Engine2

全面に渡り一新し、高効率化した吸排気系統。

無限が心血を注いだ「RR」用K20A。特筆すべき点は、出力・トルクの圧倒的なピーク値だけではない。カムが切り換わる帯域では出力の繋がりがより滑らかにされ、文字通り一直線に伸び上がる出力特性を実現。またトルクは高回転用カム作動直後から最大に近いトルクを発生し、落ち込むことなく幅広い領域に渡って、ほぼフラットな特性を発揮。7,500rpm付近ではシビック TYPE Rに対し約1kg・mにも及ぶ差をつける。これらによって突き抜ける加速感に一段と磨きをかけ、圧巻のドライブフィールを実現した。この性能の源泉には、先に挙げたK20A内部の改良と、ここで言う吸排気系の刷新がある。

「RR」は大胆にも全面を変更して吸排気効率を徹底して突き詰めた。まず吸気系は、吸入口の位置をフェンダー内から変更。フロントバンパーの前面に導風ダクトを設け、それに続く位置に吸入口をレイアウト。走行風をダイレクトに取り込め、しかもラジエターの放熱による影響も最小限にできるものとした。

インテークダクトは断面面積比で約30%大型化。ラム圧を有効にエンジンへと導く。さらに、エアボックスは大容量化。素材に剛性の高いカーボンコンポジットを用いることで内部にリブを持たない構造とし、吸入抵抗のさらなる低減を図っている。内蔵されたエアフィルターは99%(30μ以上の塵)の集塵率を誇りながら、高回転域でも吸気抵抗となるポンピングロスを最小限に抑えるものを採用した。

一方、排気系。エキゾーストマニホールドはシビック TYPE Rでも集合部の先鋭化が実施されたが、この「RR」では排気系の一新に伴うレイアウト自由度の拡大を活かし、集合ポイントを変更してさらに先鋭化。等長化まで図ったステンレス製の4-2-1エキゾーストマニホールドを開発。セカンダリーの管径向上、フランジとパイプのインサート結合、TIG溶接、研磨仕上げと相俟って、排気干渉の一層の低減を叶えつつ、中回転域トルクの向上も得られるものとした。

キャタライザーは優れた浄化性能と排気効率を両立させたスポーツタイプとし、続いてチャンバーを設置。ここで騒音を抑え、以降の排気系に対し、 消音の役割を軽減している。

次にストレート構造中間サイレンサー、サイレンサーへと続くが、キャタライザーの手前からそこまでのパイプの径はφ54mmからφ60.5mmに大径化した。

そして左右異形サイレンサーを持つデュアルエキゾースト。内部分岐型ながら外観をほぼ揃えたサイレンサーは、片側がストレート構造、分岐側もそれに近い半ストレート構造とし、排気抵抗の低減を追求。φ50.8mmの太径パイプやTIG溶接の仕上げとあわせ、滑らかな排気流と低排圧を実現した。またここでは吸音材に頼らず、必要な消音を果たしている。

これら一連の仕様は幾度ものダイナモテスト、実走試験、シャシーダイナモ上でのエミッションモードテストも重ねながら慎重に決定されている。