Engine1

最高出力240馬力。限界を破り究極を成し遂げた、NAエンジン クラス世界最高峰の出力特性。

型式K20A。VTEC(可変バルブタイミング・リフト機構)、VTC(連続可変バルブタイミングコントロール機構)の2つの独創を持ち、2.0 DOHC i-VTECと称されるエンジン。「自然吸気特有の爽快なフィールにこだわり、全域高性能と高い環境性能を両立する」。そのHondaの志が込められ登場したのが2000年。

翌年、Hondaのレーシングテクノロジーが注がれ、220馬力もの最高出力を実現、インテグラ TYPE Rに積まれる。無限はK20Aが世に出る以前から独自に高出力化を研究。'01年には十勝24時間耐久レースに向けたインテグラTYPE Rのエンジン/車両開発に携わりデビューウイン1-2フィニッシュに導く。

続くインテグラ TYPE R ワンメイクレースではテクニカルサポートを行い、米国・アジアのプロダクションレースに向け、レーススペックのK20Aも開発・供給。そこでは260馬力を達成している。

'05年8代目シビックが登場すると、翌年、スーパーチャージャー付K20Aを持つ300馬力のコンセプトカー「CIVIC Dominator(ドミネーター)」を東京オートサロンで発表。このように連綿とK20Aの能力を広げ、シビックの高性能化にも挑んできた。

そして、'07年、最高出力225馬力を携え、シビック TYPE Rが登場。無限はその開発と並行してシビック TYPE Rワンメイクレース車両と「RR」を開発していた。量産エンジンとして既に究極的な出力をいかに高めるか。無限はVTEC開発の原点である自然吸気にこだわりつつ、量産を前提とした開発では困難な技術を投入し、挑んだ。

すべてが無限の長年に及ぶ歩みの中で培った英知の粋である。その要が、専用カムシャフト。高回転用カムの形状を変更することでバルブリフト量を増やし、吸排気効率を向上させた。この形状はK20Aの特性を知り尽くした無限ならではのものであり、最終仕様の確定にあたっても幾度もベンチテストが行われた。さらに工作精度も極めて高いものである。勿論、バルブスプリングも専用品。このK20Aは実に8,400rpmまでを許容回転数とするが、8,000rpm時点でさえ吸気時間は僅か約0.005秒。バルブリフト量の増大に伴うスプリング荷重の増大は少なくない。これに対して、巻数と線径を上げた楕円断面強化スプリングを採用、正確なバルブ駆動を実現した。

これらと吸排気系全体の大幅改良をあわせ、最高出力で15馬力、最大トルクで0.3kg・mの向上に成功。最高出力240馬力、最大トルク22.2kg・mという驚異の出力・トルク特性を成し遂げたのである。