動系のトラブルに見舞われたものの、全車中最速の170.8マイル(275km/h)を記録し3位となりました。
今年のマン島TTレースは、ジョン・マクギネス選手の負傷再発と、ブルース・アンスティ選手の病気発症で、予定していたライダーが参加出来なくなり、波乱含みで始まりました。マン島上陸後も、プラクティスセッションで発生したマシントラブルにより、マイケル・ルター選手、リー・ジョンストン選手は予選なしでの決勝走行を余儀なくされる万難の中でのチャレンジとなりました。
またこの程のマン島TTレースにはケンブリッジ公ウィリアム王子がご訪問され、TTゼロチャレンジクラスのスターターを務められました。その際、神電七をご覧になり、選手およびチームスタッフにねぎらいの言葉を掛けて下さいました。
レースの結果は、マイケル・ルター選手は優勝を、リー・ジョンストン選手は3位と、2人そろってポディウムに立つことが出来ました。また、TEAM MUGENとしても前人未到のTTゼロチャレンジクラスの5連覇、目標として掲げていた平均スピード120マイルオーバーを達成する事が出来ました。スポンサー様、そして関係者の皆様、7年という長きにわたるご支援ご協力に心より感謝申し上げます。
※マン島TTレース(The Isle of Man Tourist Trophy Race) TTゼロチャレンジクラス
マン島TTレースはイギリスとアイルランドの間にある淡路島程の大きさのマン島で1907年から開催されている市街地、住宅街、山間部を含む1周約60kmの一般公道コースをタイムトライアル形式で走行する、現存する世界最古の高速オートバイレースである。第二次世界大戦終結後の1947年からは世界グランプリロードレース選手権として再開され、日本の二輪メーカーやライダー達が果敢にチャレンジしたことが、今日世界に大躍進した日本の二輪産業のまさしく繁栄の基盤となった。TTゼロチャレンジクラスはクリーンエネルギー時代の将来を見据えて2009年から新たにスタートしたカテゴリーで、CO2を排出しないクリーンエミッション機構を動力に持つことが定められている。一般的なレシプロエンジンでのレースクラスは1レースで3周から6周するところ、TTゼロチャレンジクラスはバッテリー性能と容量の兼ね合いから、現在1周約60kmのみのレースとなっている。
■マイケル・ルター選手のコメント
「トラブルもあり、非常に難しい一週間でしたが、チームはよくまとめてくれたと思います。決勝前には徹夜に近い状況でセッティングや準備が行われました。ほとんどテスト走行ができない中、決勝に向けマシンをどう仕上げて行くか難しい決断の連続でした。リーに発生したトラブル同様、チェーンが暴れる場面もありましたが、とにかく出来る限りスムーズに走ることを心がけフィニッシュラインを目指しました。ジョン・マクギネスが2016年に打ち立てたTT ゼロのラップレコードを塗り替えましたが、当時よりも車体は進化している訳ですし、開発に携わったジョンやブルース・アンスティに感謝したいですね。」
■リー・ジョンストン選手のコメント
「TTが始まってからの一週間、TEAM MUGENの皆は本当によく働いてくれました。プラクティスで起きた問題も、日本からパーツを取り寄せることで完全に修復してくれました。だからこそ、チェーンが脱落してしまった時も、とにかく修復してチームのために必ずゴールしようと走りました。実際のところ、決勝で初めて100%の出力で走行ができ、やはり(神電に)慣れるまでにちょっと時間が掛かりました。ただ、マウンテン区間で問題が起きたところまでは本当に調子よく走ることができました。神電は、ジョン・マクギネスとブルース・アンスティがセットアップを煮詰めてきたバイクだけに、車体やそのパッケージは素晴らしいものでした。」
■宮田監督のコメント
今年は参戦発表以降にライダー交代や参戦体制の変更が生じ、困難なスタートになりました。また、現地でも車体のトラブルが発生し、その不具合対策の為に練習走行を2回キャンセルする事となり、7年間の中で最も厳しい状況でレースに臨むことになりました。現地では不具合対策ができず、日本とUKの2ヶ所で対策作業を進めました。決勝前日に対策部品が届き、その後すぐにJurby Airfield(ジャービィ・エアフィールド)で走行確認を実施し、翌日の決勝レースに臨みました。対策部品が揃うまでに時間を要しましたが、ライダーが納得できる状態まで車体を戻せたことが決勝の走行につながったと思います。決勝は快晴の中、定刻通りにスタート。1号車は各ポイントでコースレコードを更新しながら、無事チェッカーを受けました。2号車はバンガローで駆動系のトラブルが発生し、その後コース上で修復し、チェッカーを受けて決勝レースを終えました。2号車のリー・ジョンストン選手には非常に残念な結果となりました。このトラブルは現在原因を調査中です。1号車のマイケル・ルター選手は神電の性能を最大限に発揮し、2位と23秒差をつけて優勝しております。
優勝、そしてコースレコードを達成してくれたマイケル・ルター選手、トラブルが発生したにもかかわらずコース上で修復し完走してくれたリー・ジョンストン選手、良い流れとはいえない状況下ですばらしい結果を残してくれました。2名のライダーの偉大さを感じたと共に感謝の気持ちでいっぱいです。そして、ジョン・マクギネス選手、ブルース・アンスティ選手、お二人のこれまでの礎があったからこそ、今日という日を迎えることが出来たのだと思います。
そして、記録更新まで3年も掛かってしまいましたが、この結果に至ることができたのもひとえに、皆様のご支援ご協力のおかげであり、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
以下、決勝順位とタイム / 平均スピードとなります。
選手 | #1 マイケル・ルター | #2 リー・ジョンストン |
---|---|---|
順位 | 優勝 | 3位 |
タイム | 18:34.9 | 21:26.6 |
平均スピード | 121.824mph (196.05kph) |
105.566mph (169.89kph) |
選手 | #1 ブルース・アンスティ | #2 ガイ・マーチン |
---|---|---|
順位 | 優勝 | 2位 |
タイム | 19:13.9 | 19:55.3 |
平均スピード | 117.710mph (188.33kph) |
113.632mph (181.811kph) |
選手 | #1 ブルース・アンスティ | #2 ジョン・マクギネス |
---|---|---|
順位 | 優勝 | 4位 |
タイム | 19:07.0 | 23:50.5 |
平均スピード | 118.416mph (189.46kph) |
94.949mph (151.91kph) |
選手 | #1 ジョン・マクギネス | #2 ブルース・アンスティ |
---|---|---|
順位 | 優勝 | 2位 |
タイム | 18:58.7 | 19:02.7 |
平均スピード | 119.279mph (190.84kph) |
118.857mph (190.171kph) |
選手 | #1 ジョン・マクギネス | #2 ブルース・アンスティ |
---|---|---|
順位 | 優勝 | 2位 |
タイム | 19:17.3 | 19:40.6 |
平均スピード | 117.366mph (187.78kph) |
115.048mph (184.076kph) |