Weight Reduction

カーボンコンポジット素材の多用などで、-15kgもの軽量化を果たした車両重量。

速さのためには軽さが要る。しかし、同時に速さのためには剛性が要る。路面の凹凸や旋回・加減速時にかかるGに耐え、サスペンションを確実に機能させるには極めて高い剛性が要る。そのため通例のスポーツカーでは各種バーの装着という軽量化とは逆行する手法で剛性アップが図られるが、シビックTYPE Rはそのような手法によらず高剛性ボディを実現させている。それはベースボディが既に高度な剛性を獲得していたゆえに、最小限の補強で要件を満たし得たためである。シビックTYPE Rはベースのシビックからボディで11.6kg、全体で10kg軽量化しているが、これは量産車の製造手法を考えた場合、限界と言える数値である。

それに対し無限は量産困難なカーボンコンポジットパーツの多用など素材を変更し、その壁を乗り越えた。カーボン繊維は鉄と比べて比重が約1/4、比強度は約10倍を超え、F1マシンには100%使われている。無限はこの素材を「RR」のフロントバンパーをはじめリアスポイラーウイング、シートシェルなどに使用した。クロスに樹脂を染み込ませた材料を手作業で何層も型に押し付け、それをコンピューター制御で加熱・加圧し成形。比強度・比剛性が最大限に得られるオートクレーブ製法と呼ばれる方法が採られている。原型を起こすにも多くの労力が掛かり、そこからフロントバンパーだけでも4人の熟練者達が丸1日半を費やして創り上げる。それを僅か300台のために敢えて行うのが無限スピリットなのである。

さらに、ボンネットフードには鉄と比べ比重が約1/3のアルミを使用。アルミも加工の難しい素材ではあるが、これを用いることによりボディ全体の軽量化は勿論、カーボンコンポジット化したフロントバンパーなどとあわせフロント重量の軽減と低重心化を実現。操縦性の向上にも大きく貢献させている。

運動性能向上に直結するバネ下重量の軽減をもたらすアルミホイールについては、専用の鍛造ホイールを開発。原料に高圧をかけ成形し、内部に緻密で整然とした金属粒子の配列を作ることにより、軽量にして高強度を実現できる鍛造。この製法を採用し、71/2Jから8Jにリム幅を広げつつも1本あたり2.6kg、計10.4kgの軽量化を達成した。

このほか細部まで軽量化を徹底し、軽減分の合計は実に31.86kg。サイレンサーのデュアル化、ガーニーフラップ追加など性能向上のための重量増加分を加えても全体で15.45kgの軽量化を果たした。また同時にボディの前後重量バランスの最適化まで実現している。


[軽量化項目]

●アルミホイール鍛造化(-10.4kg:4本) ●カーボンコンポジットシェル フロントシート採用(-7.0kg) ●エキゾーストマニホールド ステンレス化(-5.7kg) ●ボンネットフード アルミ化(-3.0kg)  ●フロントブレーキローター変更(-1.78kg) ●フロントバンパー&グリル カーボンコンポジット化(-1.7kg) ●エアボックス カーボンコンポジット化(-1.0kg) ●リアスポイラーウイング カーボンコンポジット化(-0.4kg)●インテークマニホールドカバー カーボンコンポジット化(-0.2kg) ●その他(リアディフューザー変更、ブレーキパッド変更など)(-0.68kg)
以上による軽量化分合計 -31.86kg

エキゾーストシステムデュアル化(8.3kg)、リアアンダースポイラー追加(2.77kg) などによる重量増分合計16.41kg。差し引き15.45kgの軽量化を達成。 (文中も含め、数値はすべて当社測定値)